お酒は「百薬の長」として古くから愛されてきた飲み物であり、現代ではストレス解消やコミュニケーションの一環として、欠かせないツールでもあります。ところが、残念なことに、お酒の飲み過ぎは私達の頭皮にダメージを与えて、抜け毛が増える原因となってしまうのです。

飲み過ぎで抜け毛が増える

適量のお酒は、食欲増進、血行促進、会話を弾ませる、など様々な良好な効果をもたらします。ところが、ついついお酒を飲み過ぎると、枕の抜け毛が増えることになります。

お酒に飲み過ぎによって抜け毛が増える原因には以下のようなことが該当します。

  1. 血行不良
  2. 消化不良
  3. 腸内環境の悪化
  4. 眠りが浅くなる
  5. 水分不足と脱水症状
  6. 糖質の過剰摂取

血行不良

お酒を飲んだ直後は、一時的に血行が良くなります。これは肝臓でアルコールが分解される過程で生じる、『アセトアルデヒド』という物質による作用です。

ところが、お酒を飲み続けると血行は悪くなります。体質にもよりますが、人によってアルコールを分解できる能力に限界があるためです。一定量以上のアルコールが体内に入ると、アルコールを分解するための酵素が不足してしまい、それ以上アルコールを分解できない状態になります。

また、長期的に見ても、飲酒習慣は血行不良や高血圧を招いて血管の老化を促進させるため、抜け毛を増やす原因になりやすいのです。

さらに、アルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドは、『ジヒドロテストステロン(DHT)』という抜け毛の原因となるホルモンを増加させる作用があります。

過度の飲酒でアセトアルデヒドが大量に発生すると、血行不良が起こるだけでなくジヒドロテストステロンの発生も増えて、抜け毛をさらに促進することになってしまうのです。

消化不良

お酒は腸のぜん動運動(腸内の残留物を体外へ排出しようとする筋肉の動き)を誘発し、腸内の食物が十分に吸収される前であっても、なるべく早く体外へ排出しようとします。(お酒を飲むと下痢をする理由の一つ。)

さらに、お酒を飲むと、本来は食物の消化や吸収をするための『胆汁』を分泌する肝臓が、お酒の分解で手一杯になってしまって、胆汁の分泌が制限されてしまい、これらが重なって消化不良を起こしやすくなります。

こうして、お酒によって消化不良を起こすと、食物に含まれる栄養素の強化・吸収率が低下し、髪の毛の原料となる、アミノ酸やミネラル、ビタミンなども不足して抜け毛を増やす原因となってしまうのです。

飲酒によって失われる、または吸収が阻害される栄養素は、たんぱく質だけでなく、ビタミン類(A,B,C,D,E)葉酸、ビオチン、カリウム、ナトリウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなど、多種に渡ります。

腸内環境の悪化

お酒が抜け毛を増やす原因の中には、お酒による腸内環境の悪化も該当します。

お酒やカフェインのような刺激物が腸内に入ると腸壁が炎症を起こします。また、お酒によって腸内細菌叢にも悪影響が出て、善玉菌が減る原因となります。お酒によって起こる下痢も、腸内環境を悪化させる原因の一つです。

お酒によって腸内環境が悪化すると、腸が担っている、髪の毛の原料となるたんぱく質などの栄養素を分解・吸収する能力が低下し、毛髪への栄養供給が不足して、抜け毛を増やす原因となってしまいます。

眠りが浅くなる

お酒を飲むと、眠りが浅くなることが明らかになっています。眠りが浅くなると、深い睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌が減ってしまい、毛髪の成長に悪影響を与えて、抜け毛や薄毛の原因となってしまうのです。

また、睡眠が浅くなると、睡眠の持つストレスの解消効果も損なわれるため、その分ストレスが溜まりやすくなって、ストレスによる抜け毛も増えやすくなってしまうのです。

水分不足・脱水症状

お酒を飲むと、水分不足を起こしやすいことはあまり知られていません。

お酒を飲むと、体温上昇による『発汗』や、『利尿作用』による尿の排出などによって、水分は急速に失われていきます。また、本来は腸から吸収されるはずだった水分も、飲酒で起こる下痢によって、体外へ排出されてしまうため、体は水分不足を通り越して、脱水症状を起こすことさえあります。

体内の水分が不足すると、血液中の水分量も減るため、血がドロドロになり、血行不良を起こして、頭皮などの末端組織への酸素と栄養素の供給が滞って、抜け毛の原因となってしまうのです。

糖質の過剰摂取

ビールやワイン、カクテルなどには大量の糖質が含まれています。糖質を摂取し過ぎると、余った糖質が脂肪として蓄えられて、体脂肪率が上がります。体脂肪が増えると、皮脂腺から分泌される皮脂の量も増えてしまいます。

通常、皮脂自体が直接抜け毛の原因となることはありませんが、必要以上に皮脂が増えると、その分頭皮で酸化する皮脂の量も増えて、酸化した部分が発疹を起こすなどして、頭皮がダメージを受けることで抜け毛の原因となるほか、フケかゆみ、また頭皮の独特の臭いの原因にもなります。

適量なら影響が少ない

今回ご紹介した、お酒によって抜け毛が増える理由は、いずれも過度の飲酒によって引き起こされるものばかりです。つまり、適量の範囲で飲酒をする分には、毛髪への影響は少ないと言えます。

公益法人アルコール健康医学協会によると、 一日で適量とされるアルコールの量はおよそ20g。
・ビールなら中瓶1本(500ml)
・日本酒なら1合(180ml)
・焼酎なら0.6合(110ml)
・ウイスキーならダブル1杯(60ml)

この量を守っていれば、頭皮への影響も最小限に抑えられるでしょう。
(・・・とても足りない気がしますが。。。)

photo credit: A Soldier Drinks a Pint of Beer on his Return from Afghanistan (license)