社会人にとって理想の睡眠時間

日本人の睡眠時間は世界的に見ても少なく、忙しい社会人の睡眠時間は特に不足しがちです。睡眠時間の不足は、「生活の質(Quality of Life)」を低下させる原因となり、不足した状態が続けばうつ病や不眠症にも繋がります。忙しい社会人にとって必要な睡眠時間についてご紹介します。

社会人にとっての理想の睡眠時間

理想の睡眠時間について考える上で、ではじめに理解すべき点は、必要な睡眠時間と言うのは、人によってかなり異なるということです。

ショートスリーパーとロングスリーパーの存在
1日6時間も眠れば十分という人(ショートスリーパー、短眠者)もいれば、10時間眠っても足りないと感じる人(ロングスリーパー、長眠者)もいます。(ショートスリーパーとロングスリーパーは、それぞれ全人口中の5%~10%程度の割合で存在すると考えられています。)

こうした睡眠の個人差は遺伝的な要因の他に、その人のライフスタイルや年齢によっても大きく変わってきますので、一個人にとっても普遍的な理想の睡眠時間というものは存在せず、一概に『○時間が理想の睡眠時間である』ということは言えないのです。

平均的な睡眠時間を目安にする
では、ショートスリーパーでもロングスリーパーでもない、一般的な睡眠個性を持つ人(全人口中の8~9割)の場合は一体何時間眠れば良いのか、というと、少なくとも『平均的な睡眠時間』程度は確保する必要がありそうだ、と考えられます。

働き盛りの社会人(20歳~54歳)の各世代ごとの平均睡眠時間をご紹介しますので、表を参考にして、平均的な睡眠時間よりも多いか少ないかを、まずは確認してみてください。

働き盛り世代の平均睡眠時間
年齢 総合 男性 女性
20~24歳 7時間56分 7時間56分 7時間55分
25~29歳 7時間43分 7時間43分 7時間44分
30~34歳 7時間37分 7時間39分 7時間34分
35~39歳 7時間23分 7時間24分 7時間22分
40~44歳 7時間12分 7時間22分 7時間03分
45~49歳 7時間03分 7時間18分 6時間48分
50~54歳 7時間06分 7時間21分 6時間51分

そもそも日本人の睡眠時間は短い
この表のデータは、日本人の平均睡眠時間を表したものですが、ひとつ問題が存在します。日本は、諸外国と比べても平均睡眠時間がかなり短い国で、この表の平均睡眠時間を基準にしてしまうと、その時点で睡眠時間はかなり足りなくなる可能性があるのです。

参考:OECD加盟各国の睡眠時間

睡眠時間に関するより詳しいデータは『日本人の睡眠に関する統計データ』をご覧ください。

ほとんどの人が睡眠時間が足りていないのかも
紹介した表のデータはあくまで日本人の平均的な睡眠時間なので、表より短くても睡眠時間が足りていないとは言い切れませんが、元々諸外国より短い日本人の平均睡眠時間よりも更に短い睡眠時間であるということは、恐らくは睡眠時間は足りていないであろうという推測ができます。

そもそも、もしかするとほとんどの日本の社会人は、睡眠時間が足りていないという可能性すら考えられます。

社会人の睡眠時間の現実

働き盛りの社会人の平均的な睡眠時間の表を見ると、睡眠時間が少ないという点以外にも、「ある傾向」が見えてきます。それは『年齢を重ねるに連れて、平均睡眠時間も減少している』という傾向があることです。

平均睡眠時間が歳を取るに連れて減少しているのは、社会人にとって必要とする睡眠時間が高齢になればなるほど少なくなる、つまり長く眠る必要が無いから睡眠が短くなった、ということを意味しているわけではありません。

勤労世代が抱える大きな負担と睡眠不足
年齢で減少する平均睡眠時間からは、日本社会が抱える構造的な問題が見えてきます。社会人としての経験値を積み、責任もあるポジションに就く年齢になればなるほど、仕事は忙しくなり、それに伴い睡眠時間も減ってしまっている、ということです。

また、働き盛りの世代は、人によっては子育ても重なる年齢でもあり、子育てと仕事の両立をしようとすることが、睡眠時間の減少を助長していることも伺えます。

20代から30代前半ぐらいまでは、平均睡眠時間もある程度確保できており、若さも相まって、体はまだ無理が利く状態かもしれません。ところが、40代以降、睡眠時間は急速に減少し、50代に入ると7時間をギリギリ上回る程度(女性の場合は下回る)しか睡眠時間が無いことがわかります。仕事によって増えるストレスと減少する睡眠時間。これらが重なると、心身に大きな変調を来たす恐れがあります。

