起立性調節障害に潜むセロトニン不足

起立性調節障害は思春期の子どもに多くみられる自律神経失調症の一種で、朝が苦手で起きられない、立ちくらみやめまいを起こしやすい病気です。起立性調節障害の原因として、自律神経の働きの乱れが挙げられますが、そもそも自律神経系の働きが乱れる根本にはセロトニン神経の衰弱が潜んでいます。

セロトニンが自律神経系に与える影響

セロトニンは脳内で働く主要な神経伝達物質の一つで、ノルアドレナリンドーパミンと合わせて『三大神経伝達物質』とも言われます。

セロトニンは、自律神経系のうち、交感神経系の興奮と深く関わっており、交感神経系が支配する脳の覚醒血管や筋肉の収縮などの作用を担っています。

朝起きて脳が覚醒するとき、脳内のセロトニン神経から交感神経系を刺激する信号が発せられて、身体が目覚めて活動することができます。

セロトニンが不足することで交感神経系が弱る

何らかの影響でセロトニン神経が弱ったり、セロトニンが不足すると、交感神経系への刺激が十分に行われなくなるために、朝が辛い、頭がボーっとする、血液の巡りが悪くめまいがするなど、まさに起立性調節障害の症状と同じような症状が現れるのです。

セロトニン神経が弱ったりセロトニンが不足する原因となるのは、ストレス、睡眠不足、低体温、姿勢が悪い、生活習慣の乱れ、食生活の乱れ、運動不足など、様々ありますが、こうした原因となる要素の一つ一つは現代社会においては、昔よりも確実に影響が増えていると言えます。

例えばセロトニンが不足する原因の一つである『睡眠不足』ですが、昔は明りそのものが貴重であり、太陽が沈んだ夜は暗くなったら眠るしかありませんでした。

現代では、人工の明りが開発されてからは、夜中でも街は明るいままになり、活動できる時間もその分増え、生活スタイルも夜勤やシフト制などが現れ多様化しました。その結果、人類全体の活動時間は夜にまで広げられ、昔よりも睡眠時間が減ったことで、睡眠不足を起こしやすい社会構造へと変化したのです。

また、こうした社会構造の変化の中で同時に増えるのが、生活習慣の乱れや食生活の乱れ、さらにそうした生活環境の悪化によってストレスも着実に増えています。様々な変化が人々の間で積み重なることで、セロトニン神経が弱りやすく、セロトニンが不足しやすい社会になってしまったのです。

こうしたセロトニンが不足しやすい現代において、自律神経系の乱れからくる起立性調節障害は必然的な現代病とも言えます。

セロトニン不足解消と起立性調節障害の改善は同じ

セロトニン不足によって起立性調節障害が起こったのか、起立性調節障害がセロトニンの不足を招いたのか、卵が先か鶏が先かは別として、セロトニンの不足を解消する方法と、起立性調節障害の症状を改善する方法は非常に似通っています。

それぞれの原因となっている、自律神経系の乱れを治すことはセロトニン不足を解消することと同じだからです。

セロトニンを増やす方法

セロトニンを増やす方法として有効なのが以下のような方法です。

・早寝早起きの規則正しい生活
・太陽光を浴びる
・リズム運動をする
・食事でよく噛む
・グルーミングやスキンシップ
・トリプトファンを摂取
・腸内環境を整える

詳しくは『セロトニンを増やす方法』をご覧ください。

起立性調節障害は早寝早起きが苦手

セロトニンを増やして自律神経系の働きの乱れを改善する方法の中でも、起立性調節障害の人がもっとも苦手なのが、『早寝早起き』で『規則正しいリズムで生活すること』です。

起立性調節障害の場合、朝は交感神経系への刺激が不十分なため、脳が十分に覚醒せず、起きること自体が困難です。

また、夜は夜で本来働くはずの副交感神経系が十分に働かず、逆に遅れて働き出した交感神経系のせいで、なかなか眠くならず、深夜になっても眠れないか、眠っても眠りが浅くすぐ目が覚めてしまいますので、早寝早起きで規則正しくしろと言われても、そもそもそれが一番難しくて困っていることでもあります。

起立性調節障害を無理せず改善する第一歩は

早寝早起きで規則正しい生活は、起立性調節障害の人に取って非常にハードルが高い難題です。そんな人が無理せず第一歩を踏み出すためには、ある仕掛けが必要です。

それは太陽光です。

地球上の生命の源でもある太陽光は、自然の中に存在する交感神経系を刺激する強いシグナルです。朝起きたときに太陽光を浴びることで、その刺激が脳に伝わって、セロトニンが分泌されて脳が覚醒しやすくなります。

現代人は部屋の中で生活するため、太陽光を浴びる機会が減ったことも、起立性調節障害の原因の一端と言えます。

しかし、太陽光は必ずしも外に出て浴びる必要は無く、また、直接目で見る必要もありません。窓から間接的に入ってくる光を目の網膜で感じることで、十分な脳への刺激になります。仮に例え目を閉じていても、まぶたから光を感じて一定の刺激になります。

ただし、光なら何でもいいのかというと、光の強さが重要で、家の中にある一般的な蛍光灯やライトでは十分な刺激になりません。

やはり最も有効なのは、自然な太陽光ですが、環境や生活リズムなどによって、どうしても起きたときに太陽光を浴びることが出来ない場合は、太陽光による光刺激の代替として光目覚ましを使うことをおすすめします。

光目覚ましは強い光を自動的に放つ器具で、太陽光を浴びたときのように交感神経系への刺激が得られます。実際、起立性調節障害などの治療として高照度光療法などで、こうした光による刺激が使われています。

光目覚ましを使う習慣を数ヶ月続けることで、朝起きるのが困難だった人でも、次第に自然と朝の光によって覚醒しやすい状態に、自律神経系のバランスや体内時計が調整されていきます。

また、朝の交感神経系の刺激が習慣化されて、体内時計の働きが徐々に正常化することで、夜になると副交感神経系が優位になりやすくなり、睡眠ホルモンメラトニンも分泌されやすくなって、悪かった夜の寝付きが良くなり、浅かった眠りも深くなると言った睡眠の質の改善にも繋がり、生活の質(QOL)全体を高める効果が期待できます。

詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。

photo credit: Depression (license)



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