起立性調節障害と体内時計

起立性調節障害の特徴として、午前中特に朝起きる上がるのが辛く、夜になると症状が改善して元気になる、というものがあります。朝が辛い原因は自律神経系の働きの乱れによって交感神経系の働きが弱いためですが、その大元には人の持つ体内時計が関係しています。

体内時計のズレによる自律神経系の不調

起立性調節障害で午前中に起きるのが辛い傾向が現れるのは、自律神経系の働きのうち、交感神経系の働きが午前中に弱く、夕方から夜になると交感神経系が働き出すためです。

本来、自律神経系は人の持つ生活リズムによって、一日のうちで交感神経系が強く働く時間と、副交感神経系が強く働く時間がある程度固定されています。

一般的には、太陽が出ている朝から昼間の間は交感神経系が強く働く時間帯で、夕方から夜、太陽が沈んだ後は交感神経系が弱くなって、代わりに副交感神経系が強く働き出して、体がリラックスして睡眠へと向かいます。

こうした朝と夜の自律神経系の切り替わりをコントロールしているのが、いわゆる体内時計です。

ところが、体内時計が何らかの理由から狂ってしまうと、自律神経系の切り替わる時間にも乱れが生じてしまい、起立性調節障害のような病気が起こる原因となってしまうのです。

起立性調節障害の場合、体内時計が狂っているために、交感神経系が働きだす時間が、人よりも後退しており遅くなります。

午前中起きるのは辛く(このとき交感神経系は十分に働いていない)、夕方から夜に掛けては症状が改善(交感神経系が働き出したため)して比較的活動することが容易になります。

またその分、副交感神経系が働く時間も後退しているため、夜眠たくなる時間も遅くなり、寝付きが悪くなるのです。

つまり、起立性調節障害の場合、体内時計が作り出す概日リズムによる、自律神経系の日内変動が一般的な人のそれとずれている、言わば『一人時差ボケ』の状態がおこっているのです。

起立性調節障害で体内時計が狂っている人の場合、この時差ボケの時間は人によって異なりますが、大体5~6時間程度ずれている場合が多いようです。

余談ですが、時差5~6時間というとちょうどイランやイラクなど、中東の辺りとの時差に当たります。起立性調節障害なら中東で暮らすと心地良いのかな、と想像してしまいます。

また、同じように体内時計の一人時差ボケが起きる病気には、睡眠相後退症候群(DSPS)があり、睡眠相後退症候群でも起立性調節障害と非常によく似た症状が現れます。

体内時計の特徴

そもそも、人の体内時計は地球の自転と同じように24時間ピッタリ、というわけではありません。体内時計の時間は、人によってバラバラで、多くの場合は23時間~25時間程度と、早かったり遅かったりするものの24時間±1時間程度に収まることが多いとされます。

体内時計が24時間ピッタリではないにも関わらず、殆どの人が大体同じ時間に起きて同じ時間に眠る、と言った一定の生活リズムを維持することができます。

これは、幾つかのシグナルによって、体内時計のズレがリセットされて、地球の自転(朝夜の明暗)に同期されているためです。

起立性調節障害で体内時計がズレる原因

起立性調節障害の場合、体内時計のズレがリセットされずに狂ったままになってしまうことで、自律神経系の働きに乱れが生じることが、諸症状を引き起こしている原因となっていることがあります。

体内時計がズレて狂ったままになってしまうのは、本来、体内時計をリセットしている刺激や習慣が損なわれてしまっている可能性があります。

人の体内時計は24時間ピッタリではないため、何らかの刺激によって毎日リセットされています。体内時計をリセットする刺激と、それが失われることで体内時計がズレる理由を以下にご紹介します。

規則正しい生活
体内時計は規則正しい生活を習慣化することで体に染み付き定着していきます。海外旅行で時差ボケが起こるのも、本来の習慣と違う時間で寝起きすることで、一時的に体内時計がズレてしまうことが原因です。

したがって、毎朝起きる時間や眠る時間がバラバラな不規則な生活、特に夜更かしや昼夜逆転の生活を長い間続けると、少しずつ体内時計の働きが乱れて、いつの間にかズレたまま戻らなくなってしまうことがあります。

太陽光
体内時計のズレを調節する最も強力な刺激が『太陽光』です。人は日中活動する生物ですから、日の出を迎えて太陽が昇ると、その光が網膜を通して脳内の体内時計に伝わり、体内時計のズレが調節されているのです。

現代社会では、屋内でカーテンを閉めて眠りますから、朝に太陽光を浴びる機会が減少したことが、起立性調節障害のような病気が発症しやすくなった原因の一つだと言えます。

食事
食事を取ると交感神経系が刺激され、消化や吸収などのために、胃や腸といった消化器官が働きます。

食事による胃腸への刺激も体内時計をリセットする要因の一つです。特に朝食を取ると、寝ている間に休んでいた胃腸が働き出して、脳へ血液や栄養が送られるため、脳を覚醒させる作用があります。

現代社会では、朝食を摂る人が減っているそうです。厚生労働省の平成25年度の調査では、朝食欠食率の割合は、全年齢は11%程度ですが、10代から20代の若年層では軒並み15~30%以上の高い欠食率があり、これは1975年の調査結果と比較すると、およそ2倍程度の数字になっています。

朝食を取る習慣がない人は、朝に体内時計をリセットする刺激が一つ減ってしまうため、体内時計のズレが生じやすくなることが考えられます。

自分は体内時計がズレしまっている』、と感じる人は、こうした要因の一つではなくいくつか複数が当てはまるのが多いのではないでしょうか。

体内時計のズレを治すのは太陽光が重要

起立性調節障害が起こる原因の一つとして考えられる、体内時計のズレですが、これを治すには太陽光による光の刺激を十分に受けて、交感神経系を刺激してあげることが非常に重要です。

とはいっても、太陽光は直接浴びる必要はなく、部屋の中で窓から入ってくる太陽の光を間接的に目で感じることでも効果があります。

しかし、天候や季節によって、太陽の明るさは一定ではありません。また、部屋の向きや住環境によっては、太陽光が差し込みにくい部屋、カーテンを開けられない家などもあります。

高緯度の地域は日照時間そのものが極端に少ない季節があります。

また、現代型の生活スタイルである、夜勤やシフト制の勤務体系の人は、そもそも起きるときに太陽光を浴びることが不可能な場合もあります。

現代には、このような様々な状況や環境でも、毎日決まった時間に太陽光を浴びるのと同じような効果を得られる、文明の利器ともいうべき製品があります。

それは光目覚ましという製品で、強く眩しい光を決まった時間になると自動的に照射してくれる、目覚まし時計です。

また、ベッド近くに置くだけで良いため、起立性調節障害の場合に腰が重くなりがちな通院治療とは異なり、自宅にいながら手軽に試すことができます。

詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。

photo credit: TEMPUS EDAX RERUM II (license)



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