中学生に必要な睡眠時間

中学生にとっての睡眠は特別な意味を持ちます。睡眠時間の多さによって、身長が伸びやすかったり、勉強の成績が上がりやすくなったり、中学生にとっての睡眠時間は中学校での生活だけでなく、その後の人生をも左右することさえあるのです。

中学生の睡眠時間の実態

平成28年社会生活基本調査によると、中学生の平均睡眠時間は『8時間6分』でした。

参考:総務省統計局-「平成28年社会生活基本調査の結果 第4-1表 ライフステージ,行動の種類別」

米国立睡眠財団によると、中学生に推奨される睡眠時間の目安は「8時間~10時間」ですから、現代日本の中学生の睡眠は、概ね足りていることになります。

尚、同財団によると中学生にとって最低限必要な睡眠時間(下回ると悪影響が生じやすくなる目安)は「7時間」ですから、睡眠時間が平均以下の場合でも7時間は下回らないようにしましょう。

参考:米国立睡眠財団-「HOW MUCH SLEEP DO WE REALLY NEED?

中学生に十分な睡眠時間が必要な理由

「推奨の睡眠時間が8~10時間と言うのは長すぎる」
「部活や受験勉強で忙しいのにそんなに睡眠時間は取れるわけがない」

と考える人も多いと思いますが、中学生にこれほど多くの睡眠時間が必要なのには確たる理由があります。

睡眠の重要性について

「人が何故睡眠をとるのか」ということは完全には解明されていませんが、睡眠には様々な効果があることが分かっています。

  • 疲れを取る
  • ストレスを解消する
  • 体の成長
  • 記憶の整理
  • 病気の予防
  • 傷を治す

詳しくは『睡眠の効果と重要性』をご覧ください。

こうした睡眠の効果のうち、中学生にとって特に重要なのが、「体の成長」、「記憶の整理」、そして「ストレスの解消」です。

成長ホルモンによる体の成長
睡眠中は、体を成長させる成長ホルモンの分泌が活性化される時間です。

成長期の中学生にとって、成長ホルモンは特別な意味を持ちます。成長期に成長ホルモンがどれだけ活発に分泌されたかで、体が大きく成長するかどうかが変わってくるのです。

成長ホルモンの分泌量は睡眠時間の長さに比例して多くなるため、睡眠時間が長いほうが、より多くの成長ホルモンの分泌が起こり、より大きく体を成長させることが期待できるのです。

成長期が終わったあとにいくらたくさん睡眠をとっても体は大きくなりませんから、この中学生時期の睡眠時間と言うのは、一生のうちでも特別なものなのです。

記憶の整理が行われる
人は起きている間に様々なことを見聞きして、脳は見聞きしたことを記憶していきます。一日の中で膨大な情報を記憶した脳は、睡眠中に「記憶の整理」を行っています。

記憶の整理とは、いわば記憶の取捨選択です。記憶した情報の要不要を選択し、必要なものは「長期的な記憶として定着」させていきます。これが人が物事を記憶して学習(習慣化)するプロセスです。

つまり人は、見聞きした記憶を睡眠中に整理することで、学習結果として定着させているのです。

中学生の睡眠時間が少なくなると、その分昼間の授業や学習塾で勉強したことが定着せず、学習効率も悪くなってしまうのです。

多くの中学生は、高校受験に向けて日々多くの時間を勉強に費やしていますが、いくらたくさん勉強しても、その分睡眠時間が減ってしまうと、せっかく勉強したことが記憶として定着しにくくなってしまい、成績が上がりにくくなるのです。

ストレスの解消
睡眠中は記憶の整理が行われ、同時に心身のストレスも解消してくれます。

大人でも子どもでも、人にとってストレスは切っても切れないもので、特に中学生は思春期や反抗期を迎える時期でもあり、学校や部活での友人や先生との関係、勉強のストレス、家庭での親との不和など、様々な種類のストレスを抱えがちです。

こうしたストレスを抱えたまま生活を続けると、いずれは無理がたたって不登校に陥ったりすることもありえます。

ストレスを解消するのに最も有効なのは睡眠ですから、たっぷり睡眠をとることは体の成長や勉強のためだけでなく、子どものメンタルケアのためにも大変重要なことなのです。

とは言え、忙しい中学生が毎日8~10時間もの睡眠時間を確保するというのは、実際問題として至難の業です。

あくまでも8時間以上睡眠時間を確保するのが理想的ではありますが、どうしてもそれが難しい場合には、最低限必要な睡眠時間だけは確保するべきでしょう。

中学生の睡眠時間は最低7時間

現代の中学生は、部活や塾などで昔に比べて多忙です。中学生に推奨される睡眠時間は8時間~10時間ですが、どうしてもそんなに多くの睡眠は取れない、というケースも中にはあるでしょう。

長期的、慢性的に睡眠時間が少ない生活を送ることは、心や体の成長に大きな悪影響が生じますので、どうしても推奨睡眠時間が確保できない、という場合であっても、最低7時間程度は睡眠時間を確保できるような生活リズムを保って頂ければと思います。

