仕事中や勉強中にとても眠たくなるのはなんで?
昨夜はしっかり眠ったはずなのに、朝から体が重たいのはなぜ?
そんな眠気には、様々な原因が考えられます。
たかが眠気、と軽く見ていると重大な病気繋がることもありますので、常に眠気を感じるような人はその原因をしっかりと把握しましょう。

日中眠くなる原因

日中に眠くなるのには、単なる前日の睡眠不足から、睡眠障害まで以下のような様々な原因が考えられます。

  1. 睡眠不足
  2. 鉄不足
  3. トリプトファン不足
  4. うつ病
  5. ナルコレプシー
  6. 睡眠時無呼吸症候群
  7. 体内時計がずれている

1つずつ順にご紹介していきます。

睡眠不足

眠気を感じる原因として最も多くの人に当てはまるのが睡眠不足ではないでしょうか。
睡眠不足だから眠気を感じる、と言うと当たり前だろうと思われるかもしれませんが、では一体、何時間眠っていたら睡眠不足で、何時間なら睡眠が必要十分か、どれだけの人が理解しているでしょうか。

人が必要とする睡眠時間には個人差があります。
日本の成人の平均睡眠時間は7時間30分程度(2011年OECD調査)です。

では、7時間30分の睡眠時間を確保したから睡眠不足にならないか、といえばそれは間違いです。
毎日10時間眠っているのに日中はずっと眠気がする、と言うアインシュタインのような人もいるかもしれませんし、3時間も眠れば十分なリアルナポレオンも存在するかもしれません。

つまり、睡眠時間だけで睡眠が足りているか、不足しているかは計ることが出来ないのです。

ところで、睡眠不足を侮ってはいけません。
睡眠不足の状態は、人にとって様々な悪影響を及ぼします。

睡眠不足による眠気への対処法

・普段の睡眠時間が適切かを見直す
日頃の眠気の原因は、睡眠時間が単純に足りていないのかもしれません。
睡眠時間が足りていないことが自覚できる場合は、あと30分、あと1時間と、普段よりも長く睡眠を取る生活を2週間程度して、前後の体調の変化から様子を見ましょう。

→詳しくは『最適で理想的な睡眠時間』をご覧ください。

・睡眠の質を改善する
睡眠時間は足りているけれど、眠りが浅い、中途覚醒しているなど、睡眠の質が悪いのかもしれません。
睡眠の質が悪くなる要因は様々ありますが、就寝前の習慣や、普段の生活習慣などを見直すことで睡眠の質を改善することが出来ます。

詳しくは『快眠のための10のコツ』をご覧ください。

鉄不足

一般的には余り知られていませんが、鉄分が不足した時にも眠気を感じます。

鉄分が不足すると、貧血になることはよく知られていますが、その他にも鉄分不足で眠気を感じたり、疲労や倦怠感を増すことが分かっています。

鉄分は、体内の血管内の赤血球に含まれ、酸素を体の隅々へ運搬するヘモグロビンの原料になるミネラルで、鉄分が不足すると体が酸素不足になり、貧血や眠気、動機や息切れ、疲労感を感じるなどの症状が現れます。

詳しくは『鉄(栄養素)』をご覧ください。

トリプトファン不足

トリプトファンは、人が体内で生成することが出来ない『必須アミノ酸』の1種で、神経伝達物質であるセロトニンドーパミンの原料でもあります。

トリプトファンは肉や魚などの動物性タンパク質や、豆類など植物性蛋白質に多く含まれますが、何らかの事情でトリプトファンの摂取量が減って不足すると、セロトニンやドーパミン、またセロトニンから合成される睡眠ホルモンであるメラトニンの不足が起こります。

睡眠ホルモンであるメラトニンには、人の体内時計を調整する作用があり、正常に分泌されないと、朝起きて夜眠る生活を保つことが出来ず、日中に急激に眠くなったり、深夜になっても眠くならなくなったりと、不眠症や睡眠障害の原因になります。

→詳しくは『トリプトファンとは』をご覧ください。

うつ病

うつ病を発症した人の多くに現れる症状として、不眠症などの睡眠障害があります。
うつ病の人の多くが睡眠障害になるのは、セロトニンなどの神経伝達物質の分泌不足や異常、またそれによる、メラトニンなど睡眠ホルモンの分泌低下などが原因であると考えられています。

特に、強いストレスや気分の落ち込みなどを感じる場合は、うつ病を発症している疑いがありますので、お早めにお近くの心療内科などにご相談下さい。

詳しくは『うつ病とは』をご覧ください。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは睡眠障害の一種で、場所や状況を問わず、激しい眠気に襲われ、時にはその場で実際に眠りだしてします病気です。

意志に関わらず、またところ構わず居眠りしてしまうため、時に車や機械の運転中などに居眠りをしてしまって、重大事故に繋がることもあります。

ナルコレプシーを発症する原因の一つとして考えられているのは、オレキシンと言う神経伝達物質の欠損です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠障害の一種で睡眠中に何らかの原因によって気道が塞がれて呼吸が止まったり呼吸がしにくくなる病気です。
睡眠中に呼吸が止まると、脳に酸素が十分供給されず、眠りが浅くなりやすく、長時間眠っているのに、熟睡感が得られない、などの症状が出やすい他、日中の激しい眠気を催す原因とされています。
肥満気味の人は特に睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われ、一般の人に比べると発症リスクが3倍程度になります。

詳しくは『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』をご覧ください。

体内時計がずれている

人の体には、俗にいう『体内時計』と言うシステムが備わっています。
これはサーカディアンリズムや概日リズムとも呼ばれ、地球の自転周期と大体連動しています。
(体内時計は人によって異なる)
この体内時計が働いているために、人は朝起きて夜になると眠くなります。

しかし、何らかの理由で体内時計が狂ってしまうと、本来夜眠くなるはずの体が、昼間に眠くなってしまうことがあります。

また、体内時計には24時間周期の概日リズム以外にもいくつかの種類があります。
中でも、半概日リズム(サーカセミディアンリズム、約12時間毎の体内時計)は、ちょうど昼食後の午後1~2時頃に発せられる激しい眠気の原因として知られています。
こうした眠気の解消には、『昼寝』が非常に有効であるとされています。

photo credit :Jgwenole camus