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必須アミノ酸とは、人体を構成するのに必要なアミノ酸のうち、人が体内で生成出来ない種類のアミノ酸のことです。こうした必須アミノ酸は、主に食事などにより体外から栄養素として補給する必要がある物質です。アミノ酸は、体を構成する細胞やたんぱく質、ホルモンや神経伝達物質などの原料となる重要な物質です。

必須アミノ酸の種類と特徴

人の必須アミノ酸は以下の9種類です。

トリプトファン
神経伝達物質であるセロトニン成長ホルモンの材料になる物質。

リシン(リジン)
動物性たんぱく質に多く含まれるアミノ酸。肝機能の強化、感染症などへの免疫効果、その他にも髪の毛を構成するケラチンなどのたんぱく質の生成をサポートする、発毛効果があるとされ、抜け毛予防やAGAの治療に有効であると言われています。

メチオニン
アレルギー反応の原因である、ヒスタミンを抑制する働きがあることから、アレルギー症状を緩和する効果があります。また、アルコールアンモニア等の毒素や水銀や鉛などの有害重金属を体外への排出を促進する作用があり、肝機能を向上させる効果があります。

フェニルアラニン
意欲やストレスへの耐性を高める作用を持つ神経伝達物質であるドーパミンや、血圧を上昇させる効果や集中力を高める作用とともに不安やイライラなどを感じ安くするノルアドレナリンの材料となる物質で、チロシンを合成する物質でもあります。

トレオニン(スレオニン)
肌荒れを防ぐコラーゲンを作り出す天然保湿成分の効果、細胞の代謝を促進させて、毛髪を健康に保つ効果などがあります。また、肝臓への脂肪の蓄積を予防することで脂肪肝の予防効果も期待できます。

バリン
骨格筋を構成するアミノ酸(BCAA)の主要な成分の一つ。運動などで使用する筋肉のエネルギーとして消費されます。筋肉トレーニングなどに欠かせないアミノ酸の一つです。

▼ロイシン
筋肉のエネルギー源となるBCAAの一つ。幅広い食材に含まれ、通常の食生活で不足することは稀。また肝機能を高め、アルコールやアンモニアなどの毒素の分解や、グリコーゲンの貯蓄を促進する作用があります。

イソロイシン
BCAAの一つ。グリコーゲンの貯蓄を促進し、運動機能を向上させます。血中濃度が適切に保たれることで、疲労感を軽減する働きもあります。甲状腺ホルモンの分泌を促し、細胞の代謝を促進する作用もあります。

ヒスチジン
ヒスチジンは、神経伝達物質のヒスタミンへと合成されることで、ストレスや関節痛の緩和などの効果を発揮します。また、交感神経系を刺激することで脂肪細胞の燃焼を促進させる、ダイエット効果があると言われています。一方で、ヒスチジンから合成されるヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす物質としても知られています。

その他のアミノ酸の種類と特徴

人体内には必須アミノ酸以外にも重要なアミノ酸の種類や分類が幾つかあります。

非必須アミノ酸

人の細胞を構成するたんぱく質に必要なアミノ酸は20種類あり、そのうちの9種類は体内で生成することが出来ない必須アミノ酸です。残りの11種類は体内で合成することが出来るアミノ酸で、『非必須アミノ酸』と呼ばれます。非必須アミノ酸は以下の11種類です。

分岐鎖アミノ酸(BCAA)

分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸(Branched Chain Amino Acids)は、人体の骨格筋を構成する主要なアミノ酸です。運動をすると骨格筋はBCAAをエネルギーとして消費して分解します。分岐鎖アミノ酸は以下の3つの種類です。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

芳香族アミノ酸(AAA)

芳香族(ほうこうぞく)アミノ酸(Aromatic amino acid)はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の材料になるアミノ酸です。芳香族アミノ酸は以下の3種類です。

  • フェニルアラニン
  • チロシン(フェニルアラニンから生成されるアミノ酸)
  • トリプトファン

フィッシャー比と肝性脳症

脳血液関門(BBB)を通過する際に同じトランスポーターを使用するBCAAとAAAは、血中の構成バランス(BCAA/AAA比=フィッシャー比)が大きく崩れると、『肝性脳症』と呼ばれる脳の機能障害を起こす可能性が指摘されています。

フィッシャー比が崩れる主な原因は、脂肪肝、ウイルス肝炎、肝硬変、肝臓がんなどによる肝機能障害です。肝機能障害が起こると、肝臓でのアミノ酸の代謝が減少するのに対し、BCAAは骨格筋で消費され続けるため、相対的にBCAAの血中量が減少し、逆にAAAが増加して、脳血液関門を通過して脳内に入るAAAの量が増加することで、脳内のセロトニン、ドーパミンなどの生成が亢進することで、抑うつ、せん妄、言語障害、運動障害など、様々な症状が発生すると考えられています。

効率的なアミノ酸の摂取方法

骨や筋肉の材料になったり、意欲や集中力を司るホルモンや神経伝達物質といった物質を生成するために欠かせないアミノ酸は、サプリメントとして販売されるメジャーな栄養補助食品でもあります。

こうしたサプリメントの多くは特定のアミノ酸を豊富に含有することで、それらのアミノ酸が持つ、筋肉になる、脂肪燃焼、肝機能の改善、やる気を出す、集中力を高める、など様々な効果を、より効率的に、かつ限定的に発揮させたいと考える人々に人気です。

ところが、特定の種類のアミノ酸だけをたくさん摂取しても、体内ではその特定のアミノ酸だけがたくさん使用されて筋肉が増えたり、特定の物質に変化したりすることはありません。やる気を出したいからと、サプリメントで特定のアミノ酸だけを摂取しても、効果は少ないということです。

また、通常の食生活を送っている分には考えられませんが、極端に栄養の偏った食生活を送れば、肝臓への負担も増加し、先に紹介したフィッシャー比の崩れから来る肝性脳症を発症する可能性や、それに近い症状が現れることも考えられます。

アミノ酸の持つ多種多様な特徴や効果を効率的に享受するには、人体に必要な必須アミノ酸を、バランス良く、必要な量を摂取することが最も重要だと言われています。

サプリメントで特定の効果だけを求めるのではなく、バランスの良い食事をしながら、どうしても不足しがちな栄養素をサプリメントで補うことが健康を保つ上で有益だと言えるでしょう。

photo credit: Happy Easter! (license)