思春期前後の子どもが発症しやすい起立性調節障害。この症状は自律神経系が未発達であったり、乱れてしまうことが主な原因であると考えられています。自律神経系を乱す要因のひとつには、親子の触れ合い不足から来るオキシトシン不足が考えられます。

自律神経系を乱すのはストレス

自律神経系を乱す最大の要因は、ストレスであると考えられています。現代社会では、会社でも学校でも家庭でも、どこもかしこもストレスで満ち溢れており、様々なストレスに晒され続けることが自律神経系を乱し、その結果、思春期の子どもの場合は、起立性調節障害のような症状が現れやすくなっていると考えられます。

子どもたちがストレスを増やす要因は、思春期特有の悩みや、学校の成績、いじめ、友人関係など様々ですが、家庭内にも子どもたちの抱えるストレスが増大してしまう要因が潜んでいます。

触れ合いが減るとストレスが増える

共働きなどで、両親が仕事に忙しい家庭では、どうしても子どもと会話したりご飯を一緒に食べたり、子どもと触れ合う時間が減ってしまいます。

ただでさえ内向的になりがちな思春期の子どもたちはストレスを貯めやすく、本来ストレスを吐き出す家庭でも、親の不在でストレスを吐き出せずに過ごしがちになり、ストレスが増えていってしまい、自律神経系が乱れる要因になってしまうことが考えられます。

触れ合いが減るとストレス耐性が落ちる

ストレスへの耐性を増やす『オキシトシン』は、幸せホルモンなどと言われ、人と人との触れ合いや、団欒、共感などの行動を通じて分泌されます。オキシトシンが分泌されると、ストレスへの耐性が増し、ストレスに強い精神を生み出します。

子どもと触れ合う時間を増やすことで、子どもが何に悩んでいるかを知ることができるとともに、子ども(そして大人も)がオキシトシンを分泌させるチャンスを増やして、ストレスに強く、自律神経系が乱れにくい心身を作り出すことができるのです。

子どもとの触れ合う時間が減ると、通常は親子間でのふれあいを通じて分泌される、オキシトシンを分泌するチャンスが激減してしまうのです。

つまり、親子間の触れ合いが減ることで、オキシトシンによるストレス耐性が損なわれ、結果としてストレスに弱く、自律神経系を乱しやすい体質になり、起立性調節障害を起こしやすくなったり、症状が悪化しやすくなる可能性があるのです。

たとえ触れ合いが難しくても

自我が強く芽生え始める思春期の子どもは、親との会話や関わりを拒否しやすく、たとえ時間があっても触れ合いが思うように出来ない場合があります。

しかし、症状に苦しむ子どもたちを支えてあげられるのは最終的には家族だけですので、根気よく、起立性調節障害と言う病気のことを理解していくとともに、付かず離れず、子どもに寄り添ってあげられるようにしたいものです。

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