起立性調節障害は遺伝する可能性がある

親が起立性調節障害の場合、子どもにも起立性調節障害が遺伝するという決定的な証拠はありません。しかし親から子どもに遺伝するいくつかの資質や体質考えると、起立性調節障害が遺伝する可能性を排除することは出来なくなります。

体内時計は遺伝する

地球の一日を表す『自転』は24時間周期ですが、人の体内時計は、人によって23時間周期だったり25時間周期だったり、一日の長さがバラバラであることが知られています。こうした体内時計を形成する『時計遺伝子』は、親のもつ遺伝子が子どもに遺伝することが考えられます。

人によって24時間より長かったり短かったりする『体内時計の周期』は、ショートスリーパーやロングスリーパー、夜型や朝型などと言った、その人にとって最適な睡眠時間の長さや、朝方/夜型の生活リズムを形成する基礎として働きます。

*もちろん、人の生活リズムや睡眠は遺伝子だけで決定づけられるものではなく、生まれた後の環境にも大いに依存します。

体内時計の周期が親から子へ遺伝する、ということは体内時計や自律神経系の働きに乱れが生じることで発症する起立性調節障害についても、時計遺伝子の何らかの遺伝的特徴が関与して、発症しやすくなる可能性があると考えられます。

体質や身体的特徴は遺伝する

体内時計の特徴と同じく、身長や体重、その他何らか(目が大きいとか、鼻が低いとか)の『体質や身体的特徴』によって、眠りが短かったり長くなる可能性があり、こうした身体的特徴を親からの遺伝で引き継ぐことで、睡眠時間の長短や睡眠の質の良し悪しも遺伝する可能性があります。

また、最近ではヤセ菌やデブ菌といった、腸内細菌が存在することが徐々にわかってきており、こうした腸の中に住む腸内細菌は、母親から子どもに引き継がれることが考えられます。

母親の腸内細菌は子どもに引き継がれる

母親がヤセ菌を持っていれば、その子どもも痩せ型の体型になりやすい、と言った影響が考えられるのです。親が起立性調節障害を起こしやすい何らかの身体的特徴を有していた場合、子どもにもそうした傾向が現れる可能性があります。

詳しくは『デブ菌って!?腸内細菌が肥満やダイエットにも影響していた』をご覧ください。

睡眠の質は遺伝する

眠りが浅い、朝起きれない、夜寝付きが悪いというような睡眠の質が悪い場合、自律神経系の働きを乱す可能性があります。

こうした睡眠の質の傾向は、後天的な生活環境が大きく影響しますが、体内時計の周期や身体的特徴など、親から子に受け継がれる資質によっては、睡眠の質も子どもに遺伝する要素があると考えられます。

アレルギー体質は遺伝する

例えば、アレルギー体質を受け継ぐと、鼻炎などにより鼻が詰まりやすく、夜寝ているときに鼻で呼吸がしにくくなるため、その分睡眠の質が悪くなることが考えられます。そしてアレルギーを発症しやすい体質は、親から子どもに遺伝しやすい資質です。

性格は遺伝する

人の性格を形成する遺伝子の中で親から子どもに遺伝する遺伝子があります。それは脳内で働く神経伝達物質『セロトニン』を神経間でやり取りするセロトニントランスポーターという細胞の遺伝子のタイプです。

セロトニントランスポーターのタイプは、S型、L型の2種類があり、その二つのタイプを組み合わせて遺伝子型を形成します。つまり、SS型、SL型、LL型の3通りが存在します。日本人は民族的にS型の遺伝子を持つ人が多いそうです。

このセロトニントランスポーターは『不安遺伝子』とも呼ばれ、性格に影響していると考えられています。S型L型のうち、S型には不安を感じやすい、内向的、ストレスに弱い、慎重、神経質と言った特徴があると言われます。また、L型は、陽気で社交的な性格になりやすいようです。

詳しくは『性格は遺伝するか?』をご覧ください。

こうしたセロトニントランスポーターのタイプは親から子どもに引き継がれますので、親がS型の遺伝子を持っている場合、子どもにもその遺伝子が引き継がれて、慎重、神経質と言った性格的特徴が発現することは、十分に考えられるわけです。

御存知の通り、内気で慎重、神経質な性格は、起立性調節障害を引き起こしやすい性格だと言われております。

まとめ

ご紹介したように、親から子どもに遺伝しやすい体質や資質のうち幾つかは、起立性調節障害を引き起こしやすくなるであろうことが想像できるものです。こうした資質を遺伝で受け継ぐことで、起立性調節障害を起こしやすくなる可能性はあると考えられます。

また、起立性調節障害は自律神経系の働きの乱れが身体に現れる病気で、大元の原因は自律神経系の働きの乱れであります。

そのため、親から資質を受け継いだことで起立性調節障害になるというよりも、自律神経系の働きが乱れやすい体質は遺伝する可能性がある、という点と、自律神経系の働きの乱れによって、起立性調節障害だけでなく、様々な病気にかかる可能性もある、という点も合わせて覚えておきたいところです。

photo credit: Showing off Aiden’s little monkey feet (license)



author :

★参考になったと思ったら是非ソーシャルメディアでシェアしてください!