メラトニンが不足して睡眠の質が悪いと感じる人のために、メラトニンを増やすために必要なことをご紹介します。
日常生活の中で、比較的取り入れやすいものを選んでご紹介しています。


1.朝起きたら太陽光を浴びる

メラトニンは脳の松果体というところで分泌されます。
太陽光など強い光の刺激が目から入ると、その光の刺激が松果体に伝わります。
強い光の刺激はメラトニンが分泌のスイッチなっていています。
一般的な生活の場合、朝起きた時に太陽の光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されて、脳が覚醒して自然と目覚めることができます。
同時に、太陽の光によって体内時計がリセットされて、光を浴びた14~16時間後に松果体は再びメラトニンを分泌するようにセットされます。

夜、眠る時にメラトニンを分泌させるには、その14~16時間前に太陽光を浴びることが効果的なのです。
朝、まず目覚めたら、カーテンを浴びて、家の中に自然の光を取り入れると良いでしょう。

2.生活リズムを整える

メラトニンを増やすには、生活リズムを整えることが非常に重要です。
実際、生活リズムの乱れがメラトニンの減少を招いている一番の根源であるとも言えます。
上でも述べたように、メラトニンは朝目覚めてから、14~16時間後に分泌される仕組みになっています。
生活リズムが乱れていて、眠る時間も起きる時間もバラバラだと、メラトニンが分泌される時間もバラバラになってしまい、眠りたい時に眠れなくなってしまいます。

生活リズムが乱れやすい人は、朝起きて14~16時間後にメラトニンが分泌されるという仕組みを利用して、出来るだけ毎日同じ時間に起きるように心がければ、夜も同じ位の時間に眠りに就きやすくなるでしょう。

3.適度な運動を心がける

メラトニンを作り出しているセロトニンは、ジョギングや階段昇り降り、スクワットと言ったリズム運動で活性化される性質があります。
従って、適度の運動はセロトニンが増えるため、メラトニンを増やす上でも効果的です。
また、適度な運動は体を程よく疲労させ、眠りの質を高めますし、同時にストレスの解消や肥満の予防にもなります。
運動不足になりがちな現代人にとっては、うってつけの方法ではないでしょうか。

4.食事からメラトニンを摂取する

メラトニンを含む食品を食べれば、メラトニンを増やすことが出来るかもしれません。
メラトニンを特に多く含んでいる食品として、青汁の定番で、野菜の王様とも言われる「ケール」が知られています。
その他にも、トウモロコシや米、かいわれ大根、バナナなどに含まれていることが分かっています。

ただ、残念なことに、これらの食物を多く取ればメラトニンが増えるか、と言うと、自然に存在する食品には、不眠などを改善するほどに十分なメラトニンが含まれているとは言えないようです。

普段の食事からメラトニンを作り出すには、メラトニンが生成される過程で、その材料となるトリプトファンに着目してみましょう。
トリプトファンは必須アミノ酸で、メラトニンや、その原料となるセロトニンの前駆体です。
トリプトファンは、普段の食事で補いやすい肉類や魚類などのタンパク質に多く含まれているので、摂取しやすいかと思います。
参考:『トリプトファンを多く含む食品

メラトニンを直接摂取したい場合は、サプリメントを利用することも可能ですが、日本国内では現在薬機法により、メラトニンの販売は一般に規制されていますが、ネット通販などで購入することが可能です。

5.就寝前の刺激を避ける

人の体は自律神経系という神経が強く支配しています。
自律神経系には交感神経系副交感神経系があり、交感神経系は、肉体の活発な活動をサポートし、副交感神経系は休息時の体の修復や疲労回復に働きます。
通常、これらの神経系は陰と陽、同時には働かずに、一方が優位なときはもう一方の働きは抑制されます。

日中の脳や体が活発に活動している時には、交感神経系が優位で、夜間に眠っている時は副交感神経系が優位になっています。
つまり、夜眠る時は副交感神経系を優位にする必要がありますが、体が刺激を受けると交感神経系が働いてしまい、眠りに就く邪魔をしてしまうのです。

★副交感神経系が働くのを邪魔する刺激とは、

光の刺激
蛍光灯や、テレビ、パソコン、ゲーム端末、スマートフォンなど、人工の光は脳を刺激してメラトニンが分泌されるのを抑制します。
特に、近年はブルーライトという言葉をよく耳にすると思いますが、パソコンやテレビ、スマートフォンなどのLEDディスプレイから放出されるブルーライトは、メラトニンの分泌を強く抑制するとされています。
ブルーライトによるメラトニンの抑制を防ぐには、ブルーライト対策用のメガネを付けることで軽減出来ますが、一番の対策は眠る2~3時間程前から、パソコンやスマートフォン、テレビなどを見ないようにすることです。
熱い風呂
眠る直前の熱い風呂も要注意です。一般的に熱い風呂とは42度以上ぐらいです。
通常、体の1日の体温リズムは、昼間の活動時に最も高く、夜眠る時にもっとも低下します。
熱い風呂にはいると、深部体温(体の芯の体温)が上がり、交感神経系が刺激されて体が目覚めてしまい、メラトニンの分泌が悪くなってしまいます。
体温の上下とメラトニンの分泌が連動していること利用して、意図的に眠る数時間前に熱い風呂に入って一度体温を上げ、眠る時に下がるようにすると眠りやすくするという方法もあります。
カフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれているカフェインには、覚醒作用があることは有名です。
カフェインの効果の持続時間は結構長く、5~7時間、人によっては10時間以上効果が持続することもあるそうです。
カフェインの覚醒作用が持続している状態では、メラトニンの分泌さ抑制されてしまうため、カフェインの効果の持続時間から逆算して、夕方以降はカフェインの摂取を控えるようにしたほうが良いでしょう。
ストレス
人の体はストレス刺激を感じると、ノルアドレナリンコルチゾールと言った、ストレスホルモンを分泌し、交感神経系を刺激します。 こうした刺激はメラトニンの分泌を阻害してしまいます。
現代社会におけるストレスは多種多様で、自分では無意識な場合もあります。
ストレスについて、詳しくは「ストレスについて」をご覧ください。

上で紹介した事柄を実践、または回避することで、メラトニンが分泌しやすくなります。
ただし、これらはいずれも、すぐに効果が現れるわけではありません。
おおよそ3ヶ月程度を目安に、継続することで実感出来る効果が現れると言われています。

★次のページでは『メラトニンとセロトニンの関係』をご紹介します。