毎日7時間以下の睡眠時間が習慣化すると、日中の活動に影響が現れます。例えば、授業中の集中力や、部活や運動時のパフォーマンスなどが低下します。当然、こうした状態が続けば、成績の低下や部活でのレギュラー脱落などにつながります。

本来、睡眠を削ってでも力を注ぎたい受験勉強や部活といった事柄に、睡眠不足のせいで力が発揮できなくなるという、本末転倒が起こるのですから、睡眠不足を決して軽視せずにできるだけたっぷりと睡眠時間を確保しましょう。

起床時間を固定する
忙しくて生活リズムが不規則で就寝時間がバラバラな場合は、無理に就寝時間を固定せず、そのかわり、できるだけ毎日同じ時間に起きるように習慣づけすると良いです。

自律神経系の働きは、朝起きたときにスタートし、夜になると自然と沈静化していくため、朝起きる時間を固定すると、自律神経系の働きが整いやすく、寝付く時間も自然と安定するからです。

中学生の睡眠時間が少ない場合の悪影響

心も体も成長過程ある中学生にとって、睡眠時間が短くなることによって様々な悪影響が生じることが考えられます。

自律神経系の乱れ

自律神経系は脳や体の覚醒と鎮静を司る神経系で、規則正しい生活の中で育まれていきます。思春期や成長期を迎える中学生の場合、この自律神経系の発達が十分でない場合があり、低血圧で朝起きられないとか、学校の朝礼で倒れてしまうと言った生徒もいます。

成長期は自律神経系の未発達によって『起立性調節障害』という特有の症状を起こすことがあり、朝が苦手な子、めまいやたちくらみを起こしやすい子、不登校になりがちな子などはこの症状を抱えている場合が多いです。

自律神経系の発達には、体の成長を促す睡眠が必要不可欠ですから、睡眠が不足すればその分自律神経系の発達も遅れやすく、働きが乱れやすくなることが考えられます。

学力が低下しやすい

中学校では学校や塾での授業の難易度が上がり、授業についていけない生徒も出てきます。特に睡眠不足の生徒は、意図せずとも授業中に眠ってしまったり、ぼーっとしてしまって授業が耳に入ってこずに、学力が伸びにくくなってしまいます。

また、夜の睡眠中は授業で習ったことを整理し、記憶として定着させるための重要な時間ですが、睡眠の時間が不足すればその機会は失われ、学習したことが中々定着しません。

こうして睡眠不足の生徒は学力が低下しやすくなってしまうのです。

体の成長の遅れ

睡眠中は成長ホルモンが活発に分泌されますから、睡眠時間を多く取ればその分成長ホルモンによって体が成長しやすくなりますが、逆に睡眠時間が不足すれば、体の成長は遅れやすくなってしまいます。

また、成長期にある中学生に取って、睡眠時間が少ないことによってもう一つ体に起きやすいことがあります。それは二次性徴の訪れです。(小学生で起こる子も多い)

二次性徴とは体が、成人の状態になることを意味し、男性なら精通、女性なら生理が始まります。

二次性徴そのものは喜ばしいことなのですが、困ったことが一つあります。二次性徴が起こると、体の成長が止まってしまうのです。つまり、二次性徴が早く起これば起こるほど、体の成長が早く止まってしまいやすくなるため、つまり身長が低くなりやすいのです。

二次性徴の早まりと睡眠時間の関係は、メラトニンという睡眠ホルモンにあります。メラトニンは睡眠前に分泌量が増加することで眠りを誘うホルモンです。このメラトニンには「二次性徴を遅らせる」という特徴ががあり、メラトニンが多く分泌されている場合のほうが、より二次性徴の訪れが遅くなりやすい、つまりその分長く成長期が続く、という傾向があるのです。

睡眠ホルモンであるメラトニンは、睡眠時間の長さに比例して分泌量が増加しますから、睡眠時間が少なくなればその分メラトニンの分泌量も減少し、二次性徴が早く訪れやすくなってしまうのです。

就寝前のスマホの利用にも注意が必要

最近では、中学生でも自分専用のスマホを持つことが当たり前になっていますが、就寝前のスマホの利用には注意が必要です。スマホのような電子端末の液晶画面からは、ブルーライトという脳を覚醒させる光が出ており、就寝前にスマホを見ていると、脳が覚醒したまま中々眠たくならず、睡眠を妨げてしまうことがあるのです。

また、就寝前に脳が覚醒して興奮することで、睡眠中の眠りの質も悪くなってしまい、夜中何度も目覚めたり、朝はやく起きすぎてしまうと言ったことにもつながります。

スマホ以外にもテレビや部屋の照明なども、眩しい光の刺激は脳を覚醒させてしまう原因となるため、就寝前2時間前ぐらいからは、スマホやテレビの利用は控え、部屋の照明もできるだけ暖色系で暗くして、脳が睡眠へと向かうようにしてあげると良いでしょう。



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