うつ病とサプリメント

rp_4016241122_a5b15e1356_m.jpg

うつ病とサプリメントについて考察します。うつ病に効果がある、またはうつ病が解消する、などということを暗示・示唆して販売されているサプリメントがあります。では、サプリメントでうつ病は治る、または改善・解消するのでしょうか。うつ病の仕組みや、サプリメントの効果や役割などを交えて説明します。

うつ病になる原因

うつ病にサプリメントが効くかどうかは、うつ病の仕組みを理解する必要があります。うつ病は、様々な原因から、脳内の神経伝達物質の働きが鈍くなり、その結果としてやる気がなくなったり、漠然と悲しくなるなど、身体・精神両面に大きな影響が出ると考えられている精神疾病です。

うつ病と栄養素の関係について

うつ病の原因の一つとして考えられているのが、セロトニンという神経伝達物質の不足や機能の低下ですが、そもそもセロトニンが不足する原因を辿るといろいろなことが見えてきます。

体内でセロトニンを生成するには、その原料として、トリプトファンという必須アミノ酸が必要であり、トリプトファンは、肉類や穀類など、タンパク質を豊富に含む食材に含まれています。
参考:トリプトファンを豊富に含む食材

以下のような理由からトリプトファンが不足すると、その結果セロトニンも不足することで、うつ病になりやすくなることが考えられます。

  • 極端に偏った食生活をしている
  • ダイエットなどにより、栄養素が不足している
  • 忙しくて食事をあまり取れない
  • 好き嫌いが多い
  • ビタミン・ミネラルの摂取不足
  • 腸内環境の悪化

トリプトファンやそれ以外にも健康を維持するために必要な栄養素が慢性的に不足することで、うつ病と密接な関わりのあるセロトニンが不足し、その結果うつ病になる、という流れが考えられます。

バランスよく食事を取ることが、肉体のみならず、精神にとってもどれだけ重要か、が分かります。

サプリメントの役割

慢性的に不足する栄養素を補給するのに、サプリメントは手軽で効率的な手段です。サプリメントとは、普段の食生活だけでは補いきれない、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、その他肉体に必要とされる栄養素を効率的に摂取するための『栄養補助食品/健康補助食品』の総称です。

食品であるサプリメントには、基本的には病気の治療薬のように、『病気を治す効果』はありません。また、何らかの効果・効能を表示することは、一部の特定保健用食品と機能性表示食品を除き、日本国内では薬機法により禁止・制限されています。

トクホと機能性表示食品

近年では、特定保健用食品(いわゆるトクホ)など、一部認可を受けた食品・飲料については、保健用途における効能(例えば『脂肪が減少する』など)を表示することが可能になりました。また、食品表示法の改正により、食品の機能性表示制度が開始されたことで、サプリメントも法律に則った手順を踏めば、限られた範囲で機能性を表示することが認められるようになりました。

しかし、様々なサプリメントの通販サイトなどを見ると、効果効能をはっきりとは記載していないものの、それらの効果を暗示するような文章や、利用者の口コミなどを掲載するなどして、直接的な表現にならないよう工夫を凝らして販売している商品がほとんどです。こうした際どい表現での商品販売は、薬機法に抵触するとして販売者が摘発されるような事態に至るケースもあります。

より詳しくは『サプリメント』をご覧ください。

サプリメントの効果についての考え方

では、うつ病のサプリメントについて話を戻してみましょう。うつ病の症状を治す、または改善・解消する事が期待されるサプリメントに「効果がある」、という根拠は、以下のような考え方から導き出されます。

うつ病の原因の一つとして考えられるのは、
1.セロトニンの不足しているかも
 ↓
2.原料であるトリプトファンが不足しているかも
 ↓
3.サプリメントでトリプトファンを補えば
 ↓
4.セロトニンが増えるかも
 ↓
5.うつ病が治ることが期待できるかも?

という流れが一般的なセロトニンのサプリメントに対する考え方です。

確かに、トリプトファンのような必須アミノ酸が不足するような食生活をしている人には、トリプトファンのサプリメントを摂取すれば、セロトニンを増やすことができる可能性があり、うつの症状に何らかの改善が見られる可能性もゼロではありません。

尚、近年の研究では、トリプトファンを単独で摂取しても、脳内へのトリプトファンの吸収率は決して高くない、という報告もあり、炭水化物などと一緒に摂取するほうが良いとも言われていますので、やはり、単独で摂取するよりも、栄養のバランスを考慮して摂取するほうが効果が出やすいのかもしれません。

うつ病のサプリメントの種類

うつ病関連のサプリとして通販などで販売されているもの多くはセロトニンを増やすサプリメントとして販売されているケースが多く、中でも有名な成分や原料は、
トリプトファン
5-HTP
羅布麻(ラフマ)
セントジョーンズワート
などの名前が付いているものが多いです。
その他にもホスファチジルセリン、ギャバ、イチョウ葉エキス、DHA、EPA、蜂の子、大麦醗酵酵母などの種類が人気です。

こうしたサプリメントは、ネット通販などで手軽に手に入れることができますので、気になるものがあれば、ネットで検索してみて下さい。ただし、同じような名前でも、販売元によってそれぞれ成分や配合量などが異なる場合があるため、購入する前によく内容を比較してから購入することをお勧めします。

サプリメントだけでうつ病は治せない

サプリメント自体は治療薬ではなく栄養補助を目的とした『食品』ですので、何らかの効果が保証されたものではありません。サプリメントで、『うつ病が治る』『うつ症状が改善する』などといった、期待される効果が実感できるかどうかには個人差があるということを理解する必要があります。

そもそも、うつ症状が現れる原因の一つとして考えられるのは『セロトニンの不足』ですが、セロトニンが不足してしまう根本的な原因には、食生活だけでなく、生活習慣の乱れ、職場や学校、家庭などにストレスが存在している可能性があるなど、複合的な原因が疑われます。

根本的な原因を解消せずに、薬やサプリメントだけに頼るやり方では、うつ病を治すことはほぼ不可能です。

セロトニンが不足に至った原因に目を向けて、サプリメントの摂取だけでなく、運動や規則正しい生活、太陽光に当たる、など、セロトニンを増やすために様々なことを心がける必要があります。サプリメントだけに頼らず、生活全般を見直す方向で考えるほうが良いでしょう。

ただ、実際『生活全般の見直し』と言っても、家族や職場でのストレスが原因の場合などは、一人で考えても、二の足を踏んでしまうことが多いと思います。そんなときは一人で悩まず、まずは専門の医師に相談してみてください。

また、実際に医師にうつ病と診断され、現在うつ病の治療薬を処方されている人は、治療薬とサプリメントを同時に摂取すると、治療薬とサプリメントの相乗効果で、セロトニンの脳内での濃度が増えすぎて、『セロトニン症候群』という症状が発症することが懸念されますので、必ず主治医に事前に相談することを強くお勧めします。




authored by

★参考になったと思ったら是非ソーシャルメディアでシェアしてください!