女性ホルモンについて

女性ホルモンとは、女性らしい体つきを作ったり、女性としての性機能を保つ作用をするホルモンで、女性の生理周期と同調して分泌量が変化することが知られており、ホルモンの分泌量の変化が、女性に起こるPMS(月経前症候群)などに深い関わりがあります。また、女性ホルモンは、オキシトシンセロトニンなどの分泌にも影響を及ぼします。

女性ホルモンの特徴

代表的な女性ホルモンは二つ、エストロゲンプロゲステロンです。

エストロゲンの特徴

  • 食べ物ではイソフラボンに多く含まれる。大豆製品(豆腐、納豆)
  • 女性らしく魅力的な容姿を作るホルモン
  • パートナーを見つけるために共感力を高める
  • エストロゲンの分泌量とセロトニンの分泌量は比例する

プロゲステロンの特徴

  • プロゲステロンによってコルチゾールの濃度が低下しセロトニンの分泌が減る
  • イライラして不機嫌になりやすいホルモン
  • PMSの症状悪化の主な原因
  • 太りやすい(妊娠に備えて脂肪や水分を溜め込む)
  • 妊娠に備え、体を守るために排他的な性格になる
  • 基礎体温を上げる

女性ホルモンとPMS

PMS(月経前症候群)とは、生理が近づいた女性に起こる特有の症状で、イライラ、憂鬱、頭痛、腰痛、など精神的、身体的に様々な症状のことを言います。発生する症状は人によって様々で、症状の重度も異なります。

PMSの発生には、女性ホルモンの分泌が深く関わっており、他にも、ストレスの蓄積や自律神経系の乱れなど、様々な要因が絡まりあって、様々な症状を引き起こすと考えられています。

PMSを起こす原因としてもう一つ大きな原因がストレスです。慢性的なストレスと、女性ホルモンの分泌バランスの変化によって、ストレスホルモンの分泌に影響が生じて、それがストレス耐性の低下を引き起こし、PMSの症状が重たくなると考えられています。

女性ホルモンとコルチゾール

女性のPMSがストレスによって重たくなるのは、ストレスホルモンが関係しています。

実は、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は共にステロイドホルモンの一種です。同じストロイドホルモンには、強い抗ストレス作用を持つ『コルチゾール』があります。この二つの女性ホルモンとコルチゾールは、共に肝臓で合成されたコレステロールを原料にして分泌されます。

ストレスでコルチゾールが分泌される
脳がストレスを感じると、ストレス反応としてコルチゾールが分泌され、脈拍や血圧を上昇させてストレスに対抗します。ところが、女性の場合は、排卵後になると妊娠に備えるために、コルチゾールと原材料を同じくするプロゲステロンを大量に分泌させるために、優先的にプロゲステロンが合成されるようになります。

そのため、生理周期のうち、排卵後になると、コルチゾールの原料であるコレステロールはプロゲステロンを合成するために優先的に使用されるようになるため、コルチゾールの分泌量が減少してしまうのです。

コルチゾールの分泌が減少すると、コルチゾールによって担われていた抗ストレス作用が損なわれるため、イライラしたり精神的にくよくよしたりしやすくなります。

つまり、排卵後のプロゲステロンの分泌量増加によるコルチゾールの分泌量減少が、PMS(月経前症候群)を起こす原因の一つになっていると考えられます。

過度のストレスはプロゲステロンの分泌を減少させる
プロゲステロンがコルチゾールの分泌を減少させるのと反対に、コルチゾールの分泌増加がプロゲステロンの分泌を減少させてしまうことがあります。

コルチゾールの分泌が増加する最も大きな原因は『ストレス』です。例えば日々激しいトレーニングをする女性ツアスリートの場合、生理周期が不順になったり生理が止まってしまうことが珍しくありません。

これは、激しい運動というストレスによって、コルチゾールの分泌が慢性的に増加することで、プロゲステロンの原材料であるコレステロールが全てコルチゾールに消費されてしまうためです。

アスリートでなくても、現代人の日常生活の中には様々なストレスが潜んでいます。ストレスでプロゲステロンの分泌が抑制されると生理周期が乱れたり、PMSの症状が悪化しやすくなるのです。

生理前に甘いものが食べたくなるワケ
生理前に甘いものを食べたくなるのも、コルチゾールが不足するためだと考えられます。コルチゾールには血糖値を維持する働きがあり、不足すると血糖値が下がりやすくなるため、血糖値を上昇させるために、脳が甘いもの=糖分を欲するようになるのです。

