肥満やナルコレプシーにも関係する睡眠ホルモン『オレキシン』とは

オレキシン(orexin) とは食欲の増進、睡眠と覚醒の制御、交感神経の活動の促進などの効果があるホルモンです。
オレキシンが分泌されると、筋肉が糖分を取り込む速度が増進し、体のエネルギー消費能力が上がり、スポーツなどの運動時のパフォーマンスにも影響があると考えられています。

オレキシンの効果や働き

オレキシンは、自律神経系のうち、交感神経系の活性と同調する特徴があるため、日中の消費カロリーが多い時間帯に特に多く分泌される物質です。
また、自律神経系の働きとの関わりから、生活リズムを整える効果があり、睡眠との結びつきも密接なことから、『睡眠ホルモン』であるという一面も備えています。

また、オレキシンはナルコレプシーという睡眠障害や肥満、糖尿病とも関わりがあるとされています。

オレキシンと生活リズム

オレキシンの分泌量が変化することで、覚醒を維持したり、眠たくなったりすることが分かっています。
オレキシンの分泌リズムは、人の概日リズム(サーカディアンリズム)自律神経の働きと同調していて、日中の覚醒時には増加し、夜間の睡眠時には減少します。
このことから、オレキシンは睡眠ホルモン『メラトニン』とは真逆の性質を持つ「覚醒ホルモン」であると言えます。

このオレキシンの分泌リズムが乱れたり、日中分泌されなくなることで、食欲がわかずに摂食障害になったり、ナルコレプシーのような睡眠障害を発症すると考えられています。

オレキシンと睡眠障害

オレキシンの分泌の乱れが睡眠障害ナルコレプシーに深く関わっているとされています。
オレキシンを作る遺伝子が無いマウスは突然眠る睡眠発作が現れることが分かりました。
また、そうしたマウスの脳にオレキシンを投与すると、そうした発作は現れなくなるといいます。

こうしたことから、ナルコレプシーという睡眠障害にはオレキシンとそれらを作り出す神経が関わっている事がわかってきました。
また、ナルコレプシー以外にも、時差ボケや不眠症の治療にもオレキシンの有効性が期待されています。

オレキシンの分泌とスポーツのパフォーマンス

オレキシンは食事をすることにより活性化し、その結果、筋肉への糖の取り込み速度を増し、体の運動量を高める可能性があると言われています。
特に、オレキシンは食事で「美味しい!」と感じた時に分泌が活性化されるそうです。
つまり、食事を楽しみ、美味しいと感じることで、スポーツや運動のパフォーマンスもアップする可能性があるというわけです。

オレキシンと肥満

オレキシンには食欲を増す性質があります。
日中のオレキシンが多く分泌されている時間帯に食事を取ると、オレキシンの働きにより、食事から得たカロリーを筋肉で効率よく消費させて、カロリーの余剰化を防ぎます。
しかし、夜間のオレキシンの分泌が減った時間帯に食事をすると、オレキシンの働きが鈍っているため、うまく筋肉でのカロリー消費が行われず、必要以上にカロリーが余ってしまいます。

筋肉で使い切られなかったカロリーはインスリンの働きにより分解され、その一部は肝臓や脂肪に蓄えられます。

このことから、夜間のオレキシンの働きが少ない時間帯に食事をすると、肥満になりやすい可能性が考えられます。

参考記事:夜食べると太るは本当?

また、オレキシンの分泌が慢性的に減少すると、昼間に食事をした際にも筋肉でのカロリー消費量が減り、糖分があまり安くなるため、血糖値が下がりにくくなり、肥満症や糖尿病などの病気につながる可能性もあります。

オレキシンの増やし方

オレキシンは、ドーパミンに代表される「報酬系」と言われる神経系と同じような働きをすることがあるということがわかっています。

報酬系とは、何らかの行動の結果から「嬉しい」「気持ちいい」という快感を得た時に、また同じ快感を味わうために意欲的にさせる働きを持っています。

オレキシンは食事で「美味しい!」と感じた時に分泌が活性化されるそうです。
こうした性質を利用して、食事を味わって食べることでオレキシンの分泌を高めることができるそうです。

とても単純で簡単なことのように思えますが、よくよく考えてみると、飽食の時代を生きる私たち現代人は、その都度の食事を深く味わうことが少なくなったのかもしれません。

オレキシンの分泌が減少することで発生すると言われる睡眠障害『ナルコレプシー』の罹患率の割合は、世界の中でも日本人がかなり多い傾向があるそうで、日本人が「食事を楽しむ」ということを忘れてしまっていることの現れなのかも知れません。

もう一つ、オレキシンの増やし方として重要なのが、規則正しい生活(食事、睡眠、運動など)です。
オレキシンは人の自律神経の働きと同調して分泌されるので、生活リズムが崩れることで、自律神経の働きが乱れると、オレキシンの分泌リズムも崩れる可能性があるのです。
私たち現代人は忙しく、生活リズムが乱れたり、睡眠不足になりがちですが、そうしたこともオレキシンが不足する一因になる可能性がありますので、是非生活習慣を見直すようにしてみてください。

尚、オレキシンの食欲増進作用と同じような作用を持つホルモンとして、胃から分泌されるグレリンというホルモンがあります。



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