平熱36度未満は要注意!低体温のリスクと改善法

低体温とは、平均深部体温が慢性的に低く概ね36℃未満の人のことを指して言います。
低体温は特定の病名ではなく、体の状態を指す言葉です。低体温の状態が続くと、免疫力が低下して風邪を引きやすくなったり、様々な生活習慣病にかかりやすくなったり、老化や肥満を促進するなど、様々なリスクや不利益があります。

低体温と低体温症の違い

低体温と低体温症と言う言葉が混同されることがありますが、これらは明確に異なります。

低体温症」は、冷たい水の中に入り続けたり、雪山などの寒冷地のような、外気温が低いために体温が下がり、体に様々な影響が出る症状の総称です。低体温症では体が熱を生み出し体温を維持する力よりも、外気に放熱される熱のほうが多く、体温は徐々に下がり続けてしまい、やがて身体機能の低下や停止、最終的には死亡に至ります。

一方、「低体温」は気温などの外的要因によって体温が低くなるのではなく、何らかの身体上の原因で、日常的に体が産生する熱量が少なく、慢性的に平均体温が低い状態で、深部体温が36℃未満になっていることを言います。

ところで、低体温は女性などに多い「冷え症」ともよく混同されますが、冷え症と低体温も違う症状です。冷え症は、手足の指先など、体の末端の血流が悪いことで起こる冷えで、筋肉量が少なかったり、ストレス等によって血管が収縮してしまうために血行不良が起こるために末端の温度が下がってしまう症状です。

低体温で起こること

免疫力が下がる

平均体温が1℃下がると、体が持つ免疫力は30%も低下すると言われています。免疫力とは、ウィルスや細菌など、病源への抵抗力とも言い換えることができます。

つまり、平均体温が下がると、風邪やインフルエンザ等などに罹りやすくなります。また、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状、糖尿病/高血圧/脳卒中などの生活習慣病、婦人科系の疾患、果てはガンにもなりやすくなってしまうのです。

ガン細胞は35℃前後の温度を好み、増殖しやすいとされています。

基礎代謝の低下

基礎代謝とは、生命活動を維持するために使われるエネルギーのことで、体が消費するカロリー全体のおよそ7割を占めています。平均体温が1℃下がると、基礎代謝が12%~15%程度下がると言われており、それだけ消費するカロリー量が減るため、脂肪を蓄えやすくなり、太りやすくなります。

1年間を通じて平均体温が1℃低い状態で生活すると、基礎代謝はなんと男性では脂肪約6kg分の消費カロリーに相当する量下がったことになります。

詳しくは『体温と基礎代謝』を御覧ください。

血行不良・リンパの流れや新陳代謝力の低下

低体温になると、血管は収縮して体の末端への血流は少なくなり、つまり血行不良が起こります。

また、リンパ系の働きも鈍くなるため、体に溜まった老廃物や異物を体外へ排出して新陳代謝する力が衰え、また活性酸素を除去する働きを持つ酵素であるSODなどの働きも鈍化するため、肌荒れ、シワ、くすみ、むくみ、老化の促進、肩凝り・頭痛、消化不良などが起こりやすくなります。

自律神経のバランスが崩れる

低体温により自律神経系のバランスが崩れると、朝目覚めるのが辛くなったり、日中ボーっとしたり、夜の寝付きが悪くなったりすることがあります。その他にも頭痛、耳鳴り、めまい、吐き気など、自律神経系の乱れは様々な症状を生み出します。

また、自律神経系の乱れによってホルモンの分泌バランスも崩れるため、特に女性の場合は、女性ホルモンの分泌周期との相乗効果によって『更年期障害』や『PMSの悪化』、生理不順が起こる可能性があります。

疲れやすくなる

低体温になると、内蔵の働きが弱くなり、消化不良や食物の吸収力の低下、下痢や脱水症状、血行不良などによって、疲労が溜まりやすくなります。

低体温は慢性疲労症候群という、原因不明の疲労が長期間継続する症状の一因とも考えられています。

抜け毛の増加

低体温になると、人の身体の仕組みから、脳や内臓などの重要な臓器を保護することが優先され、指先や頭皮のような末梢細胞への血流が制限されて少なくなります。

血流の悪化は、その分毛髪の発育に必要な酸素や栄養素が不足することを意味するため、抜け毛が増える主要な要因となります。

低体温の原因

筋肉量の不足

筋肉の中に存在するサルコリピンと言うタンパク質が、熱産生を行っており、筋肉量が減れば、サルコリピンの数も減るため、それだけ熱の産生能力が落ちて、体温を維持する力も落ちて低体温になりやすくなります。

