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間違った方法でダイエットをすると、脳内のセロトニンが減少して思わぬ悪影響が生じることがあります。特に間違いが起こりやすいのが、最近人気のあるダイエット法『糖質制限ダイエット』です。糖質制限の問題点やダイエットを成功させるためのコツなども紹介します。

糖質制限ダイエットで体重が減る仕組み

最近人気のあるダイエット法が『糖質制限ダイエット』です。糖質制限をして体重が減少するのには、単に摂取するカロリー総量が減るというだけではなく、『糖新生』という人の体が持つ仕組みが関係しています。

糖新生
糖新生(とうしんせい、gluconeogenesis)とは血糖値が下がったときに、タンパク質と脂肪を原料として、肝臓や腎臓がブドウ糖の代替物を産生する仕組みのことです。通常の食生活をしている場合でも、夜間の睡眠中、特に早朝に血糖値が最も下がったときに起こりやすくなります。

糖新生の原料は、筋肉を分解して取り出される「糖原性アミノ酸」が主原料(糖新生の9割)。その他、乳酸、ピルビン酸、グリセロール(脂肪から)などが用いられます。また、脂肪組織から分解された「中性脂肪」は、糖新生を行うためのエネルギー源となります。

糖新生が起きると、ケトン体が発生し、ブドウ糖の代替物として脳のエネルギー源になる。糖新生は筋肉と脂肪を分解して起こるため、頻繁に起こると筋肉や脂肪が減少しやすい、つまり体重が減少しやすくなります。

糖質の摂取を制限をすると、血液中に供給されるブドウ糖の絶対量が下がるため、糖新生が起こりやすい状態となり、筋肉や脂肪は特に減少しやすくなります。

意図的に糖新生を多く起こすには、血糖値が上昇しないようにする必要があります。血糖値は主に食事に含まれる糖質(炭水化物やデンプンなど)によって維持されているため、糖新生を起こしやすくするためには、食事で炭水化物を摂取しなければ良い、というのが炭水化物や糖質を制限する糖質制限ダイエットです。

糖質制限ダイエットは単に体重を減少させる、という意味では非常に効果の高い方法だといえます。

糖質制限ダイエットの問題

「体重が減るなら良いダイエット法ではないか」と安易に思ってしまうところですが、糖質制限ダイエットには二つの大きな問題点もあります。それは、セロトニンの減少筋肉量の減少です。

脳内のセロトニン不足が起こる

糖質制限ダイエットにより炭水化物の摂取量が減ると、脳内のセロトニンが不足しやすくなってしまいます。

そこにはセロトニンの合成に必要なアミノ酸が関係しています。セロトニンの原料である『トリプトファン』は、食事から摂取したタンパク質が腸で分解されて、肝臓で合成されます。合成されたトリプトファンは、血中にあるアミノ酸トランスポーターという物質を媒体に、脳内へと到達します。

ところが、血中には様々なアミノ酸が混在しているため、アミノ酸トランスポーターはトリプトファン以外のアミノ酸によって埋め尽くされてしまいます。

実は、普段トリプトファン以外のアミノ酸でトランスポーターが埋め尽くされないようにしてくれているのは、他でもない炭水化物(糖質)なのです。

炭水化物がトリプトファンの脳への到達を促進させている
炭水化物を摂取すると血糖値が上昇し、それによってすい臓からインスリンが分泌されて、血糖値を低下させるように働きます。インスリンには血中のアミノ酸のうち、トリプトファン以外のアミノ酸が骨や筋肉組織に取り込まれるのを促進する働きがあるため、インスリンが分泌されると、血中のアミノ酸は筋肉細胞内へと取り込まれていきます。

その結果、血中のトリプトファン以外のアミノ酸の濃度が下がり、トリプトファンがアミノ酸トランスポーターに取り込まれやすくなり、脳内へと到達しやすくなり、脳内でセロトニンが合成されやすくなるのです。

ところが、糖質制限ダイエットで炭水化物の摂取量が減少すると、トリプトファンと競合する他のアミノ酸が血中に増えて、トリプトファンがアミノ酸トランスポーターに取り込まれにくくなり、脳内へ到達するトリプトファンの量が減ってしまい、セロトニンの不足が起こるのです。