特に50代は男性も女性も、更年期を迎える年齢であり、睡眠不足による心身の不調と、更年期障害の発生が重なると、症状が重篤化しやすくなってしまいます。

蓄積する睡眠の負債

現代の日本では、『日本人の4割が睡眠時間6時間未満の時代に』なったと言われるほど、社会全体で睡眠不足が深刻化しています。

ご紹介した世代別の平均睡眠時間は、あなたの理想の睡眠時間を表しているわけではありませんが、平均的な睡眠時間よりも毎日の睡眠時間が大幅の不足している場合、毎日着実に『睡眠の負債』を増やしている状態である可能性があります。

日本の全人口のうち、1割程度がショートスリーパー、別の1割程度がロングスリーパー、残りの8割が平均的な睡眠時間の人であると言われています。

仮に、睡眠時間が6時間未満の人が10人集まった時、一人はショートスリーパーで6時間未満の睡眠でも意外とへっちゃら。8人は睡眠不足で、昼間に眠気を感じたり、集中力が低下しつつも仕事を頑張る人たち。最後の一人はロングスリーパーで、6時間未満の睡眠では圧倒的に睡眠時間が足らず、生活に壊滅的な影響が出る恐れがあります。

あなたがロングスリーパーでは無いことをただただ祈るばかりです。

また、ロングスリーパーと平均的な睡眠の人を合わせると、10人中9人は6時間未満の睡眠時間では、睡眠負債を負うことになりそうです。

睡眠の負債とは、あなたが本来必要としている睡眠時間と、実際の睡眠時間の差です。睡眠の負債を数値化することは難しいですが、睡眠の負債が増えれば増えるほど、睡眠不足の症状は深刻化していきますので、心身の症状として現れる様々な症状によって、事態がどれほど深刻なのかを推し量ることは出来ます。

朝起きるのが辛い、日中に激しい眠気を感じる、集中力がない、やる気が出ない、仕事のミスが増えた、イライラする、不安なことが増えた、外出が億劫に感じる、などの症状は全て睡眠負債によって引き起こされる症状の一部です。こうした症状が進行していくと、やがてうつ病や自律神経失調症、また心疾患や脳梗塞、様々な生活習慣病など重篤な疾患に繋がるリスクが増えます。

睡眠不足の悪影響

睡眠時間が圧倒的に平均時間よりも足りていない人は、行き帰りの電車の中でも、昼休みの30分間でも、最悪、仕事場のトイレの中で5分だけでも良いので、昼寝を取るようにしましょう。

また、睡眠が足りていないと感じる場合、休日は出来るだけ寝貯めをしたいと考える人が多いのですが、休日に普段よりも多く睡眠時間を取りすぎてしまうと、体内時計が乱れる原因となるため、休日の寝貯めは、「平日の睡眠時間+2時間程度」までに抑えたほうが良いでしょう。

睡眠不足で脳の疲れが溜まる

激しい運動をしたり、肉体労働などによって体を酷使したときの体の疲労は感じ取りやすいのですが、デスクワークなどで脳を酷使したときの脳の疲労と言うのは、案外認識しにくいものです。脳の疲労と睡眠時間の不足が重なると、思わぬ事態を招くことがあります。

社会人の中でも、職業形態として多いのがいわゆるサラリーマンです。

サラリーマンの仕事は今やパソコンに向かって行うデスクワークが中心で、朝から晩まで脳を酷使していますが、こうした脳の疲れを放置したまま、更に睡眠不足の生活を送ると、やがて『脳疲労』を起こすことがあります。

脳疲労が慢性化すると、思考や記憶と言った脳の機能が低下して、集中力や判断力の低下、意欲の低下、無気力、コミュニケーション能力の低下など、社会人にとって深刻な事態を招いてしまいます。

脳疲労を引き起こす原因は、デスクワークで知らぬ間に蓄積している疲労と、ストレス、そして睡眠不足です。デスクワークであっても、一日働けば脳はかなり疲れているということをしっかりと認識し、夜はしっかりと睡眠を取って脳を休ませてあげるようにしましょう。

photo credit: code_martial Sleep FUTAB (license)



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