トリプトファンとメラトニンの関係

必須アミノ酸であるトリプトファンと睡眠ホルモンであるメラトニン。トリプトファンがメラトニンへと変化するまでの流れから、メラトニンが不足して睡眠に問題が出る原因などをご紹介します。

トリプトファンとは

トリプトファンは、動植物のタンパク質に含まれるアミノ酸の一種で、人の体内では合成できず、かつ人の生命維持に必要不可欠な必須アミノ酸でもあり、非常に重要なアミノ酸です。

トリプトファンは体内で合成できないため、食事によって肉や魚、豆類、穀類などタンパク質を含む食材を食べることで体内に取り込む必要があります。

メラトニンとは

睡眠ホルモンであるメラトニンは、トリプトファンを原材料として、脳内の『松果体』という場所で合成されるホルモンです。

夜間になってメラトニンの合成が促進されると眠気を催し、深い眠りで室の良い睡眠を取ることができ、ストレスを解消したり、成長ホルモンの分泌を促進して肌荒れやアンチエイジングの効果を発揮することができます。

メラトニンはトリプトファンから合成されるホルモンであるため、メラトニンを合成するにはトリプトファンが必要であるといえます。また、メラトニンの睡眠作用から考えると、『良質な睡眠をとるにはトリプトファンを十分に摂取する必要がある』、という言い方もできます。

実際、トリプトファンは睡眠の質を改善したり寝付きを良くする『サプリメント』として人気があります。

トリプトファンがメラトニンになるまで

食事で摂取したタンパク質は、胃や腸で消化されてトリプトファンへと分解されます。トリプトファンは肝臓から血液中へと放出され、脳内に到達してメラトニンへと合成されますが、トリプトファンがメラトニンに合成されるまでの間には、いくつかの特徴的なステップがあります。

  1. タンパク質がトリプトファンへ分解される
  2. トリプトファンが肝臓から血中に放出される
  3. 血中のトリプトファンは、アミノ酸トランスポーターに結合する
  4. トリプトファンはアミノ酸トランスポーターを介して、血液脳関門(BBB)を通過して脳内へと到達する
  5. 脳内でトリプトファンは5-HTPへと変換される
  6. 5-HTPからセロトニンが合成される
  7. セロトニンからノルメラトニンが合成される
  8. ノルメラトニンからメラトニンが合成される

このようにいくつかのステップを経て、トリプトファンはメラトニンへと合成されます。なかでも注目すべきなのは、トリプトファンはメラトニンに直接合成されるわけではなく、いくつかの代謝物を経て最終的にメラトニンへと変化するという点です。

トリプトファンの代謝物の中でも特に重要で有名なのがセロトニンです。セロトニンは脳内で働く主要な神経伝達物質の一つで、精神安定や抗ストレス作用を担う物質です。

トリプトファンからメラトニンが合成されるまでの一連の流れを簡略化すると以下のようになります。

トリプトファン→セロトニン→メラトニン

メラトニンの不足が起こる原因

メラトニンの合成経路から考えると、睡眠の悩みが起こる原因の一端が明らかになってきます。

例えば眠りが浅い人や寝付きが悪い人は、メラトニンの分泌が十分でない可能性があります。メラトニンが不足する原因は、生活習慣やストレスなど様々ありますが、そうした原因の一つとして数えられるのがトリプトファンやセロトニンの不足です。

トリプトファンの不足
トリプトファンの不足とは、当然栄養素としての摂取量が不十分ということですから、食事でトリプトファンを含む食材(肉や魚、豆など)をたっぷりと摂取することがひとつの解決法となります。

詳しくは『トリプトファンを含む食品やレシピ』をご覧ください。

セロトニンの不足
次にトリプトファンは十分だがセロトニンが不足している、という場合ですが、これはストレスが大きな原因を占めます。セロトニンはストレスに対抗するために働きますが、ストレスが続けば続くほど、ストレスが強ければ強いほど、セロトニンを合成する神経が疲弊して、セロトニンの合成が不足していきます。

セロトニンの不足は最終的にメラトニンの材料不足と言うかたちで、睡眠に影響を及ぼします。

実際、セロトニンの不足が主な原因であるうつ病と、メラトニンの不足が原因で起こる不眠症は、ほぼセットで同時に現れる症状です。

こうして、メラトニンをたっぷり分泌して夜の健やかなる睡眠を享受するには、トリプトファンをしっかり摂取し、セロトニンを増やすことが重要なのです。

photo credit: njeejul Sleeping cat (license)



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