ドーパミンと睡眠には、いくつかの興味深い関わりがあります。睡眠障害である不眠(眠れない)、過眠(ねむりすぎる)のどちらもドーパミンと関わりがあります。ドーパミンの分泌と睡眠には、『過剰だと不眠』『不足すると過眠』という関係が成り立ちます。これには、自律神経系や体内時計の働きが深く関わります。さらに、ドーパミンは学習効果にも影響します。
ドーパミンが過剰だと不眠
ドーパミンには、強い覚醒作用があります。通常ドーパミンは体内時計の制御を受けるため、睡眠するべき夜には、分泌が抑制されて、覚醒作用を持続することはありません。ところが、ストレスなどによって交感神経系が過度に刺激され続けて、ドーパミンが過剰に分泌されると、この覚醒作用の働きにより、睡眠を妨げて不眠傾向を強くします。
ドーパミンが不足すると過眠
自律神経系の働きが乱れると、覚醒作用を保つ必要がある昼間の時間帯になっても、交感神経系が十分に刺激されず、ドーパミンの分泌が不足・抑制されてしまうことがあります。するとドーパミンの覚醒作用が発揮されないため、睡眠に傾倒しやすく、過眠症状が現れやすくなります。いつもぼーっとしてしまう人や、日中耐え難い眠気を感じる人は、自律神経系の乱れを疑う必要があります。睡眠はドーパミンの学習効果にも影響
ドーパミンの持つ学習効果には睡眠が関係しています。学習したものを記憶したり理解するときにドーパミンが分泌されますが、人の脳が覚えられる記憶は無限ではありません。そのため、学習や経験から得た記憶は、後の睡眠中に整理され、必要な情報と不要なものが取捨選択され、必要なものは長期記憶として強く定着されていきます。
つまり、物事を効率よく理解したり覚えたりするとき、『よく眠る』ということが大切なのです。いわゆる徹夜の試験勉強や一夜漬けが効率が良くないというのも、睡眠をとらなかったために記憶が整理されないためだと言われています。
人間誰しも物事に意欲的かつ効率的に取り組みたいと考えます。子供や孫の健全な成長や学業での成功を祈りもします。その上で欠かせないのが、今回ご紹介したドーパミンの有効利用と、その働きに深く関わる『睡眠の重要性』です。快適な睡眠を取ることこそが、明日への活力となります。
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