太っている人は体臭がクサイ」という漠然とした印象を持っていませんか?肥満で加齢臭をはじめとした体臭が強くなってしまうのには理由があります。肥満で体脂肪が増えると分泌される皮脂が増えることや、体内に発生する活性酸素が増えることなどが挙げられます。

肥満で活性酸素が増加する

肥満、つまり体脂肪が増えた状態とは、一つ一つの脂肪細胞の中に通常より多くの脂肪組織が収納されて、脂肪細胞がパンパンに肥大化した状態です。

脂肪細胞が肥大化すると炎症を促進する免疫細胞が活性化され、脂肪細胞内では免疫反応による「炎症」が起こります。脂肪細胞内で炎症が起こると、そこで『活性酸素』が大量に発生します。

活性酸素が脂肪を連鎖的に酸化させる

活性酸素は「ラジカル反応」という「連鎖的な酸化反応」を起こします。

脂肪細胞内で活性酸素が大量発生すると、周囲の脂肪細胞がどんどん酸化して『過酸化脂質』という酸化した脂肪細胞が発生します。

活性酸素によって酸化された過酸化脂質は、自身がさらなるラジカル反応を起こし、連鎖的に脂肪細胞をどんどん過酸化脂質へと変質させていきます。

このように、肥満によって脂肪細胞が肥大化すると、細胞内で炎症が起こり、爆発的に活性酸素や過酸化脂質が増加してしまうのです。

活性酸素と過酸化脂質により加齢臭が出る

活性酸素や過酸化脂質といった、体内の細胞や組織を酸化させてしまう性質を持つ物質は、加齢臭の独特なニオイを生み出す『ノネナール』という物質を発生させる原因になります。

肥満傾向の人は、普通の体型の人よりも活性酸素や過酸化脂質が増えやすいため、加齢臭のニオイのもとであるノネナールも発生しやすくなってしまうため、普通の体型の人よりも、太っている人のほうが加齢臭が出やすいのです。

肥満で皮脂量が増える

体脂肪率が高いと、その分皮脂腺から分泌される皮脂の量が増加します。40歳前後の中年世代の皮脂には、加齢臭の原因物質であるノネナールを生み出す、『パルミトレイン酸』が多く含まれるようになってくるため、皮脂量が増えれば増えるほど、パルミトレイン酸の分泌量も増えていき、ノネナールが発生しやすく、加齢臭もきつくなりやすくなります。

肥満は高血圧になりやすい

肥満で体脂肪が高い人は、普通の体重の人よりも食事の摂取量が多いことが考えられます。その分、摂取する塩分も多くなりがちなため、メタボ体型の人は一般的に体重が正常な人に比べて、高血圧症になるリスクが約2~3倍上がるとされます。

高血圧になると、血行が悪くなり血管が詰まりやすくなるため、詰まった箇所が炎症を起こして活性酸素が発生しやすくなります。

参考:『加齢臭を予防するための食事とは

汗をかきやすい

太っている人は汗っかきな人が多いのですが、これは体内に蓄えられた体脂肪が、体の内側に熱を閉じ込める効果を発揮することで、体温が上がりやすくなってしまい、上がった体温を下げるためには汗として発散させる必要があるからです。

太っていると血液量が増える

人の血液量は体重の約1/13と言われます。

体脂肪率が高いとその分血液量が増えます。同時に、体脂肪率が高いと、その分全身の体積も大きくなるため、血管の総延長も伸びる事になります。こうして全身を流れる血液が増えることで、酸素消費量も増え、その分活性酸素が発生しやすくなります。

活性酸素が増えれば増えるほど、血中の脂肪酸やコレステロールは酸化されていくため、過酸化脂質が増えやすくなります。

まとめ

肥満の人は様々な理由や原因から、加齢臭が発生しやすく、また、発生した加齢臭は悪化しやすくなることをご紹介させて頂きました。

  • 肥満の人は活性酸素が発生しやすい
  • 活性酸素は過酸化脂質を発生させる
  • 過酸化脂質や活性酸素は加齢臭を悪化させる
  • 体脂肪が増えると皮脂から分泌されるパルミトレイン酸が増える
  • パルミトレイン酸はノネナールの発生源になる
  • 活性酸素/過酸化脂質+パルミトレイン酸=ノネナール→加齢臭