セントジョーンズワート(英:St. John’s wort 学名:Hypericum perforatum 和名:セイヨウオトギリソウ)は、ヨーロッパなどで広く自生するハーブの一種です。ヨーロッパでは古くから染料として、またハーブティーとしてうつ病の治療に利用されてきました。現代ではセロトニンを増やすサプリメントとして広く販売されています。

セントジョーンズワートの扱い

セントジョーンズワートはヨーロッパではうつ病の治療薬として処方されることがあります。日本では薬効を標榜しなければ栄養補助食品として扱われます。

ただ、病気の治療をしている場合は、他の薬との相互作用がある可能性があり、利用には注意が必要です。

セントジョーンズワートの成分

セントジョーンズワートに含まれる主な成分に、ヒペリシン (hypericin) とヒペルフォリン(ハイパーフォリン、hyperforin)があります。

セントジョーンズワートが持つとされるうつ病の改善効果は、「ヒペリシン」が発揮していると考えられてきましたが、現代ではヒペルフォリンがその効果を担っていると言う意見が多くなっています。

うつ病や不安障害への効果

セントジョーンズワートは、ヨーロッパでは古くからうつ病の治療薬として用いられており、軽度、中度のうつ病に効果があるという意見が多く見られます。但し、実際の効果は賛否が分かれるところで、また、正確な効果は特定されていません。

セントジョーンズワートに期待される効果は、うつ病の治療薬として用いられるSSRIと同じで、神経細胞間でのセロトニンの再取り込みを阻害することです。セロトニンの再取り込みを阻害すると、結果として神経細胞間でのセロトニンの濃度が増えることで、セロトニン神経の働きが改善することが、うつ病へ有効な理由であると推測されています。

セロトニンが増えることで期待される効果

セントジョーンズワートには、脳内のセロトニン神経の働きを改善し、セロトニン神経の働きがよくなることで、セロトニンを増やす効果も期待されます。

一般的に脳内のセロトニンが増えることで、以下のような効果が期待できます。

うつ症状の改善/不安を和らげる/イライラの改善/ストレスの軽減/気持ちを落ち着かせる/リラックス効果/睡眠の質の改善/PMSや更年期障害の改善/集中力の増加/意欲の増加
(効果には個人差があります。)

セントジョーンズワートの副作用

セントジョーンズワートを単独で使用した場合、重篤な副作用が起こる可能性は低く、安全性は高いとされていますが、いくつかの副作用が起こる場合があります。

アレルギー症状/体のほてり/発汗/下痢/皮膚のかゆみ/肌荒れ/胃痛/動悸/めまい/吐き気

セロトニン症候群との関係

セロトニン症候群は、脳内のセロトニン濃度が過剰に上昇するために起こる一種の中毒症状で、セントジョーンズワートと他の抗うつ剤との併用による、相互作用で生じる可能性が指摘されています。

セロトニン症候群は、セントジョーンズワートの副作用としては最も重篤な部類だといえます。

また、セロトニン症候群以外にも、セントジョーンズワートと他の薬剤を併用することで、様々な相互作用が起こることや、薬効を弱めることが確認されているため、何らかの薬剤を使用している場合には、セントジョーンズワートを使用する前にかならず主治医や薬剤師に確認するようにしてください。

photo credit: torbakhopper interior world like a fair ride : st. john’s wort flower macro, sacramento (2015) (license)