四季がはっきりとした日本では、季節の変わり目になると体に様々な変調を来たす人が多くなります。春先などに抜け毛が増えるのも、そうした症状の一つと言えます。こうした季節性の体調の変化には、幾つかの原因があります。

天候の影響で自律神経が乱れやすい

冬から春、春から夏と、季節が移り変わる時期は日中と夜間の寒暖差も大きくなるなど、気温の変動が激しくなる季節でもあります。特に近年は、毎年のように異常気象が起こり、真冬の2月に真夏日(気温25度)を記録したりするなど、その激しさはますます顕著に現れるようになってきました。

こうした気象変動は、私達の体温、脈拍、新陳代謝、発汗などを司る、自律神経系の働きに影響を与えます。

自律神経系は、日中に強く働き、肉体や脳を活性化させる交感神経系と、夜間に強く働いて、心身をリラックスさせて疲労を回復させる副交感神経系からなる神経系です。

気温や湿度などの外部環境に変動があると、自律神経系もその変動に順応するために発汗量を増やしたり、血圧を調整するなどして働きますが、季節の変わり目のようなあまりに急激な気温の変動が起こると、自律神経系の働きがその変動についていくことができなくなり、自律神経系の働きが乱れて、交感神経系と副交感神経系のバランスが崩れてしまうことがあります。

これが季節の変わり目に起こりやすい自律神経系の乱れです。

自律神経系の乱れが抜け毛を増やす原因に

自律神経系は脈拍や体温などを調節する働きがあるため、自律神経系の働きが乱れると、頭皮や毛髪の発育に重要な末端組織の血流を悪くして、毛髪の成長を抑制してしまう可能性があるのです。

こうした気温変動による自律神経系の乱れを予防するには、寒暖差による自律神経系の過度の働きを防ぐことが重要です。効果的なのは、そのときの気温や天候に合わせた適切な服装をして生活をすることです。

新しい環境でストレス増

春先や秋口など、季節の変わり目には新学期や、新入学、入社や転勤など、新しい環境へ移動するケースが多くなります。新しい環境に移動した後に起こりやすいのが、人間関係の変化や業務へのプレッシャーなどによる、ストレスの増加です。

ご存知の通り、ストレスは頭皮など末端細胞の血流を阻害して、抜け毛や薄毛を増やす大敵です。しかも、人間関係などのストレスは、回避することが容易ではなく、例えば新しい職場に嫌な上司がいても、毎日その上司に接しつづけなければならず、そのストレスは蓄積する一方です。

休息と解消が重要

季節の変わり目に抜け毛が増えることを防ぐには、自律神経系の乱れにしても、ストレスにしても、十分に休息を取ることが重要です。特に睡眠は心身を休息させるためにはもっとも重要です。新しい環境で、忙しいからと、睡眠を疎かにすると、さらに抜け毛が増える可能性があります。どんなに忙しくても、移動中の電車の中のちょっとした時間や昼休みに少しでも昼寝を取るなど、出来るだけ睡眠を多くとるように心がけましょう。

また、運動をすることで、自律神経系の働きを強化し、ストレスも解消することができます。ウォーキングやサイクリングのような軽い運動でも、自律神経系の働きが偏ったときには有効です。

また、運動をすることで、ドーパミンセロトニンといった、心身をリラックスさせてストレス解消効果を得られる神経伝達物質が多く分泌されるようになるため、ストレス解消にも有効です。

季節の変わり目の抜け毛予防には、運動が一石二鳥なわけです。

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