しかし、欲求を受け入れて甘いものを食べてしまうと、インスリンが大量に分泌されて余計に血糖値が下がってしまいます。通常、血糖値が下がった場合はコルチゾールなどが分泌されて血糖値をそれ以上低下しないようにしますが、そもそもそのコルチゾールが不足しているわけですから、一度血糖値が下がると血糖値が上がらず、低血糖状態を引き起こしてしまう場合があるため、注意が必要です。

女性ホルモンとオキシトシン

オキシトシンとは、他人との共感力や、コミュニケーション能力を高めるホルモンで、別名『恋愛ホルモン』などと呼ばれます。女性ホルモンには、オキシトシンによる共感力や感受性の向上の効果を増減させる作用があります。

エストロゲンはオキシトシンによる感受性を向上させる
排卵期前のエストロゲンの分泌が増加する時期は、肉体的にはより女性的で魅力的な容姿になり、精神的にも積極的にパートナーを探すためにオキシトシンによる他人との共感力が高まる時期です。

プロゲステロンはオキシトシンによる感受性を減少させる
排卵後は妊娠した場合に備えて、出来るだけ体を守るために他者を遠ざけるよう、いつもよりもピリピリ、イライラして機嫌が悪くなりやすい時期です。

女性ホルモンとセロトニン

女性の場合、脳内で精神安定を司る『セロトニン』は、女性ホルモンの分泌量と比例して分泌量が変化すると言われています。これは、セロトニン神経の働きと女性ホルモンの分泌を促す性腺刺激ホルモンの分泌が、共に脳の『視床下部』によって支配されているためで、これらの分泌量の変化は密接な関わりがあると考えられています。

例えば、エストロゲンの分泌量が多い排卵の前後日はセロトニンの分泌量も多く、分泌量が下がる生理前になるとセロトニンの分泌量も減少して、気分の落ち込みなど、いわゆるPMSの症状が現れやすくなるとされています。

こうして女性は、生理周期によってセロトニン神経の活動やセロトニンの分泌量が減少することがあるため、男性よりも脳内のセロトニンの分泌量が50%程度少ないと言われていて、これがPMSだけでなく、女性特有のヒステリーなどを起こしやすい根拠ともされています。

女性ホルモンと偏頭痛

女性が『偏頭痛』を起こしやすいのも、女性ホルモンとセロトニンが関係していると考えられています。

偏頭痛が起こる主な原因は血管に作用するセロトニンです。血液中のセロトニンは血管を収縮させる作用を持ち、セロトニンの増減は血管の拡縮に繋がり、血管が収縮したり、拡張したりすることで、血管周辺の神経が刺激されて、頭痛を起こすと考えられています。

女性の場合、エストロゲンの分泌量とセロトニンの分泌量が同調しやすいため、人によって発生時期には個人差がありますが、いつも特定時期になると、偏頭痛を起こしやすくなる人がいるのです。

女性ホルモンと自律神経系

女性ホルモンと自律神経系は、共に脳内にある視床下部によって支配されています。そのため、ストレスやセロトニンの不足など、様々な原因で自律神経系が乱れるような事態が起こるとき、女性ホルモンの分泌にも同様に影響が生じます。

逆に、女性ホルモンが分泌バランスを乱すことも、自律神経系の働きを乱す原因となります。

自律神経系の乱れから、交感神経系が興奮した状態が続くと、体が緊張状態を起こし、眼や肩の凝りや痛みを感じやすくなったり、精神的にはイライラや怒りっぽくなったり、クヨクヨしやすい、怖がる、などストレスに過剰に反応するようになります。

成長期の女の子に起こりやすい起立性調節障害

女性が成長期を迎えると分泌され始める女性ホルモンの働きによって、心身の成長が促されます。また、成長期以前とはホルモンバランスが変化し、女性ホルモンのバランスも成長期の段階ではまだまだ不安定で乱れやすいため、そのせいで自律神経系の働きにも乱れが生じやすくなります。

心身がまだまだ未発達な成長期に起こる自律神経系の乱れは、朝起きることが出来ない、起立した時にめまいや立ちくらみ、ときには失神を起こす、などの『起立性調節障害』という症状を起こしやすくなります。

起立性調節障害は成長期の女の子に特に多く起こる症状で、小学校高学年から中高生の5人に1人ぐらいの割合で症状が起こるとされています。

photo credit: Arif Akhtar (AAPhoto) Portrait 006 (license)



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