冬から春、春から夏などの季節の変わり目は、昼夜の気温の変動が激しくなったり、引っ越しをしたり、新しい職場に移動するなど、生活環境の変化などが起こりやすい時期です。ところで、季節の変わり目は、体調も変化しやすい時期でもあります。そして体調変化には腸内環境の悪化がついて回ります。

食生活が乱れやすい

季節の変わり目には、歓送迎会や花見など、飲み会が催されるケースが多く、食生活が普段よりも乱れやすい時期です。特にお酒のツマミに多い、脂っこい食事や、味の濃い食事は胃や腸で消化吸収がしにくい食材です。また、お酒はそれ自体が胃腸の消化吸収能力を大きく低下させる原因です。

便秘や下痢が増えたら要注意

お酒に脂モノばかり食べるような食生活を続けると、腸内には悪玉菌が増殖して腸内環境はどんどん悪化していきます。このとき腸内環境の悪化を最初に伝えるのは、便通の変化です。季節の変わり目に、便秘や下痢をするようになったら、腸内環境の悪化を疑いましょう。

口臭や体臭の悪化も

腸内環境の悪化がさらに進行すると、腸内では肉や脂モノに含まれる動物性のたんぱく質や脂肪分が溜まってゆき、それが腸内で腐敗してしまい、悪臭を放つと共に有害物質を発生させます。おならが臭くなったり、口臭や体臭が悪化した場合は、腸内環境の悪化が進んでいる可能性があり要注意です。

ストレスが増えやすい

季節の変わり目は、引っ越しによる住環境の変化、新入学や新入社など、新しい職場による就業環境の変化などが起こりやすい時期です。人はただでさえ、未知の環境に対してストレスを抱きやすく、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されやすくなります。

また、新しい環境では新しい仲間、新しい同僚、新しい上司と、新たな人間関係を築く必要もあり、これも大きなストレスを生む一つの要因です。特にそうした新しくできた人間関係の中で、馬の骨が合わない人がいても、無視をしたり顔を合わせないようにすることは容易ではなく、毎日のようにそのストレスと向き合わなくてはなりません。

ストレスは腸内環境の悪化に

ストレスは腸内環境を激しく悪化させる原因の一つです。

体がストレスを感じると、自律神経系のうち交感神経系が興奮し、胃や腸などの消化器官の働きを制限してしまうため、食物の消化吸収効率が悪くなり、腸内に食べ滓が溜まりやすくなり、それが悪玉菌のエサとなって腸内には大量の腐敗物質が溜まります。

こうしたストレスが、慢性的なものになると、常に交感神経系が興奮した状態が続くため、ますます腸内環境は悪化していきます。

神経伝達物質も悪化の一因

心の安定などのために働く、脳内の重要な神経伝達物質の一つであるセロトニンは、腸内にも多数存在しており、腸のぜん動運動などに関わっていると考えられています。

ストレスは、うつ病をはじめとした様々な精神疾患の第一要因としてあげられ、またストレスによって脳内のセロトニン神経の活動も鈍化することが分かっています。セロトニンの鈍化は、自律神経系の働きの乱れを招くため、脳内のセロトニンが減ると腸内環境が悪化することになります。

また、慢性的なストレスは、腸のぜん動に異常を来たして、便秘や下痢のような排便異常を起こす、『過敏性腸症候群(IBS)』を引き起こすことも明らかになっており、これもセロトニンの増減が関係していると考えられています。

さらに、ストレスに反応して分泌されるストレスホルモンであるノルアドレナリンは、普段は体に害を及ぼさない日和見菌のうち、大腸菌など一部の細菌の病原性を強めて悪玉菌化させてしまうことが明らかになっており、これも腸内環境の悪化につながります。

食生活とストレス、いずれも健康な心身を保つ上で非常に重要な要素ですから、季節の変わり目だからと羽目を外しすぎたり、新しい環境で無理をしすぎたりしないようにしましょう。

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