コミュ障改善には幸せホルモン『オキシトシン』を分泌すればいい

オキシトシンは、脳の下垂体後葉から分泌される、アミノ酸により構成されたホルモンです。従来は、出産時の子宮収縮薬陣痛促進剤として広く使用されてきましが、近年の研究では、親子間や家族間、恋人間などでの、人間関係を形成する上でオキシトシンが影響を与えているとされ、癒やしのホルモンや幸せホルモン愛情ホルモンなどとも呼ばれるようになりました。いわゆるコミュ障を改善する効果も期待出来ます。

オキシトシンの効果

オキシトシンには、以下のような効果や作用があると言われています。

  • 親子の絆を深める
  • 人と人との間での信頼性や安心感を与える
  • ストレスへの耐性
  • 脳の疲れを取る
  • 鎮静、催眠作用
  • 学習能力の向上、認知症の予防

更に、東京大学などがつい最近発表した研究結果では、オキシトシンを点鼻で投与することで、自閉症スペクトラム障害(アスペルガー障害の発達障害などを含む、自閉症等の障害の総称)が改善すること分かったそうです。

東京大学 大学院医学系研究科 精神医学分野 准教授 山末 英典は、同研究科 統合生理学分野 特任助教(当時) 渡部 喬光らと共同で、ホルモンの1種であるオキシトシン注2)をスプレーによって鼻から吸入することで、自閉症スペクトラム障害において元来低下していた内側前頭前野注3)と呼ばれる脳の部位の活動が活性化され、それと共に対人コミュニケーションの障害が改善されることを世界で初めて示しました。

引用元:共同発表:自閉症の新たな治療につながる可能性~世界初 オキシトシン点鼻剤による対人コミュニケーション障害の改善を実証~

このことからも、オキシトシンには対人コミュニケーションにおいて、優れた効果を発揮するということが裏付けられ、コミュ障の改善が期待できます。

オキシトシンを増やすには

オキシトシンを増やす主な方法は、食事によってオキシトシンの材料をたくさん食べること、そしてオキシトシンが増えるような生活、行動をすることです。以下にその方法をご紹介します。

食事で増やすには

オキシトシンは、9つのアミノ酸が結合して構成されたペプチドホルモンです。(ペプチドとはアミノ酸が2個以上結合したもののこと。)

9つのアミノ酸の種類は以下
システイン、イソロイシン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、ロイシン、グリシン

従って、オキシトシンを食事から増やすには、これらのアミノ酸が含まれたタンパク質、つまり肉や魚、豆、乳製品、卵などを属するのが効果的です。

また、オキシトシンの材料となるアミノ酸のうちいくつかは、脳内へ到達するのに炭水化物を摂取すると効率が高まりますので、食事の際は、タンパク質はもちろん、炭水化物も一緒に摂取すると良いでしょう。

アミノ酸の働きなどについてはこちらをご覧ください。

セロトニンで増やす

オキシトシンは、親子や恋人同士の触れ合いやスキンシップ、家族や友人、仲間とのおしゃべりなど、時には、飲みニケーションやマッサージなどいわゆるグルーミングと言われる行動の中で分泌されやすくなり、オキシトシンが分泌されることで、脳は癒され、ストレスへの耐性の向上やセロトニンという脳内物質の活性化にも作用しているとされます。

一人暮らしの場合など、人との触れ合いが少ない人は、ペットとの触れ合いでもオキシトシンを増やす作用が期待できます。また、ペットもいないという人は、お気に入りの人形やぬいぐるみを抱くことでも補えるそうです。

詳しくは『グルーミングでセロトニンを増やす方法』をご覧ください。

グルーミングの他にも、オキシトシンを増やす方法としていくつかの方法があります。

オキシトシンを増やす方法の多くは、セロトニンを増やす方法にも合致します。セロトニンを増やすには、規則正しい生活をする、日光を浴びる、リズム運動をする、食べ物をよく噛む、などが効果があるとされています。

オキシトシンには副交感神経系を刺激して脳をリラックスさせることでストレスを解消させるがあるので、交感神経系を興奮させるストレスホルモンである、コルチゾールノルアドレナリンとは逆の性質があると言えます。

オキシトシンと睡眠

オキシトシンが分泌されることによる効果の一つとして、催眠作用が挙げられます。オキシトシンが充分に分泌されることで、脳の疲れが取れ、また、気分が安定して、人は幸福感を得るとされています。 その結果、安心して眠りに着くことが出来るのではないでしょうか。

また、オキシトシンは脳内物質セロトニンを活発化させます。セロトニンは、睡眠ホルモンである『メラトニン』の分泌に必要な脳内物質なので、セロトニンが活発化することで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も増え、よく眠れるようになるというわけです。

オキシトシンとセロトニンの関係

オキシトシンとセロトニンは密接な関わりがある物質です。

東邦大学の有田秀穂医学部教授はその関わりについて、以下のように解説しています。

オキシトシン受容体は、前頭前野と扁桃体にありますが、まさにそれは心に関係した脳の場所にあるわけです。ですから、心の状態に影響を及ぼす脳内物質ともいえます。セロトニン神経の神経細胞にオキシトシンの受容体があります。ですから、オキシトシンがたくさん分泌されてオキシトシン受容体に届くと、同時にセロトニン神経が活性化されることになるのです。

引用元:「脳の疲れ」がスーッととれる!”癒しホルモン”オキシトシンの増やし方

オキシトシンをうまく分泌させるには、前述のようなグルーミング、つまり人と人との触れ合いや会話などの交流が効果的です。しかし、残念なことに、インターネットが発達し、コミュニケーションの手段も多様化した現代では、業務上でもメールだけでやりとりしたり、働かずに部屋に引きこもる人が増えたり、人と人とのコミュニケーションが減りつつあります。

オキシトシンとセロトニンには密接な関わりがあり、オキシトシンの分泌が減るような環境では、セロトニンも不足しがちになるでしょう。

セロトニンはうつ病や不眠症などの疾病に大きな影響がある脳内物質であるとされています。近年、若者を中心に新型うつと言われる、新しいタイプのうつ病になる人が増えているとされたり、うつ病だけでなく、他にも様々な精神疾病や眠りに不満を持つ人の数が増えているのも、現代社会に生きる我々が、いかにストレスを多く抱え、オキシトシンとセロトニンをうまく分泌できていないかの現れなのかもしれません。



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