更年期障害になるとセロトニンが不足しやすい

女性の閉経時期前後、いわゆる更年期に起こる更年期障害は、脳内のセロトニンの分泌にも影響を与えます。脳内で精神の安定などに関わる働きをしているセロトニンは、更年期障害が起こると不足しやすく、イライラや不安など悪い影響が生じます。

エストロゲンの減少がセロトニン不足につながる

更年期障害が起こる原因の一つは、卵巣機能の低下によって起こる女性ホルモンである『エストロゲン』の分泌低下です。

脳内でセロトニンを分泌するセロトニン神経は、脳内の自律神経系の支配を受けており、エストロゲンなど女性ホルモンの分泌は、同じく脳内で内分泌系の支配を受けています。内分泌系と自律神経系の働きはそれぞれ密接な関わりがあり、いずれかの働きに乱れが生じると、もう一方の働きも乱れやすくなります。

通常の月経周期中、エストロゲンは周期前半に多く分泌されるホルモンで、このときセロトニンの分泌も促進されやすくなるため、月経周期の前半は、精神的にも安定しやすく、イライラや不安などPMSの諸症状も起こりにくい時期です。

逆に月経周期の後半(排卵日後)は別の女性ホルモン『プロゲステロン』の分泌が増加し、エストロゲンの分泌量は低下していき、セロトニンの分泌量も低下してしまうため、イライラや不安、倦怠感などPMSの症状が現れやすくなると考えられています。

更年期に差し掛かり、エストロゲンの分泌の慢性的な低下が起こると、内分泌系の働きは乱れ、同時に自律神経系の働きにも乱れが生じやすくなります。これが更年期障害の諸症状が発生する大きな原因であると考えられています。

このように更年期障害の発生と同時に起こりやすい自律神経系の乱れが、セロトニン神経系の働きの乱れにもつながり、脳内でセロトニン不足が起こりやすくなるのです。

ストレスがセロトニン神経を弱らせる

更年期障害は長い人になると10年間ほども続くため、その期間中は更年期障害の症状によるストレスが長く続き、慢性化してしまう場合があります。

慢性的なストレスは、自律神経系の働きを乱してしまうため、脳内のセロトニン神経が徐々に弱って、セロトニンを分泌する力も段々と弱ってしまいます。

詳しくは『セロトニンとストレス』をご覧ください。

食欲低下がセロトニン不足に

人は年齢と共に体の細胞が減っていき、基礎代謝が低下していくため、年齢を重ねると、だんだんと食欲が落ちていくことは自然なことです。

特に更年期障害では、ホルモンバランスの乱れから、吐き気や食欲不振が起こりやすく、食欲が一段と落ちやすくなります。

セロトニンの原材料はトリプトファンというアミノ酸で、肉や魚などのタンパク質に含まれています。また、トリプトファン以外にもビタミンやミネラルなど、様々な栄養素がセロトニンを合成する上で欠かせません。

食欲が低下して食事量が減ると、脳内でセロトニンを合成するのに必要な栄養素が不足しやすくなり、セロトニン不足を起こしやすくなってしまいます。

トリプトファンはサプリなどで補うこともできます。

腸内環境の悪化でセロトニンの材料不足が起こる

更年期は腸内環境が悪化しやすい年齢でもあります。

人の腸には、消化や吸収、免疫力の維持などの重要な機能があります。腸の機能は年齢とともに機能が低下していきます。これは腸の細胞にも老化が起こるためです。

腸の機能低下は、腸内環境の悪化につながり、腸内細菌の減少、免疫力の低下によって、生活習慣病など様々な病気を起こす原因となります。

また、腸内環境の悪化により、セロトニンの材料となるトリプトファンなどの栄養素を文化して吸収する働きも弱くなるため、脳内に届けられるセロトニンの材料が不足しやすくなります。

詳しくは『セロトニンと腸内環境』をご覧ください。

運動量低下でセロトニン不足に

歳を取るとともに、一日の活動量は自然と落ちやすくなります。更年期障害が起こると、その煩わしさから、さらに運動が億劫になります。

脳内のセロトニン神経は、呼吸や脈拍、咀嚼、歩行など、一定のリズムを刻む運動によって活性化されるという特性を持っています。運動量が落ちると、その分セロトニンを活性化させる機会が損なわれることに繋がるため、セロトニン神経が弱りやすくなります。

セロトニン神経を活性化させる運動は、軽い歩行や腹式呼吸水泳サイクリングなど、更年期でも比較的無理なく出来る運動が多いため、積極的に生活の中に取り入れたり、趣味にしてしまうと良いでしょう。

詳しくは『リズム運動でセロトニンを増やす方法』をご覧ください。

グルーミング不足がセロトニン不足に

夫や子ども、家族とのふれあいは、グルーミングと呼ばれる行為に該当し、セロトニンを分泌させるのに効果的です。

ところが、更年期傷害が起こりやすい40代後半から50代前半は、多くの女性が子育てが一段落する時期と重なり、また、夫との結婚生活も更年期障害の症状による煩わしさから、倦怠期に突入しやすい時期です。(大いに個人差があるかと思いますが)

さらに、実の両親は高齢化によりすでに他界している場合や、介護が必要な年齢を迎え、家族との団らんやふれあいの時間は、以前に比べると減少しがちです。

家族とのグルーミングの頻度が減ると、その分セロトニンを分泌させる力が落ちて、セロトニン不足が起こりやすくなります。

グルーミングの効果は、家族だけでなく、友人とのおしゃべりや、犬や猫などペットとのふれあいによっても補うことができますので、できるだけ色々な人と楽しくコミュニケーションを取る機会を設けると良いでしょう。

詳しくは『グルーミングでセロトニンを増やす方法』をご覧ください。

男性の更年期障害でもセロトニンが不足しやすい

更年期障害は、女性だけではなく男性にも起こります。男性の更年期障害は、40代後半から50代前半に発症する人が多いとされます。

男性の場合、テストステロンという男性ホルモンの減少が更年期障害を発生させる引き金となります。また、男性の場合も、仕事や生活の中でストレスを抱えることが、更年期障害の症状を悪化させる原因となります。

男性の更年期障害は性機能の低下だけでなく、女性と同じように、セロトニン不足を起こしやすく、様々な自律神経系の失調症状が起こることがあります。体調の異変を感じたら、医師へ相談しましょう。

詳しくは『男性の更年期障害』をご覧ください。

まとめ

体調や心情の変化が著しい更年期には、今回ご紹介した他にもセロトニンは様々な原因によって不足してしまいます。更年期障害はセロトニンの不足を引き起こし、また、セロトニンの不足は更年期障害のさらなる悪化にもつながります。

こうした負の連鎖が起こらないよう、日頃からセロトニン不足を起こさないように予防するには、積極的にセロトニンを増やす方法を実践することが有効です。

photo credit: Neil. Moralee Mine’s bigger than yours (license)



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