糖質制限ダイエットによって、セロトニンが不足すると様々な悪影響が生じます。

セロトニン不足の悪影響

ストレス耐性の低下
セロトニンが不足するとイライラ、怒りっぽくなる、気分の落ち込み、やる気低下、無気力、集中力減少など、ストレスへの耐性が低下して、ネガティブな感情が現れやすくなります。セロトニンは、脳内でノルアドレナリン(怒り、やる気)やドーパミン(モチベーション、集中力)の働きを良好にする作用があり、減少することでそうした作用が損なわれ、ネガティブな感情が生まれやすくなってしまうのです。

こうしたセロトニン不足が続くと、ストレスが蓄積していき、やがてはうつ病や不眠症などの精神的な疾患へと結びつきます。

食欲増加
糖質制限でセロトニンが不足すると、普段セロトニン神経によって制御されている食欲中枢への制御が効かなくなり、食欲が増加して、必要以上に食べてしまい、その結果ダイエットが失敗しやすくなります。

糖質制限ダイエットは、筋肉量などが減少しやすく基礎代謝量が落ちてしまうため、体重が落ちるときは一気に落ちますが、食欲に負けて体重が増えるときは、さらに早いスピードで増えてしまいます。

睡眠の質低下
糖質制限により脳内のセロトニンが不足すると、寝付きが悪くなったり眠りが浅くなったりと、睡眠の質が悪化しやすくなります。これは、セロトニンによって合成されるメラトニンという睡眠ホルモンが、セロトニンが減少したことによって作られにくくなるためです。

メラトニンの減少は睡眠の質を悪化させ、やがては不眠症へとつながります。

顔のたるみや姿勢の悪化
セロトニンの不足は、顔の筋肉が垂れて表情が暗くなったり、老けて見える原因となります。また、姿勢も悪く猫背になりやすくなります。これらはセロトニンが支えている顔やインナーマッスルの抗重力筋の働きが弱くなるためです。そのため、糖質制限ダイエットでは体重は減るけれども美しくない、ということが起こり得るのです。

筋肉量の低下

糖質制限ダイエットをすると、体内の糖質が常に不足した状態になるため、体内のタンパク質や脂肪を糖質へと変える糖新生が起こって、不足分の糖質を補おうとします。そのため、タンパク質と脂肪は共に減少していきますが、糖新生の主要な材料はタンパク質であるため、タンパク質がより多く消費されます。

タンパク質は体の筋肉を構成する材料ですから、糖新生によるタンパク質の消費は、筋肉の減少を意味します。

糖質制限ダイエットを行うと、始めのうちは体重が面白いように減っていきますが、これは筋肉がどんどん減少しているからなのです。

筋肉量減少による悪影響
・体温低下、冷え性
・免疫力低下
・基礎代謝の低下、太りやすい体質になる

糖質制限のデメリットを避けるには

糖質制限によって起こる大きなデメリットとしてあげられるのは、セロトニンの減少と筋肉量の減少です。

食事はバランス良く
糖質制限ダイエットのデメリットとして挙げたセロトニンの減少を防ぐには、極端に糖質を制限するのではなく、糖質の摂取を抑制しながらも、最低限の必要量は摂取することが重要です。

糖質制限ダイエットにおける一日の糖質の必要最低量はおよそ100g程度とされています。体調などの様子を見ながら調整すると良いでしょう。

また、単純に食べる量を減らすだけの糖質制限で、タンパク質の摂取量が減少すると、糖新生の影響によって筋肉量の減少を起こしてしまい、俗に言うリバウンドしやすい体質へと変化してしまい、長い目で見るとダイエットは失敗しやすくなります。

運動と筋トレ
糖質制限ダイエットを成功させるためには、食事量だけを減らすことでダイエットしようとするのではなく、運動や筋トレを取り入れて、筋肉量を増加させることが非常に重要です。運動や筋トレで筋肉量を増加することが出来れば、基礎代謝量が向上し、痩せやすい体へと変化させることが出来ます。

筋肉が増えると体重は減少しにくくなりますが、体重の増減だけにに一喜一憂するのではなく、見た目にも健康的ですし、糖質制限のデメリットを避けた、太りにくい体質を作ることが出来ます。

photo credit: withbeautiful Ann (license)