日本では、子どもの睡眠時間が減少しており、日本小児保健協会によると、1歳~6歳の各年齢層の子どもの就寝時間は、1985年以降、年々遅くなっているといいます。夜更かしによる睡眠時間の減少は、子どもの心身の発育に与える影響が大きく、子どもの健康のためにも夜更かしをしない生活リズムを身につけさせる必要があります。

子どもの夜更かしに潜む危険性とは

現代社会では、大人から子どもまで睡眠不足傾向です。本来子どもを早く寝かしつけるべきである『』が、睡眠の重要性を理解していないため、子どもの夜更かしを許してしまっているケースも多々あります。

しかし、精神や肉体の成長途上にある子どもにとって、夜更かしによる睡眠時間の減少は、心身の成長にとても大きな影響を生じる恐れがあります。夜更かしの子どもに生じやすい悪影響を以下に紹介します。

  • 肥満傾向
  • 知能の発達が遅れる
  • 集中力や記憶力の低下
  • 運動神経の発達が遅れる
  • 性的成熟が早まる
  • 体の成長が遅れる
  • 免疫力が下がる
  • アレルギーになりやすい
  • 情緒が不安定になりやすい

詳しくは『睡眠不足の子供に起こる悪影響』を御覧ください。

子どもの生活リズムを安定させるには

毎朝同じ時間に起きて同じ時間に眠ることができる、安定した生活リズムは、人の持つ『体内時計』という機能によって保たれます。

体内時計を整えると生活リズムも安定する
実は、人間の体内時計は、『朝目覚めてから14~16時間後に眠気が最高潮になる』という性質を持っています。睡眠時間が少ない子どもに『早寝早起き』の生活リズムを身につけさせるには、この体内時計の性質を利用してあげればよいのです。

より重要なのは『早く起きること』
子どもが夜になると自然と眠たくなるようにするには、朝早く起きていれば良いので、例えば毎朝6時に起きる習慣を続けると、夜の20時~22時には自然に眠たくなるという習慣を作ることができます。

逆に、朝起きるのが遅いと、夜の眠たくなる時間もその分遅くなり、「遅寝遅起き」の生活習慣になってしまいます。

「早寝早起き」とはよくいいますが、「早く眠るから早く起きれる」のではなく、「早く起きるから早く眠れる」のです。つまり、子どもの生活リズムを安定させるには、早く起きる習慣こそが重要なのです。

成長期は体内時計を形成する時期

成長期の子どもの体内時計はまだまだ発展段階で、すぐに乱れてしまいます。

子どものうちに体内時計をしっかりと形成しておかないと、成長してから体内時計が乱れやすい体質になって、朝起きることができない、起きられないから学校に行かない、などの原因になってしまいます。子どもの体内時計を形成する重要なポイントは、実は生活の身近なところに隠れています。

それは、『食事』と『太陽光』です。

太陽光が子どもの体内時計を形成する

まず、『なぜ人は目覚めてから14~16時間後に眠たくなるのか』という話から、太陽光の重要性を説明します。

人は朝目覚めるとき、コルチゾールというホルモンが大量に分泌されて、血圧を上げ、脳に血液をたくさん送って、脳を覚醒させます。また、同時に脳内ではセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌され、これらのホルモンや神経伝達物質が交感神経系を刺激して、肉体が目覚めて活動できるようになります。

脳内で分泌されるセロトニンという神経伝達物質は、朝、明るくなると分泌が促進され、夕方以降暗くなると分泌が減る性質があります。

自然界においては、『朝日を浴びると自然とセロトニンが分泌される』ということになります。つまり、朝の目覚めに欠かせない神経伝達物質セロトニンの分泌を促すのは、『太陽光』なのです。

朝目覚めたときに、カーテンを開けて太陽光を眼から脳へと届けることで、脳内のセロトニンの分泌は促進されます。

このセロトニンには、交感神経系を刺激して朝の目覚めを助ける作用だけでなく、もう一つ睡眠にとって大事な作用があります。セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの前駆体(素となる物質)でもあるのです。

実は、「朝目覚めてから14~16時間後に眠たくなる」という体内時計の性質が働くのは、目覚めてから14~16時間後にメラトニンが分泌されるからなのです。

ここからが核心となりますが、先に書いたように、メラトニンはセロトニンから合成される物質であるため、朝目覚めたときにセロトニンが十分に分泌されることが、その夜にメラトニンがたくさん分泌されて、また質の良い眠りが取れる、というサイクルを作り出すのです。

こうした太陽光が体内時計の形成に重要である、ということはあまり知られておらず、見落とされがちです。お子さんの夜更かしに困っている、成長期のお子さんの身長が伸びなくて心配、という親御さんは、是非お子さんに朝日を30分程度浴びさせる習慣をつけさせてください。

光目覚ましがおススメ
「朝は忙しくて30分も時間が無い!」「紫外線が心配!」「うちの子は太陽を見るとくしゃみをしてしまう」

そんなお子さんには、光目覚まし時計お試し頂くことをお勧めします。

詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。

メラトニン分泌は食事から

次に、子どもの夜更かしを改善するための『食事の重要性』についてご紹介します。

子どもの生活リズムを安定させるのに欠かせない神経伝達物質のセロトニンと睡眠ホルモンメラトニンは、食事によって得られる栄養素から作られます。

セロトニンやメラトニンの原料は『トリプトファン』というアミノ酸ですが、トリプトファンは人体内では生成することができず、食事によってのみ体に供給される栄養素です。つまり、セロトニンやメラトニンを作るには、食物からトリプトファンを摂取しないとならないのです。

ただし、成長期の子どもに必要な栄養素は、なにもこのトリプトファンだけではありません。成長に欠かせない栄養素としてよく言われるカルシウムや、たんぱく質の分解を助けるビタミン類やミネラル類など、一つの栄養素だけでなく、様々な栄養素をバランスよく、そして豊富に摂取することが子どもの成長にとっては重要です。

ところが、困ったことに最近の子どもはとかく、好き嫌いが多くて栄養のバランスが偏りがちなことと、近年の子どもは何らかのアレルギーを持っている割合がかなり増加しているため、好き嫌い以前に口にすることが出来ない食材が多くて、栄養が偏ってしまう、というケースも増えています。

まとめ

子どもの夜更かしを治すために、以下のようなことだけでも覚えてください。

  • 夜更かしを治すには→早起きさせる
  • 早起きさせるには→朝起きて朝日を浴びると体内時計が整う
  • 朝日の効果→セロトニンの分泌を促進する性質がある
  • セロトニンとは→メラトニンが夜に分泌されるのを促進する
  • メラトニンとは→朝起きてから14~16時間後に分泌。体内時計を整える作用。
  • セロトニンとメラトニンを作るには→バランス良い食事が重要

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