グリシン(glycine)とは、アミノ酸の一種で、アミノ酸の中でももっとも小さく単純な構造をしています。
グリシンはゼラチンなどの動物性タンパク質のコラーゲンに多く含まれています。
中枢神経系では、神経伝達物質(抑制性、興奮性)としても働きます。

グリシンの働き

グリシンの働きは大きく分けて二つあります。

1.睡眠の質の改善
グリシンは、中枢神経で抑制性の神経伝達物質として、睡眠の質を改善する作用があります。
睡眠の質が悪いと、「日中頭がぼーっとする」「疲れが取れない」「熟睡できない」などの症状が現れることがありますが、グリシンをしっかり摂取することで、睡眠の質や、翌日の疲労感や眠気などの症状を緩和、改善する効果が期待できます。
こうした睡眠の質の改善には、就寝前にグリシンを3g~5g程度摂取すると良いとされています。
2.肌の質の改善
グリシンには、体内の活性酸素を抑える作用があり、肌質の改善が期待できます。
また、グリシンは美肌成分として知られる「コラーゲン」を構成するアミノ酸であり、グリシンを摂取することで、コラーゲンがしっかりと作られ、美肌やアンチエイジングの効果が期待できる他、コラーゲンは関節などにも多く存在することから、加齢による関節痛の緩和なども期待できます。
グリシンのその他の働きとして、活性酸素を抑える抗酸化作用による、生活習慣病の予防、老化の防止、またコレステロール値を下げる作用があることから、高血圧や脳卒中の予防などの効果も期待されます。

グリシンを多く含む食品

グリシンはありふれたアミノ酸の一つとして、動物性タンパク質に多く含まれています。
特にコラーゲンに多く含まれていることから、トリの軟骨、皮、手羽先、とんこつや豚足、フカヒレ、うなぎや牛のすじ肉などコラーゲン成分が豊富な食品に多く含まれています。

また、エビやカニなどの甲殻類、イカやホタテ、カジキマグロなどの魚介類にも豊富に含まれていることが分かっています。

グリシン自体は単なるアミノ酸であるため、旨味成分として調味料や保存料としても販売されている事があるほか、休息用のサプリメントとしても一般的に販売されており、生活が不規則な人や年々疲れやすくなってきた人、忙しくて休みが取れない人などに人気があるそうです。

グリシンの過剰摂取と欠乏について

グリシンの過剰摂取は、日常生活の中では起こりえませんが、大量摂取することで呼吸筋が麻痺する可能性などがあるようです。
また、グリシンの欠乏についても、日本では極端に欠乏する環境は中々考えられませんが、ダイエットや好き嫌いによる偏食などで、不足することは考えられます。
グリシンが不足・欠乏した場合は、コラーゲンが十分に合成されなくなることから、膝や腰などの関節痛になる可能性、肌荒れ、睡眠の質の悪化や症状が進むと不眠症になる可能性もあります。

また、グリシンと同じくアミノ酸であるセリンとは、相互に可逆的に変換しあう関係にあります。

photo credit:Alpha – Butterflied Satay Chicken