寝不足で太る」というのはご存知でしょうか?人間の昼夜の活動は自律神経系によって制御されていて、そのうち、活動が活発な昼間は交感神経系、体を休めて眠る夜間は副交感神経系がそれぞれ支配しています。寝不足になると、交感神経系と副交感神経系の働きに乱れが生じて、それがホルモン分泌が乱れに繋がって太る原因となっているのです。

自律神経系の働き

人類にとって、昼間は『活動エネルギー=食べ物』を手に入れるために、狩りなど激しい運動や時には命の危険にさらされ、強いストレスを感じる時間帯で、ストレスに抗い、体を活発的に活動させるために働いているのが交感神経系です。

逆に夜間は、日中に疲労して消耗した体を安め、傷を癒やす時間で、副交感神経系が働きます。体を効率的に休めるには睡眠が特に効果的で、睡眠中に成長ホルモンなどの分泌により、疲労を回復し、傷は癒され、エネルギーを脂肪に変換して蓄える、という仕組みになっています。

そして、こうした自律神経の働きと共に、分泌される種々のホルモンが、体組織の維持や脂肪の分解にも寄与しています。

寝不足によるホルモンの乱れが肥満に

寝不足になると、こうしたホルモンの分泌バランスが崩れ、脂肪を分解する力が減ってしまうのです。

e-ヘルスネットによると―
寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。
~中略~
慢性的な寝不足は糖尿病などの生活習慣病の他、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患に罹りやすいことが明らかになっています。

引用元:睡眠と生活習慣病との深い関係|e-ヘルスネット

また、農林水産省のホームページでは以下のように語られています。
夜遅い時間に食事をとると、食事からとったエネルギーが消費されにくいので、余分なエネルギーは体脂肪として蓄積されやすくなります。最近の遺伝子レベルの研究からも夜遅く食べると太りやすいことが実証されています。また、翌朝、食欲がなくて朝食が食べられない原因にもなり、生活リズムも乱れやすくなります。

引用元:農林水産省/夜遅く食事をとるときは

このように、「寝不足で太る」という事実とともに、夜遅い食事にも生活リズムを崩す可能性が指摘されており、生活リズムの崩れや睡眠の質の低下が自律神経の乱れを招いて、ホルモンの分泌にも影響を及ぼし、肥満に至る、という構図が成り立ってしまうように思えます。

睡眠と肥満に関係するホルモン
グレリン→食欲を高めるホルモン
オレキシン→食欲を高めるホルモン
レプチン→満腹中枢に働き、食欲を抑えるホルモン
コルチゾール→ストレスホルモン。血圧上昇や栄養素の代謝に関わる。
成長ホルモン→睡眠中に特に多く分泌され、身体組織の再生や栄養素の代謝、脂肪の分解などを行う。

photo credit: CGP Grey