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セロトニンとドーパミンとノルアドレナリンは脳内や中枢神経系で働く神経伝達物質のうち、モノアミン神経系と呼ばれる神経伝達物質です。この3つの神経伝達物質は、人の感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠といった、人体の重要な機能に深く影響を与えているため、しばしば三大神経伝達物質と表現されることがあります。

役割と特徴

セロトニンとドーパミン、ノルアドレナリンそれぞれの働きの特徴などをご紹介します。

ドーパミン

役割
・快楽を司り報酬系と言われる神経伝達物質
・向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能に関与
・ノルアドレナリンの前駆体

特徴
分泌が不足すると、物事への関心が薄れ、運動機能、学習機能、性機能が低下する可能性があります。ドーパミンの減少がパーキンソン病の原因とも考えられています。一方、ドーパミンの分泌が過剰だと、統合失調症や過食症、その他アルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症を引き起こす可能性があります。

ノルアドレナリン

役割
物事への意欲の源、生存本能を司ります。ストレスに反応して怒りや不安・恐怖などの感情を起こすため、「怒りのホルモン」や「ストレスホルモン」などの異名を持ちます。また、交感神経を刺激して心身を覚醒させる働きがあります。

ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体でもあります。

特徴
分泌が不足すると、気力や意欲の低下、物事への関心の低下など抑うつ状態になりやすいとされ、うつ病の原因とも考えられています。逆に、分泌が過剰だと、怒りっぽく、イライラ、キレやすくなり、躁状態を引き起こします。血圧が上がるため、高血圧症や糖尿病の原因になるとも言われています。

セロトニン

役割
精神を安定させる役割を担っています。ノルアドレナリンやドーパミンの分泌をコントロールして暴走を抑えます。咀嚼や呼吸、歩行といった反復する運動機能にも関与しています。

特徴
セロトニンが不足すると、ぼーっとしやすい、鬱っぽくなる、パニックを起こしやすいなどの症状が現れます。投薬などで過剰になると、精神が不安定になったり、発汗や発熱、振戦(震え)など、セロトニン症候群という症状が起こることがあります。

相互の影響

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは単体でもそれぞれ心身に重要な影響を与える働きをしています。そして、何より重要なのは、これらの物質は、それぞれ相互に影響を与え合う関係にあることです。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンがバランスよく分泌されることで、心身のバランスも保たれています。

セロトニンとドーパミン

セロトニンとドーパミンの関係は、セロトニンがドーパミンの働きを制御することで保たれます。物事への興味や関心を得るためのモチベーションは、ドーパミンが放出されることで得られる「快感」によって生み出されていると考えられています。

人類が海に出て未知の大陸を目指したのも、アポロが月へ行ったのも、達成した時に得られる快感があったからこそだと考えられますし、こうして更なる快感を求めて人類は進化を続けて来たとも言えます。

一方、ドーパミンによる快感だけを追い求めると、際限なく満足できない状態になります。そんなドーパミンの働きにブレーキをかけて、正常な精神状態、つまり平常心を保つ役割をするのがセロトニンです。

ドーパミンが人類を進化させてきた未知への飽くなき探究心の源だとすれば、セロトニンはそれを制御する安全弁であり、モラルなどを守るための自制心として働いています。

こうしたセロトニンとドーパミンの分泌バランスが崩れると、心身に様々な影響が生じます。ドーパミンの分泌が過剰なことで起こると考えられている疾病の一つに統合失調症があります。統合失調症の治療には、セロトニンやドーパミンの働きに作用のある薬剤が広く用いられています。

また、セロトニンが弱まりドーパミンが暴走すると、アルコールやパチンコなどの依存症に陥りやすくなると考えられています。

セロトニンとノルアドレナリン

セロトニンとノルアドレナリンには、ノルアドレナリンによる身体の興奮をセロトニンが鎮静していると言う関係があります。

ノルアドレナリンは、主にストレスに反応して分泌される物質で、ストレスに対して怒りや恐怖、不安などの感情の反応を示します。これは主に、例えば人が獣に襲われたときに、怒りで身体を奮い起こして反撃するのか、恐怖によって逃げるのかと言った、生存のための適切な行動の選択、またはそうした状況に陥らないために、常に不安を抱くことで、注意力や集中力を高めることを促す原始的な本能によるものです。

ノルアドレナリンは脳を覚醒させ、集中力や判断力を高めますが、一方で興奮作用があるため、分泌されると怒りっぽく、イライラしやすくなったり、躁状態になりやすくなります。

ノルアドレナリンが過剰に働こうとするとき、その働きを抑えて精神を鎮静させるのがセロトニンです。セロトニンは抗ストレス作用を持ち、怒りや恐怖と言った不安を鎮めて、感情を安定させています。

ドーパミンとノルアドレナリン

「快楽を司るドーパミン」と「怒りのホルモン・ノルアドレナリン」には、非常に密接な関係があります。

ドーパミンとノルアドレナリンはチロシンと言う同じアミノ酸から作られる物質で、カテコールアミンという神経伝達物質に分類されます。また、ドーパミンはノルアドレナリンを合成する前駆体でもあり、ノルアドレナリンの合成にはドーパミンが必要になります。そのため、これらの物質のトランスポーターや代謝・分解に関わっている酵素などの多くが共通しています。

ドーパミンとノルアドレナリンはストレスに強い関わりがあります。ストレスを受けると、ストレスに抗うためにノルアドレナリンが分泌されますが、同時にドーパミンも分泌されやすくなります。

ストレスを解消する手っ取り早い手段が、ドーパミンを分泌させて快感を得ることだからです。ストレスは食事をしたり、運動をしたり、たばこを吸ったりアルコールを飲んだりすることで、ドーパミンを分泌させて解消(麻痺)させることが出来ます。

そのため強いストレスを受け続けると、その解消手段として快感を得られる何か(人によって、環境によって対象は異なる)を体が欲しやすくなります。ドーパミンが暴走すると、やがてアルコール依存症やギャンブル依存症などの依存症へと繋がります。

また、ノルアドレナリンが分泌されるストレスと、ドーパミンが分泌されるストレスには、一定の違いがあります。

ノルアドレナリンが反応するのは、暑い/寒い/痒い/痛い/苦しい/つらい/悲しいなど、肉体や精神が感じる「不快な刺激」に対してです。(※ストレスは必ずしも実感出来るものとは限りません。)

一方、ドーパミンは『欲望や渇望』という形でストレス生み出します。何かをしたい、何かが欲しいといった欲望は、達成されないうちはストレスでもあり、それが物事への意欲やモチベーションへとつながっているのです。

ただし、ドーパミンの生み出す欲望が行き過ぎると、法を犯してでも目的を達成しようとするなど、間違った方向へと進んでしまうかもしれません。


社会と言う枠組みの中で生きるためには、社会に参加するための意欲や積極性、そして時には節度を守るための自制心や平常心、判断力が必要です。こうしたバランスを保つ上で、ご紹介した3つの神経伝達物質の分泌のバランスが大切であると言えます。