起立性調節障害と運動

起立性調節障害では疲労が溜まりやすく体力の消耗が激しくなるため、激しい運動やスポーツを敬遠してしまいがちです。しかし、心身の成長に運動は必要不可欠ですし、運動は起立性調節障害の改善にも役立ちます。起立性調節障害と運動の関係などをご紹介します。

運動の意義

運動をすることで、以下のようなメリットがあります。

筋肉の発達
およそ殆どの運動で下半身を使いますから、運動をすることで起立性調節障害を起こす子どもに不足しがちな、『下半身の筋肉』の強化をすることができます。下半身の筋肉は、脳や心臓など、体の上半身へ血液を送り返すポンプの役割をします。

心肺機能発達
運動をすると、体はより多くの酸素を必要とするため、その分呼吸や脈拍は速くなり、心肺機能が鍛えられます。心肺機能の働き、脈拍や血圧は自律神経系が支配しているため、心肺機能を鍛えることは自律神経系を鍛えることになるのです。

交感神経系への刺激
適度な運動は、体への心地良い刺激として、アドレナリンドーパミンノルアドレナリンなどの物質を分泌させて、交感神経系を刺激します。持続的、習慣的に運動をすることで交感神経系が持続的に興奮して、交感神経系の発達に役立ちます。

交感神経系は、起立性調節障害で衰えがちな神経で、日頃から運動によって鍛えることで、起立性調節障害を予防したり、症状を軽減することにも繋がります。

成長ホルモン分泌促進
思春期を迎える子どもに特に重要な成長ホルモンは、運動と睡眠がトリガーとなって分泌されます。運動をすることで成長ホルモンの分泌が促進され、運動で酷使した骨や筋肉を修復・再生させ、体を成長させます。

同時に、成長ホルモンは血管や神経細胞など、ありとあらゆる細胞の再生や成長を担います。成長ホルモンが分泌されることにより、自律神経系の神経細胞や血管細胞の再生、修復にも効果があるのです。

注意も必要

運動をする上で注意も必要です。

近年は猛暑になることも多く、熱中症にかかる子どもも年々増えています。熱中症は体に熱が貯まることで起こる症状で、特に運動などにより体から水分が汗として失われることでかかりやすくなります。

起立性調節障害の子どもは元々暑い夏が苦手なため、暑い時期の運動はこまめに休憩と水分補給、また同時にミネラル補給(鉄分、塩分)も怠らないようにしましょう。

運動中に気分が悪くなったり、めまい、吐き気などを感じたら直ちに運動を中止して、涼しい場所で休ませましょう。

部屋で遊ぶ子どもが増えた?

近代化が進む日本では、昔のように子どもが遊べる場所が減少してしまいました。また、子どもの遊び方も、近所の公園で走り回るよりも、友達と一緒に部屋でゲームをする子が増えてしまったように感じます。

確かに、親としても、目の届かない場所で遊んで怪我をしたり危険な目に遭うよりは、家の中や近場で遊んでくれたほうが安全だし安心出来るという点も、部屋で遊ぶ子どもが増えた要因かも知れません。

外で遊ばなくなった子どもは、運動神経が十分に発達しないため、運動が苦手な子どもになりがちです。運動をする習慣がない場合、運動神経だけでなく、筋肉も発達せず体は痩せ気味になり、心肺機能の発達も遅れるため、自律神経系の発達も不十分なまま、思春期を迎えてしまうことがあります。

こうしたケースでは、特に起立性調節障害を起こしやすくなります。

運動をしないと自律神経系が発達しにくい

運動習慣がないこどもの場合、本来自律神経系が発達すべき思春期が過ぎても、そのまま自律神経系が十分に発達していかない可能性があります。

殆どの場合で成人頃までには症状が解消されると言われる起立性調節障害ですが、人によっては成人後もその症状に悩まされる場合もあり、それも子供の頃の運動習慣が関係している場合が考えられるのです。

運動をしていても起立性調節障害は起こる

前項の話からは身もふたもない話ですが、運動をする習慣があっても起立性調節障害は起こります。

起立性調節障害は、元々肉体の成長に自律神経系や循環器系の発達が追いつかないことでも起こるためで、運動をする習慣がある子どもが、思春期を迎えて急速に身長が伸びた場合などに、起立性調節障害を起こしやすくなります。

こうしたケースでは、自律神経系や循環器系の発達が遅れているだけで運動が苦手なわけではないため、時間の経過と共に起立性調節障害も快方することが多いそうです。

運動習慣がある子どもで、部活動などに属している場合、症状が軽い子どもはそのまま運動を続けるケースもあります。

親や顧問の先生、友人など周りのサポートも必要ですし、無理をすれば症状が重症化することもありますが、意欲があるかぎりは無理のない範囲で運動を続けたほうが良いでしょう。

運動が苦手な子はどうしたら良いか

運動が苦手な子や、起立性調節障害の症状が重いために午前中に外出するのが難しい子どもの場合は、症状の様子を見ながら運動しましょう。

▼散歩
症状が軽くなる夕方や夜に、30分程度を目安に散歩することを目指しましょう。最初は5分程度でも良いでしょう。散歩で下半身の筋肉が強化できます。

▼水泳や水中歩行
水中は浮力によって体への負担が少ないため、起立性調節障害の症状が起こりにくいため、全身運動が出来る水泳もお勧めです。水中歩行も良い運動になります。

▼サイクリング
サイクリングも立派な運動です。人によっては歩くよりも負担が少ないため、サイクリングを好む場合もあります。サイクリングは、下半身の筋肉強化と心肺機能の強化に効果的です。

■運動でストレスも解消出来る
運動によるもう一つの効果は、ストレスの解消です。体を動かすことは、運動の強度によらず、優秀なストレス解消行為です。30分程度の運動をすると、脳内ではセロトニン神経が活性化され、起立性調節障害で溜まりがちなストレスを解消するのにも役立ちます。

30分程度の運動を習慣化させて持続することでセロトニン神経はより活性化されてストレス解消効果も高まっていきます。

photo credit: 78-20140920-9642



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