基礎代謝は1日に消費するカロリーのうち、およそ7割を占めていると言われます。基礎代謝は生命を維持する上で必要な、内蔵を動かしたり体温を維持したりと、恒常性維持のために消費されているカロリーのことです。基礎代謝の量は、男女によって、また年齢によって、また筋肉量や平均体温によっても差が生じます。基礎代謝量をあげることこそがダイエットを成功させる最も有効で確実な手段です。
目次
体温と基礎代謝の関係
一般的に平均体温が1℃上昇すると基礎代謝量が13%上昇するとされています。成人男性の場合、基礎代謝量はおおよそ1,500キロカロリー(kcal)、女性は1,200キロカロリーとされています。
- 仮に平熱が1℃下がると、
- 男性の場合:約115kcal/1日毎|3,450kcal/1ヶ月毎|41,975kcal/1年毎(脂肪約6kg相当)
- 女性の場合:約92kcal/1日毎|2,760kcal/1ヶ月毎|33,580kcal/1年毎(脂肪約4.8kg相当)
- ※脂肪1kgを7,000kcalで計算した場合
単純計算でこれだけ代謝量が下がる計算になります。1日で考えると大したことはありませんが、1年で計算してみると恐ろしいカロリーになることがわかります。平均体温が低いと基礎代謝が下がるため、それだけ脂肪がつきやすく肥満になりやすいのです。
逆に、平熱を1℃上げれば、それだけ基礎代謝が上がり、脂肪分を減らすことが出来るとも考えられます。
体温と基礎代謝を上げるには
人が消費するカロリーの種類は、「基礎代謝」「生活活動代謝」「食事誘導性熱産生(DIT)」の3つです。基礎代謝が全体のうちおよそ7割、残りの2つでおよそ3割のカロリーを消費しています。
基礎代謝
▼筋肉が基礎代謝を支える
一日の消費カロリーの7割を占める基礎代謝で消費されるカロリーのうち、およそ40%は筋肉で消費されています。つまり筋肉量を増やすと、それだけ基礎代謝を向上させることが出来ます。
▼筋肉を増やすと体温も上がり基礎代謝が増える
また、筋肉に含まれるサルコリピンと言うタンパク質は、熱産生を行うことで体温を調節する働きをしており、筋肉を増やすとサルコリピンも増やすことが出来るため、平均体温を上げることにも繋がります。平均体温が上がればその分基礎代謝も増えるため、基礎代謝を上げるにはまずは筋肉を付けることが重要です。
▼入浴も効果的
また、入浴も基礎代謝のアップと体温の上昇を手軽に一挙両得できます。入浴には、リラックス効果や安眠効果もあり、生活の中に是非取り入れたい習慣の一つです。
生活活動代謝
生活活動代謝は歩いたり体を動かしたり、掃除・洗濯、運動などの日常生活の中での行動に伴って消費するエネルギーのことで、全体の消費カロリーの2~3割を占めています。激しい運動や筋トレなどをすれば当然生活活動代謝の割合は増えます。また、運動や筋トレをすると、筋肉の量も増やすことが出来ます。
筋肉が増えると基礎代謝量は上がり、筋肉が熱産生を行うため、平均体温を上げる効果もあります。
食事誘発性熱産生(DIT)
食事をすることで消化のために内蔵が活発に働き、食事誘発性熱産生が行われます。食事誘発性熱産生は1日に消費するカロリーのおよそ1割を消費しています。
食事制限ダイエットが失敗する理由
食事制限によるダイエットでは、脂肪と一緒に筋肉が減少します。筋肉の量が下がると基礎代謝も下がり、俗にいうリバウンドを繰り返す、太りやすい体質になってしまいます。
基礎代謝を下げずに体重を落とすには、食事制限と同時に、適度に有酸素運動、筋肉トレーニング、良質なタンパク質(筋肉の材料になる)の摂取などを行い、筋肉量を維持すると良いと考えられています。こうした理論を発展させたのが、あの○イザップのダイエットです。
低体温は肥満や病気の原因に
低体温とは、平熱が35℃台の人のことを言います。低体温では風邪をひきやすかったり、冷え症になりやすいなどの症状が出やすくなだけでなく、基礎代謝量が落ちるために太りやすくなります。
また、血液やリンパの流れも悪くなるため、老廃物が溜まりやすく、体は浮腫みやすくなり、シミやシワ、くすみなどもできやすくなります。体温が1度下がるだけで、免疫力は大幅に低下し、風邪を引きやすくなったり、ガンなどの重大な疾病にも罹りやすくなります。
低体温の原因
▼運動不足による筋力不足
運動不足と聞くと、忙しい生活の中で運動なんてとても出来ない、と考えてしまいがちですが、意識して歩くだけでも運動不足の解消になります。
現代社会では、車や電車のほかエレベータやエスカレータなど様々な乗り物が発達して、自分で歩く機会が大幅に減っていますが、例えば駅の階段ではエスカレータを使わずに歩く、空いていても電車には座らない、など、生活の中で出来る限り自分の足を使うような工夫をするだけでも一定の効果が期待出来ます。
▼栄養の偏りや食生活の乱れ
ダイエットを気にする余り、炭水化物や脂質を取らないような食生活になってしまったり、好き嫌いによる偏食など、栄養の偏りや食生活の乱れは、低体温の原因になります。
食事をすることで消化のために内蔵が活発に働き、食事誘発性熱産生(DIT)が行われます。食事誘発性熱産生は1日に消費するカロリーの1割を消費しています。
ダイエットで敬遠されがちな肉類などに含まれるタンパク質は、消化に時間が掛かるため、より多くのカロリーを消化に消費します。たまねぎやネギなどの香味野菜や、生姜、ニンニクなどの野菜には体をポカポカと温める作用があり、食事誘発性熱産生を高める働きが期待できます。
また、食事をゆっくりと、良く噛んで食べれば交感神経系が刺激されるため、カロリーの消費量が上がります。食事の量やバランスが偏ると、食事誘発性熱産生も減ってしまう可能性があります。
まとめ
体温の低下は基礎代謝が落ちて肥満になりやすいだけでなく、ガンや心筋梗塞などの重大疾病にも繋がります。また、体温の低下を起こす大きな原因は、現代人の誰しもが陥りやすい、運動不足などからくる、筋肉量の低下です。
筋肉は熱を生み出し、体温を維持する上で非常に重要であり、基礎代謝量を向上させる働きもします。また、運動をしながら筋肉を増やすという行為は、ストレスの解消にも繋がります。
私達現代人は、とかく楽をしたがり、便利なダイエット法や食品に飛びついてしまい勝ちですが、健康を保ちつつ、効率よく痩せるには、なんといってもやはり、運動が重要なのです。
photo credit :Hajime NAKANO