血液検査でも見逃されやすい『隠れ鉄不足』とは

鉄不足の中でも、一般的な健康診断の血液検査などでは見逃されやすい潜在的な鉄不足で、貧血などの予備群とも言える、『隠れ鉄不足』という状態にある人が増えていると言われます。こうした人々には、疲れや倦怠感、イライラや気分の落ち込みなどの症状が現れることもあります。

隠れ鉄不足の原因

隠れ鉄不足は体内での鉄の使われ方、特に機能鉄(ヘモグロビンやミオグロビン)貯蔵鉄(フェリチン)の関係によって引き起こされます。

ヘモグロビン量の維持が優先される

生命維持に必要不可欠な酸素を全身へ運ぶ赤血球を作るヘモグロビンとその材料である機能鉄は、常に一定量を確保する必要があります。貯蔵鉄であるフェリチンは機能鉄の量を一定に保つために不足分を補う役割をしており、体組織や血中への鉄分の供給が不足しだすと、貯蔵鉄が排出することで一定量を保つよう作用しています。

フェリチンはダムの水

肝臓などに蓄えられるフェリチンは、いわゆる貯水ダムに蓄えられた水のように体内で働いていると言えます。夏場に水不足になってダムの水が減少しだしても、川の水量はしばらく一定に保たれ続けます。しかし水不足が続き、ダムの水が枯渇すると、川の水量も減りだし、やがて流れが止まってしまいます。

生命維持に重要なヘモグロビンや体組織で消費される機能鉄が不足すると、肝臓や脾臓に蓄えられたフェリチンが血液中に放出されて、血中のヘモグロビン(川の水)の他、鉄含有酵素やミオグロビンが常に一定になるように補って調整するような働きをしています。そのため、体内での鉄分が不足する場合は、まずダムの水であるフェリチン・貯蔵鉄から減少していきます。

フェリチン不足は認識されにくい

多少のフェリチンが使用される程度(供給が少し足りない状態)では、血中のヘモグロビンの量は一定に保たれているため、自覚症状や一般的な血液検査では貧血など鉄不足の判定が出ることはありません。これが隠れ鉄不足が増加している根源であります。

慢性的な鉄分不足が続くと貯蔵鉄が枯渇し、ついには機能鉄の不足が起こり始めると、最終的には赤血球数の減少などが起こりはじめ、ようやく貧血症状などの自覚症状が現れ始め、一般的な血液検査でもヘモグロビン量の低下が発見されます。

隠れ鉄不足は倒産寸前の自転車操業と同じ

隠れ鉄不足は、貯蔵鉄が枯渇しかけていて、いわば倒産寸前の会社が自転車操業の資金繰りをギリギリ繰り返しているような状態です。隠れ鉄不足では、ヘモグロビンの量に減少は見られませんが、貯蔵鉄であるフェリチンの欠乏症状がかなり進行して、疲労の蓄積や倦怠感、日中の眠気、イライラや集中力の低下などの症状が表れることがあります。

photo credit :JD Hancock



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