起立性調節障害と血糖調節障害

めまいや立ちくらみを起こす起立性調節障害は、思春期の子どもに多く現れる症状ですが、よく似た病気もたくさんあり、誤った診断が下ると症状が悪化したり長期化する恐れがあります。起立性調節障害と血糖調節障害との関係などをご紹介します。

血糖調節障害とは

血糖調節障害とは、食品に含まれる炭水化物や糖分を過剰に摂取し過ぎることで起こる症状です。食事で摂取した糖分は、肝臓でブドウ糖へと変換され、血中に放出されて、血糖値が上昇します。

血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されて、血中のブドウ糖を筋肉などの細胞内に取り込むことで、血糖値が下がります。ところが、糖分を過剰に摂取すると、血糖値が上昇しすぎてしまい、それに対応するためにインスリンも余計大量に分泌されるようになります。

大量に分泌されたインスリンは、必要以上にブドウ糖を細胞内に取り込みすぎてしまい、血糖値が下がりすぎて『低血糖状態』になってしまうことがあります。

また、血糖値が下がると副腎からコルチゾールアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、血糖値を上昇させようと働きます。

こうした糖分の過剰摂取から始まる、血糖値の急上昇、インスリンの大量分泌、血糖値の急降下、ストレスホルモンの分泌増加、と言った一連の流れで、インスリンやストレスホルモンを生合成する臓器、膵臓や副腎などが疲弊してしまい、血糖値を正常に保てなくなった状態が慢性化するのが血糖調節障害(または低血糖症)です。

砂糖や加工食品は要注意

糖分の過剰摂取は、特に砂糖によってもたらされるといいます。砂糖は自然界には存在しない物質で、人間の手で加工された調味料です。

砂糖は、通常の食品に含まれる糖分よりも、腸から吸収されてからブドウ糖になるまでが非常に早いため、即座に血糖値が上昇してインスリンの大量分泌を招きます。

砂糖は、ジュースやおやつなど、子どもが大好きな甘い食物飲み物に大量に含まれています。その他にも、自然のままでなく加工された食品、例えば食パンや精米のようなものも、自然に近い状態(ふすまや玄米)よりも糖分の割合が増えており、注意が必要です。

子どもは特に血糖調節障害になりやすい

子どもの体は未発達で、インスリンやストレスホルモンを分泌する膵臓や副腎も、大人ほど丈夫ではありません。また、血糖値を一定に保つ働きを担う自律神経系も、成長過程の子どもの場合は未発達であるため、子どもは大人よりも簡単に、血糖調節障害を起こします。

血糖調節障害が起こる流れ

糖分の過剰摂取から血糖調節障害に至る流れを簡単にご紹介します。

糖分摂り過ぎ→インスリンの大量分泌→血糖値が低下しすぎる→アドレナリンやコルチゾールが分泌されて血糖値をあげようとする→副腎が疲労→血糖値が上がらなくなり低血糖を起こしやすくなる→体は血糖値をあげようとして糖分を欲する→以下、悪化のループ

血糖調節障害の症状

血糖値の低い状態では、起立性調節障害と非常に似通った症状が起こります。以下に起こりやすい症状をご紹介します。

めまい、立ちくらみ、朝起きられない、日中常に眠い、集中力低下、疲労感、冷や汗、お腹がすぐ空く(過食)、頭痛(脳の血糖不足)、イライラ、ボーっとする、あくびが出る

副腎疲労で低血糖が起こる

糖質の過剰摂取によって副腎から大量のストレスホルモンが分泌され続けると、やがて副腎は疲弊して、、アドレナリンやコルチゾールを十分に分泌することが出来なくなる、『副腎疲労』の状態に陥ります。

副腎疲労が起こると、インスリンによって血糖値が下降した後に、本来血糖値を上昇させるために分泌されるべきストレスホルモンが分泌されにくくなるため、血糖値が上がらず、『低血糖』の状態を招きます。

この低血糖の状態は、先に紹介した通り、起立性調節障害の症状と酷似した状態です。

朝は特に低血糖を起こしやすい
人は夜に食事をとった後睡眠するため、次の日の食事までの間は特に血糖値が下がりやすい状態になるため、朝起きる頃には低血糖の症状が起きやすく、これが血糖調節障害で朝起きられない原因とも言えます。

また、近年では朝食を取らない子どもの割合が増え、食事と食事の時間がさらに空きやすいため、学校に行ってからも低血糖で頭がボーっとしたり、めまいや立ちくらみを起こしやすくなります。

副腎疲労は交感神経系を弱らせる

副腎疲労に陥ると、交感神経系を刺激するべきアドレナリンやノルアドレナリンと言った物質が分泌されにくくなるため、交感神経系の働きが弱くなりやすくなります。

交感神経系の減弱は、血圧の低下や、貧血、めまい立ちくらみと言った、起立性調節障害の症状を引き起こします。

まとめ

こうして、糖分の過剰摂取が起立性調節障害の遠因にもなっていることが分かります。

  1. 糖分の過剰摂取
  2. 血糖調節障害と副腎疲労が発症
  3. 交感神経の減弱
  4. 起立性調節障害の発症

と、血糖調節障害は起立性調節障害と似た症状を持っているというだけでなく、起立性調節障害の原因そのものの一つにもなり得るのです。 また、このような形で血糖調節障害や起立性調節障害が起こる原因の根底には、現代社会の『食生活の乱れ』が潜んでいると言えます。

成長過程の子どもには、出来るだけ自然でバランスの良い食事を摂らせて上げたほうが良いでしょう。

photo credit: The Breakfast of Champions