太陽の光、浴びていますか?
人の眠りと太陽の光は非常に密接な関わりがあります。
地球の自転(昼夜の切り替わり)が24時間周期なのに対し、人の生活リズムをコントロールしている「体内時計」は人によって数値は異なるものの、大体24時間プラスマイナス1時間程度の幅の中にあると考えられており、ズレが大きい人の場合、毎日一時間程度のズレが生じてしまうことになるのですが、そのズレを調整をしているのが太陽光です。


太陽光を浴びることで体内時計がリセットされる

地球の自転は一日24時間で一定ですが、人の体内時計は必ずしも24時間ぴったりではありません。人によっておよそ23時間~25時間(ひどい場合はもっと大きくズレている人も)の幅で体内時計が備わっており、太陽がまったく当たらない部屋で過ごすと、人の体内時計はそのずれた分だけどんどんずれていくそうです。

こうした体内時計のズレを調節してリセットしてくれているのが太陽光です。

人は毎朝、太陽光を浴びることで交感神経系が刺激され、脳内でセロトニン神経が活性化することで脳の覚醒が促され、地球の自転(24時間ちょうど)と人の体内時計のズレを解消してくれているのです。

体内時計が正しくリセットされると、日中はセロトニンやノルアドレナリンなどの働きにより交感神経系が優位に働くため、活発に活動することが出来ます。また、夕方から夜に掛けて太陽が沈んで暗くなっていくのに連れ、徐々に副交換神経系が優位に働き始め、活発に働いていた体はリラックスした状態になっていき、段々と眠くなります。これが人が本来持つ、最も人らしく無理のない生活リズムだといえます。

夜決まった時間に眠たくなるのは、体内時計によって睡眠ホルモンメラトニンが分泌されるためです。メラトニンはセロトニンが材料になって合成されるホルモンです。

太陽光は交感神経系を刺激する作用のあるセロトニンの働きに欠かせないシグナルであり、睡眠ホルモンのメラトニンはセロトニンにより分泌が促進される物質であるため、「日中活動して夜眠る」という人間の一般的な生活リズムを維持するためには、一日が始まる朝に起きて太陽光を浴びるということが非常に重要な行為なのです。

太陽光を浴びないとセロトニン神経が鈍化

カーテンを閉めきって日中暗い部屋の中で過ごしたり、起きたときに太陽光を浴びないような夜型の生活を続けると、体内時計が乱れ慢性的に時差ボケのような状態になってしまい、生活リズムを崩します。こうした乱れた生活が習慣化すると、セロトニン神経の働きが鈍くなり、不眠症睡眠障害、自律神経失調症やうつ病などの精神疾患にもつながります。

現代社会では生活スタイルも多様化し、不規則な生活、夜型の生活をする人も増えています。 また、テレビやパソコン、ゲーム等、自然界には存在しない、太陽光以外の人工の光に囲まれて生活している我々は、朝起きて自然な太陽光を浴びて活動し、夜は暗くなったら眠る、という自然な生活リズムとは異なるリズムで生活しています。

こうした不規則な生活によるセロトニン神経の鈍化が、睡眠や精神に対する様々なトラブルに繋がっている可能性があるのです。

太陽光を浴びなくなった我々現代人が、日々を健康的に過ごす為には、セロトニンを活性化させる必要があります。

→詳しくは「セロトニンを増やす方法

セロトニンが不足するとメラトニンも減る

睡眠ホルモンであるメラトニンは、セロトニンが原料となって創りだされるホルモンです。太陽光を浴びないような不規則な生活を送り体内時計の働きが崩れると、セロトニンの分泌が減少してしまいます。そして、セロトニンの減少によりメラトニンの分泌も減少してしまう可能性があるのです。

睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が不足すると、不眠症を始めとした様々な睡眠障害を発症します。特に慢性的に体内時計が乱れた人が発症しやすい睡眠障害が、睡眠相後退症候群や睡眠相前進症候群と言った、『概日リズム睡眠障害』と言われるものです。

体内時計が乱れると自律神経系の働きも乱れる

不規則な生活や太陽光の不足により、体内時計が乱れると、体内時計に同調して働く自律神経系の働きも乱れやすくなってしまいます。

自律神経系の働きが乱れると、朝学校や仕事に行く時間になっても、交感神経系が刺激されないために起きるのが辛くて起きられない、無理やり起きても頭が働かない、ふらつく、気分が悪いなど、いわゆる自律神経失調症と言われる症状が起こりやすくなります。

また、夜になっても副交感神経系が刺激されないため眠たくならず、寝付きが悪い、睡眠が浅いなどの睡眠に関する症状が現れ、普通の生活リズムを送ることが困難になっていきます。

こうした自律神経系の働きの乱れによるトラブルのうち、特に思春期の子どもに起きやすいのが、起立性調節障害という症状です。

こうして太陽光は、単に睡眠に影響を与えるだけでなく、体内時計や自律神経系など私達の体の重要な機能にも影響を与える、まさに生命の源とも言える存在です。朝が辛い人や睡眠に何らかの問題を抱えている人は、太陽光を浴びることをお勧めします。

太陽光を浴びる機会が少ない人には『光目覚まし』がオススメ

現代社会における生活習慣は多様化しているため、夜勤で夕方に起きるため太陽光を浴びる機会が少ない生活習慣を送っている人も大勢いらっしゃるかと思います。また、部屋の向きが北向きだったり、部屋に窓が付いてないなど、時間的、物理的に太陽光が当たりにくい部屋に住んでいて、朝日を浴びることが出来ない人もいます。

太陽光をなかなか浴びることが出来ない人にお勧めなのが、光目覚まし時計です。

自然な太陽光を浴びるのと同じように、交感神経を刺激して体内時計を整える効果、時差ボケの解消、セロトニン活性化やメラトニンの分泌にも効果が期待でき、不眠や自律神経バランスの改善にも役立ちます。

詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。

★次のページでは『睡眠とセロトニン』をご紹介します。

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