コルチゾールの分泌異常の影響と対処法

6273248505_43d0b56424_o

ストレスによって増加するコルチゾールが心身に与える影響は強く、何らかの原因で過剰に分泌されたり、分泌量が減少するなど、分泌の異常が起こると、心身に大きな影響が生じてしまうことがあります。

分泌が過剰になると

本来、コルチゾールが慢性的に過剰に分泌される状態と言うのは、戦時下や飢餓状態、大きな震災時のような、生命の危機に関わる、強いストレスに曝され続けている状態を意味します。

一般の人が、日常生活の中でコルチゾールの分泌量が過剰である場合は、ストレスによって発症するうつ病を始めとした精神疾病や、不眠症などの睡眠障害、糖尿病や肥満症などの疾病を発症している恐れがあります。その他にも副腎皮質や視床下部と言った部位の機能異常が疑われます。

特に、現代の日本人に多いうつ病の原因の一つとして挙げられるセロトニンが不足していると、コルチゾールの分泌量が上昇する傾向にあるとされています。

分泌が減少すると

コルチゾールは、ストレスに反応して副腎で分泌されます。通常はストレスが増えれば、その分自然とコルチゾールの分泌量も増えます。

ところが、慢性的に高いストレスに晒され、コルチゾールの分泌過剰が続くと、副腎が疲弊し、コルチゾールを分泌させ続けることができなくなり、分泌量が減少してしまいます。(副腎の機能低下)

すると、コルチゾールによるストレスへの耐性を失い、極度の疲労、無気力や無関心、集中力や判断力の低下といった、うつ病の発症の手前で起こるような、抑うつ症状を主とした症状が現れます。

コルチゾールの分泌が減少するまでの典型例
1.強いストレスを受ける
2.当初はコルチゾールが過剰に分泌してストレスに対抗する
3.やがて副腎が疲労する
4.副腎の機能が低下しコルチゾールを分泌し続けることができなくなる
コルチゾールが減少して抗ストレス作用が低下して抑うつ症状が現れる

コルチゾールの悪影響を緩和するには

ストレスに反応して分泌されるコルチゾール。本来、コルチゾールはストレス状態(外敵との遭遇や命の危機など)から素早く脱出するために分泌され、ストレスに対抗する力を与えてくれる物質です。一方で、現代社会では家庭、学校、職場など、生活環境や人間関係に由来する精神的なストレスが多く、学校や職場は簡単に変更することが難しいため、一度精神的なストレスを抱えると、そこから抜け出すことができずに、長期化、慢性化しやすいという特徴もあります。

慢性的な精神ストレスによってコルチゾールの分泌が増加することが、記憶力や集中力の低下、不安、イライラ、無気力、無関心、疲れやすい、体温低下や冷え性を起こしやすい、抜け毛が増える、抑うつ、睡眠の質の悪化や不眠、自律神経の乱れ、副腎疲労など、私たちの体に様々な困った影響を及ぼしてくるのです。

こうした慢性ストレスとコルチゾールによる影響を改善したり緩和するには、神経伝達物質であるセロトニンオキシトシンというホルモンが鍵を握ります。

コルチゾールとセロトニン

セロトニンは脳内で働く代表的な神経伝達物質で、心の安定を司る物質です。

「心の安定」とはどういうことかと言うと、セロトニンは、不安、恐怖、イライラ、衝動、攻撃性の増加など、ストレスで生じやすい様々なネガティブな感情の暴走が起こらないように、他の神経伝達物質(ノルアドレナリンやドーパミンなど)の働きを調整する作用があるのです。

こうした心を安定させる作用は、ストレスへの強い耐性でもあり、脳内でセロトニンが充足していると、ストレスに負けない、強い精神を保つことが出来ると言えます。

また、セロトニンが充足するような状態を保つには、規則正しい生活、健全な食生活、適度な運動、十分な睡眠時間など、ストレスが生じにくかったり、ストレスを解消しやすい生活を送ることが必要になるため、セロトニンを増やすような生活習慣を築くことは、ストレスを遠ざけることによって、コルチゾールの分泌が容易には増加しにくい環境づくりにも自然とつながっていくのです。

コルチゾールとオキシトシン

ストレスに反応して分泌されるコルチゾールと、ストレスを緩和する作用を持つオキシトシンには、密接な関わりがあります。

オキシトシンはストレス症状を緩和する
オキシトシンは人と人との信頼関係を形成するのに役立つホルモンで、同時にストレスを緩和することで、コルチゾールの分泌を抑制するホルモンでもあります。

親しい他人(家族、友人、恋人など)や、自分が属するコミュニティ(会社、学校、地域など)の中で、オキシトシンが分泌されるような信頼関係が築かれていると、そうでない場合に比べて、ストレスを感じにくくなること、つまりコルチゾールの分泌が抑制されることがわかっています。

コルチゾールの分泌が増えると血圧の上昇と末端組織への血行不良が起こりやすくなります。ストレスが長く続き、コルチゾールの分泌量が慢性的に増加すると、血管への負担が増えて高血圧症や心筋梗塞、脳梗塞と行った疾患のリスクを増やします。また、血行不良は冷え性、低体温、抜け毛、抑うつなどの症状を起こします。

一方、オキシトシンは、ストレス下で血管が収縮して血行不良が起こるの防ぎ、血流を安定させる働きをします。血流の低下で起こりやすい不安やイライラ、集中力や記憶力の低下、抑うつ気分などをオキシトシンは緩和してくれているといえます。

循環器系の疾患の予防にも
また、心臓で合成されたオキシトシンは心臓の血管細胞を保護したり再生する作用があるため、オキシトシンが十分に分泌されていると、血管がコルチゾールによって劣化するのを防いで、心疾患などを予防する効果が期待できます。

オキシトシンは、人が他人と共存する中で分泌されるホルモンです。オキシトシンが分泌されていればストレスへの閾値は上がり、ストレスに強くなり、コルチゾールの分泌もその分抑えることが出来ると言えます。

逆に、社会的孤立や引きこもり、単独主義などは、オキシトシンの分泌が減り、コルチゾールが分泌されやすい状態になりやすいといえます。

まとめ

ストレスホルモンとして、悪者扱いされることもあるコルチゾールですが、実は人の健康を守る上で非常に重要な物質です。でも、人の健康に欠かせないコルチゾールは増えすぎてもダメ。足りなくてもダメ。

日常生活の中でコルチゾールが増えすぎたり、足りなくなってしまう大きな原因はストレス

しかし、現代社会では人間関係などのストレスを完全に回避することは難しい。つまりストレスが生じるのは仕方がないとして、そのストレスを溜めすぎないようにすることが重要。ストレスケアこそがコルチゾールとうまく付き合う秘訣なのです。

ストレスケアをサポートしてくれるのが、セロトニンやオキシトシンと言った物質です。こうした物質が増えるような生活習慣を心がけましょう。

参考:NCBI – 「Social support and oxytocin interact to suppress cortisol and subjective responses to psychosocial stress.」,「Oxytocin in the heart regeneration.」

photo by:Bernard Goldbach