女性が低体温になりやすいのも、男性と比べて筋肉量が少ないためです。

心肺機能の低下

体温を一定に保つ体温調整の仕組みは、心臓や血管などの循環器系によって運ばれる、血液に支えられています。温かい血液が全身を心臓から押し出され全身を巡ることで、身体の体温を一定に保っているのです。

循環器系の機能が衰えることは、それだけ血液によって運ばれる熱が少なくなるため、体温が下がりやすくなります。

運動不足

運動をすると交感神経が興奮し、心拍数や血流は増え、筋肉など各組織での酸素消費や熱産生が増えて、体温も上がります。運動不足になると、交感神経の興奮が減るため、体温を高く保つ力が損なわれやすくなります。

また、運動不足になると、筋肉も細くなるため、前述のサルコリピンも減り、熱産生能力が下がって、低体温になりやすくなります。

加齢

人の体温は幼児期ほど高く、加齢とともに低くなっていきます。これ自体は自然な現象と言えます。

加齢によって段々と低体温化する原因は、褐色脂肪組織(BAT,Brown Adipose Tissue)という熱産生を行う細胞組織の働きが関わっています。褐色脂肪組織は、通常のいわゆる太っている人につく脂肪とは異なり、乳幼児期に特に多い脂肪細胞で、成長期を境に加齢とともに減少していきます。

ダイエット

よほど正しくダイエットをしない限り、食事制限によって食事の量が減ると、筋肉を作るタンパク質や、体を温めるミネラルやビタミンなどの栄養素が不足して、熱産生能力が下がり低体温になりやすくなります。

また、運動せずに食事制限だけすると、脂肪と一緒に筋肉が減るため、一時期は体重が減るもののリバウンドしやすい体になるだけでダイエットは失敗します。

自律神経系の乱れ

自律神経系は、寝たり起きたり、運動したり休んだりと言った、私たちの活動に合わせて自動的に働いていますが、この働きが何らかの原因で乱れると、体温調節がうまく出来なくなります。

例えば、日中に優位に働いている交感神経系は身体の活動レベルを高く保つために心身を興奮させて覚醒を維持し、熱産生を促しますが、自律神経の乱れにより、日中の交感神経系の働きが弱くなると、熱産生が十分に行われなくなって、低体温になりやすくなります。

ストレス

ストレスは、体温の上昇にも下降にも影響を与えます。ストレスの基本的な作用は、交感神経系を興奮させる作用から、体温を上昇させ、ストレス性発熱を引き起こします。

ところが、長期間、慢性的にストレスを受け続けると、交感神経系を興奮させる役割を担っている神経伝達物質やホルモンの分泌が枯渇し、交感神経系による体温調節機能を維持することが出来なくなり、低体温になる傾向があります。また、短期間でも極度のストレス状態(戦争や災害など)を経験すると同様のことが起こる可能性があります。

詳しくは『ストレスと体温』を御覧ください。

エアコン、冷暖房

四季のある日本では、大抵の建物内に冷暖房が完備されています。こうした冷暖房の使い過ぎは、寒ければふるえて発熱したり、暑ければ汗をかいて放熱したりという、体が本来持っている体温調節機能(自律神経系による)が働く機会を奪ってしまい、そうした機能が衰えてしまい、低体温の原因になってしまいます。

お酒を飲むと、顔が赤くなったり汗をかいたりすることがあります。お酒は血行が良くなって体は温まると思われがちですが、冷たいお酒は体を冷やしてしまいます。

また、お酒を飲んで体が熱くなるのは、アルコールを分解する際に放出される熱で、その分身体から熱が奪われることになるため、熱が放出された後は体が冷えて体温が下がってしまいます。さらに、アルコールには利尿作用もあるため、排尿することでも体温が下がりやすくなります。

こうして飲酒が習慣化すると、低体温になりやすくなります。

タバコ

タバコに含まれるニコチンは毛細血管を収縮する作用を持ち、血行を悪くして、体の表面体温がさがります。また、タバコを吸うとニコチンによってアセチルコリン受容体が刺激され、副交感神経系が活性化します。

