高校生に必要な睡眠時間

高校生にとって睡眠時間が足りているかどうかは、貴重な高校生活の3年間をどれだけ充実して過ごせるかのバロメータでもあります。睡眠時間が不足していれば勉強や運動のパフォーマンスやモチベーションが低下してしまうのです。

高校生の実際の睡眠時間

総務省の平成28年社会生活基本調査によると、高校生の実際の睡眠時間の平均は「7時間33分」です。

参考:総務省統計局-「平成28年社会生活基本調査の結果 第4-1表 ライフステージ,行動の種類別」

一方で、米国立睡眠財団によると、高校生に推奨される睡眠時間の目安は「8時間~10時間」ですから、現代日本の高校生の睡眠時間は若干不足している事になりそうです。

参考:米国立睡眠財団-「HOW MUCH SLEEP DO WE REALLY NEED?

さらに、ベネッセ教育総合研究所の調査によると、一日の睡眠時間が6時間以内だと回答した高校生の割合は50%を超えていました。6時間以内の睡眠時間では、成人でも本格的な睡眠不足となりますので、まだまだ発展途上の高校生にとっては、到底足りない数字です。

データの収集条件などが異なるため、総務省とベネッセのデータを同列視して扱うことはできませんが、いずれにしても平均的な睡眠時間に達していない高校生の数が非常に多いということが推測されます。

高校生の睡眠時間不足の悪影響やリスク

高校生にとっての睡眠時間の不足は、学力の低下や部活でのパフォーマンスの低下、勉強や運動に対するモチベーションの低下、そして不登校や引きこもりの原因にもなります。

学力や成績の低下
高校生の睡眠不足で最も懸念される悪影響が、学力や成績の低下です。日常的に睡眠時間が不足していると、学校での授業中に眠気を催して眠ってしまったり、集中力が低下してボーっとして授業が頭に入らなくなりやすく、難易度の高い高校の授業からは簡単に取り残されてしまいます。

また、睡眠中は授業で学んだことを、長期記憶として定着させる、いわゆる記憶の整理が脳内で行われていますが、睡眠時間が減ると、その分記憶の整理も疎かになるため、せっかく学んだことも記憶として定着しにくくなってしまうのです。

こうして睡眠不足は、勉強の効率を大幅に低下させてしまうため、学力や成績の低下につながってしまうのです。

部活動でのパフォーマンス低下
高校では部活動を頑張る生徒も多くいますが、睡眠不足は部活動にも悪影響を生じさせます。

スポーツ系の部活の場合、運動技術の向上や筋肉の発達には、脳や体の覚醒状態が大きく影響します。睡眠が不足していると、日中の脳の覚醒度が低下するため、運動のパフォーマンスが低下しやすくなり、また、体力的にも疲労を蓄積しやすいため、体力面で周囲の生徒に遅れを取りやすくなります。また、技術の習得にも遅れが出やすくなります。

周りから取り残されていけば、部活に対するモチベーションも低下していき、部活そのものをやめてしまうことにもつながります。

肉体的な活動の少ない文化系の部活の場合であっても、やはり日中の脳の覚醒というのが大きく影響するため、睡眠不足でボーっとした状態では、良いパフォーマンスが発揮できなかったり、睡眠中の記憶の整理が疎かになって技術の習得が遅れやすいため、円滑な活動の妨げとなってしまいます。

コミュニケーション能力の低下
高校では中学校よりも多くの地域から知らない生徒同士が集まってくるため、知っている人よりも知らない人のほうが多くなります。知らない者同士が一から人間関係を築いていく上では、コミュニケーション能力の優劣が大きな影響を及ぼします。

睡眠が不足していると、他人の気持ちが読めない、自分の表情が暗くなる、会話が億劫になる、会話の内容を覚えていない、などコミュニケーション能力も低下してしまうため、学友との良好な友人関係を築くことが、難しくなってしまうことがあります。

ひとたび友人の輪から外れてしまうと孤立化したりいじめの対象にもなりやすいため、学校内での良好な友人関係を築く上でも、睡眠時間をしっかりとることは重要なのです。

不登校・引きこもりのリスク増加
睡眠不足による成績の低下、部活へのモチベーション低下などは、学校に行くことそのものが嫌になるきっかけにもなります。

また、睡眠が不足していることで、朝起きることが辛くなってしまい、結局学校を休みがちになって、最終的には不登校や引きこもりになってしまうことも考えられます。

ほんの少しの生活のズレによるちょっとした睡眠不足だと思っていたり、中学生よりも大人に近づいたのだから、少しぐらい睡眠時間を削っても良いだろうなどと考えていると、それが成績不振や孤立、不登校にまでつながるリスクがあるのです。

高校生活が終わると、その後は大学や専門学校、または就職して社会人になるという進路が一般的ですが、高校時代を不登校や引きこもりとして過ごしてしまうと、その後の進路が閉ざされてしまい、社会からのドロップアウトにつながるリスクも増加してしまうのです。

高校生の生活行動を中学生と比較する

冒頭で紹介した総務省のデータで年齢の近い中学生と高校生の睡眠時間を比較すると、中学生の平均は8時間6分なのに対し、高校生の平均は7時間33分と、30分程度減少していることがわかります。

中学生の睡眠時間は全体的に足りている領域にありますが、高校生の睡眠時間は全体的に不足しています。両者にこれほどの差が出てしまう理由は、中学生と高校生の生活行動を比較すると明らかになります。

総務省の統計では、睡眠時間以外にも通勤通学など、勉強などの各生活行動にどれだけの時間を費やしているかがわかります。

各生活行動の中で、中学生と高校生の生活行動で大きく変わるのは「バイト」と「通学時間」です。

高校生になると、自宅から遠く離れた学校に通うケースが増え、また法律的にアルバイトができる年齢になるため、何らかのアルバイトを始める生徒も多くなります。

バイト時間
高校生:16分/中学生:1分

通学時間
高校生:61分/中学生:39分

バイトと通学に費やす時間を中学生と比べて見るとその差は「37分」です。勉強や食事などの生活行動には高校生と中学生で大きな差がないことから、バイトと通学時間の差が高校生の睡眠時間が中学生よりも減少する理由の一つとして考えられます。

特に、通学時間は約2倍程度の差がありますので、通学時間が増えたことが睡眠時間の減少に直結しているとも考えられます。

中学から高校へ進学する際の学校選びでは、より自宅から近い学校を選ぶことも睡眠不足なく充実した高校生活を送るために、そしてその後の人生を充実したものにしていく上ためにも重要なポイントであると言えそうです。



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