睡眠と恒常性維持機構

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人が睡眠を摂る理由のひとつに、恒常性維持機構(ホメオスタシス)の働きがあります。「疲れて泥のように眠る」という言い回しがありますが、体が疲労すると、普段よりも効率よく深い睡眠をとって、体が早く修復するように働くのが睡眠の恒常性維持機構です。睡眠の質をコントロールする仕組みとも言えます。

恒常性維持機構とは

恒常性とは、生物の性質や状態が一定の状態に保たれていることを指す言葉です。

恒常性維持機構とは、人の恒常性を保つための働きのことで、体温や血圧を一定に保ったり、ホルモンを分泌させて体が正常に働くようにしたり、傷や骨折を治す、風邪を引いたら風邪を治す、病原菌やウイルスを排除する、と言った、人の体を健康で最適な状態に保つ、人体に備わった生体システムのことを言います。

例えば、寒くなると鳥肌が立って身体が震えるのは、体温を維持するために恒常性維持機構が働くためです。逆に、発熱で体温が高くなると、血管を拡張させたり発汗量を増やして体温を下げるように働きます。

体内の水分量や塩分量、血液中の赤血球や白血球などの成分比率なども恒常性維持機構によって管理されており、恒常性維持機構の破綻は、これらの均衡が破られて健康が損なわれることを意味します。

恒常性維持機構を司るのは脳の視床下部で、自律神経系、免疫系、内分泌系などの神経系を駆使して恒常性を維持しています。

睡眠と恒常性維持機構の関わり

睡眠は人が恒常性を保つ上で非常に重要です。

人は睡眠中に、日中の活動で傷ついた細胞や骨などの修復を行います。また、脳に溜まったストレスや疲労を回復させたり、記憶の整理などが行われます。こうして睡眠をとることで心身を健康な状態に保つのも恒常性維持機構の働きによるものと言えます。

人はなぜ眠るのかは完全に解明されていませんが、恒常性維持機構の働きが人を睡眠へと導くということははっきりとしています。

人の体に備わったもう一つの生体システムである体内時計が、夜暗くなると睡眠へ誘う働きをする一方、恒常性維持機構は疲れ、怪我、病気などに反応して睡眠へと向かわせるのです。

恒常性維持機構によって起こる代表的な睡眠は、徹夜後に起こる我慢できないほど強い眠気です。体内時計に支配された人の生活リズムは、徹夜をしても朝になると脳をある程度覚醒させます。一方、徹夜をして溜まった脳や体の疲れは、恒常性維持機構による睡眠への強い欲求を生み、耐え難い眠気が襲ってくるのです。

睡眠の深さと恒常性維持機構

恒常性維持機構は人の身体を一定に保つ働きをする仕組みです。冒頭でも書いたように、脳や体が激しく疲労したとき、恒常性維持機構の働きにより、人は普段よりも深い眠りを取ることで、効率よく脳や体の疲れを癒やすことができています。

睡眠不足が続いたときも同様に、深い睡眠を多く出現させることで、不足分の睡眠量を補うことができるわけです。このように、恒常性維持機構は睡眠の質に大きな影響を与えていると言えます。

睡眠周期にも恒常性維持機構

人の睡眠は深い眠りと言われるノンレム睡眠と、浅い眠りとされるレム睡眠の2種類があります。ノンレム睡眠とレム睡眠は、一定の周期で繰り返され、人のは一晩のうちに眠りが浅くなったり深くなったりしています。

こうした睡眠周期に恒常性維持機構が関わっています。

ノンレム睡眠とレム睡眠の繰り返しの中でも、特に入眠直後は深い眠りであるノンレム睡眠が中心に現れます。これは恒常性維持機構の働きにより、素早く、そして効率よく身体の恒常性を保つために、脳の疲労を回復させたり身体を修復させるのに必要な深い眠りが入眠直後に現れているのだと言えます。

そして、十分にノンレム睡眠が出現した後には、浅い睡眠であるレム睡眠が多くなるのです。

photo credit: Asleep in the grass (license)



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