タバコには副交感神経系を刺激してリラックスする効果がありますが、一方で、副交感神経系が優位になるということは、交感神経系の働きを抑えることで自律神経の働きを乱してしまう可能性もあるのです。

甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは、全身の細胞の基礎代謝を活性化させる働きをしており、甲状腺の機能が低下するなどして、甲状腺ホルモンが不足すると、細胞の代謝量が下がって低体温になります。

甲状腺の機能を低下させる疾病に「甲状腺機能低下症」があります。逆に、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患として、「甲状腺機能亢進症」やバセドウ病」があります。

月経

女性の場合は月経開始から排卵期までの間は基礎体温は低温相となり、体温が下がります。

食事

通常、食事を取ると、消化器官が食物を消化するために活動するため、体温が上がります。貧血気味の場合は、消化器官に血液が集中することで、食後に体温が下がることがあります。

また、食材の中には体を冷やす食材(キュウリ、トマト、スイカ、茄子、レタス、白砂糖、マヨネーズ、コーヒーなど)も存在し、そういった食材ばかり取ると体温が下がってしまうことがあります。夏などで暑いからといって、冷たい飲み物や冷たい食べ物ばかり摂取していると、体が冷えて低体温になりやすくなります。

低体温を改善するには

ご紹介したとおり、低体温を起こす原因は様々です。一つだけでなく、同時にいくつか複数の原因が関係している可能性もあります。中でも、現代では生活習慣が乱れてしまっている人が多いため、原因を特定することが難しいかも知れませんが、低体温を改善するには、大前提として、規則正しく健康的な生活を心がける必要があります。

食事の改善

体を温める食品や栄養素を積極的に摂取しましょう。

体を温める食品の例
肉類、ショウガ、ニンニク、唐辛子、コショウ、ワイン、黒豆、もち米、しその葉、小松菜、たまねぎ、ネギ、ピーマン、れんこん、かぼちゃ、えび、鮭

目安として、色の濃い食べ物や暖色系の食べ物は体を温めるものが多いです。

体を温める栄養素
ビタミンEは血行をよくする働きがあり、手足の先に血液を送って体を温めます。ビタミンB類はブドウ糖を熱に変換するのに必要です。

鉄分、亜鉛、マグネシウム、セレンなどのミネラル類も重要です。タンパク質をアミノ酸に分解したり、貧血を防止するには血中のヘモグロビンの原料になる鉄分や銅が必要ですし、新しい血液を作るにはビタミンB12葉酸が必要です。

また、ご飯を食べ過ぎると、それだけ消化に時間がかかるため、その間消化器官に血液が集中して、他の部位の体温が下がってしまいますので、食べ過ぎも注意が必要です。

運動する(筋肉をつける)

適度な運動をすることで確実な改善効果が期待できます。運動することで直接熱を生み出して体温を上げることができますし、運動によって筋肉が使われれば、筋肉量が増加すればサルコリピンが増えて熱産生能力が上がります。

日中に運動すると、交感神経を刺激する作用もあり、自律神経の働きを良くすることで体温調節機能を強化することも期待できます。

風呂に入る

多くの日本人が愛する入浴にも優れた低体温の改善効果が期待できます。お風呂に浸かれば体温を温めて上昇させる効果や、血行を促進する効果、自律神経を刺激する効果などがあります。

通常はぬるめのお湯にゆっくり浸かることや半身浴が健康上推奨されますが、体温や基礎代謝を上げるには熱めの42℃くらいのお湯に10分程度入る『HSP入浴法』と言うも効果的です。

酒・タバコを控える

体を冷やしてしまうお酒や、血行を悪くするタバコは控えましょう。

冷房を使い過ぎない

体温の調節は自律神経系が行っていますが、冷房によって体温調節を行う必要性が減ると、自律神経系が衰えてしまう可能性があります。冷房は冷やし過ぎないよう高めの温度で利用しましょう。

日頃から対策を

近年、低体温の人が増えてきている原因は、生活習慣が以前と変わってきたことが大きく影響していると考えられます。現代人の乱れた生活習慣の中で、体温調節を行う自律神経系は徐々にその働きが衰えてしまい、大人ばかりでなく、子供の頃から低体温になりがちです。子供の低体温は、こころと身体の成長にも大きく影響しますので、特に日頃からの対策が必要です。

photo credit :Hamed Parham



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