一般的にはレム睡眠とノンレム睡眠のリズムは「およそ90分単位」と言われていますが、睡眠の個人差や体調、生活環境などにより睡眠リズムが異なってきますので、自分の睡眠リズムを知るということはそう簡単ではありません。そこで、理想的な睡眠時間を見つけるために、いくつかの手順をご紹介しています。自分の睡眠リズムを知り、眠りの浅いレム睡眠時に起床できるようにすれば、目覚めは良くなると考えられます。

スマホの睡眠アプリを利用する

最近爆発的に普及しているスマートフォンのアプリには、レム・ノンレム睡眠のリズムを測ってくれるものがあります。無料のものから有料のものまで、機能や精度は様々ですが、色々試すと自分に合ったアプリを見つける事ができるかも知れません。

・アンドロイド向け
評価が高くおススメなものは「Sleep as Android」というアプリです。 (無料版あり)

・Iphone向け
おススメのアプリは「Sleep Cycle alarm clock」というアプリです。

これらのアプリは寝返りやイビキなどを感知し、眠りが浅くなった時にアラームを鳴らして起こしてくれるというものです。睡眠リズムをグラフで視覚的に確認することもできるので、自分の睡眠リズムを知るにはピッタリです。

いずれも有料(数百円)ですが、安価で多機能な上、使い勝手も良く、スマートフォンがあればだれでも手軽に試せるのでおススメ出来ます。この他にも多くの睡眠アプリがありますので、アプリストアの評判などを参考にお試しください。

カロリー計算や体重記録など、ヘルスケア機能が付いたアプリなら、ゲーム感覚で睡眠を記録できるかもしれません。

専用の睡眠時計を購入する

オムロン ねむり時間計
国内メーカー大手であるオムロン社から販売されているのが、「ねむり時間計」です。眠りの記録(睡眠時間や睡眠の満足度、寝付くまでに掛かった時間など)を週間、月間などでデータ化することができ、睡眠リズムを見つけるのに役立ちます。アプリよりも値段は高めですが、精度は高く、スマートフォンやパソコンとも連携可能で、スマホ用のアプリとしても提供されています。

睡眠サイクルの計算アプリを試す

1と2で紹介したアプリや目覚まし時計に共通しているのは、睡眠の状態を監視して睡眠リズムを記録し、睡眠周期の波をグラフィカルに確認出来るという点です。睡眠周期自体が数値化されるものもあり、自分の睡眠周期を知る上での大きな働きをしてくれるはずです。

自分の睡眠周期が把握できたら、当サイト内で利用可能な睡眠サイクルの計算アプリをお試しください。睡眠周期から、レム睡眠で起床できる時間を予測して最適な睡眠時間を計算します。

目覚まし時計をかけない

たとえ目覚ましアプリや睡眠記録時計など、電子機器を使っても自分の睡眠周期を知ることは容易ではありません。しかし、発想を逆転させると、理想的な睡眠時間を知るひとつの方法として目覚まし時計をかけずに寝起きする『目覚ましOFF法』があります。

目覚ましOFF法とは、名前の通り目覚ましをOFFにして睡眠する、つまり目覚ましをかけずに眠ることで睡眠周期を知るというアプローチです。

毎日決まった時間に起きなければならない人には向きませんが、朝の時間に余裕がある人や、忙しい人でも休みの日なら試せるかもしれません。以下の流れでお試しください。

    ※睡眠不足時や健康に不安があるときは避けましょう。
  1. 睡眠を邪魔されない「快適な睡眠環境」(音や人の声、光、熱など)を整える
  2. 目覚まし時計はOFFにする
  3. ベッドに入った時間をチェックし、何時ぐらいに入眠したかを記録する
  4. 寝たいだけ眠る
  5. 自然に起きれる時に起きる
  6. 目が覚めたら、起きた時間を記録する
  7. 入眠時間と起きた時間から、睡眠時間を計算し記録する

自然に目覚めた時間からは睡眠周期を知ることは出来ませんが、少なくとも自然に目覚めた時間というのは、あなたの睡眠欲求を満たせているという点では、あなたの理想の睡眠時間にはだいぶ近いはずです。

普段目覚まし時計をかけるときも、『目覚ましOFF法』で得られた睡眠時間を確保できるように就寝時間を調節すると、気持ち良く起きれる可能性が高まります。

専門検査を受ける

いろいろ試してもどうしても睡眠周期がわからない場合や、睡眠に深刻な悩みを抱えている場合、ハードルはかなり上がりますが、専門検査を受けるという選択肢もあります。

内科や呼吸器科と言った専門の医師による診断・検査となりますので、客観的かつ正確な検査を受けることが可能です。眠りの質にひどい不満を抱えている人や、不眠症睡眠時無呼吸症候群をはじめとする、睡眠障害を持つ方など、眠りに重い問題を持つ方向けです。

・睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠時の脳波、呼吸、眼球運動、心電図、血圧、その他身体の運動状態などを計測・記録し、それぞれの数値を健常値と比べることで睡眠障害の有無や状態、種類などを検査する方法です。

・睡眠潜時反復検査(MSLT)
日中の眠気の度合いを客観的に評価するために行われる検査で、日中2時間毎に4回程度、昼寝をして眠りにつくまでの時間や脳波を測定します。

・アクチグラフ
センサーにより生活状態を自動測定・記録する時計のような形をした装置。睡眠や覚醒のリズムを調べることができます。


冒頭でも述べたように、理想的な睡眠時間は、人により、またその人の生活習慣や環境、季節などによっても大きく異なります。従って、残念なことに「自分にとって最適な睡眠時間は何時間」というものは、見つけることは簡単ではないかもしれません。

しかし、まずは睡眠の特徴や必要性を知り、睡眠が我々人間にとってどれだけ重要なものかを理解すること、そして眠りというもの自体に興味を持つこと、上で述べたような方法を試して、睡眠周期などを知っていくことは有意義なことです。こうした知識を得ることで、あなたにとっての理想的な睡眠時間に近づくものと考えています。

また、我々現代人は不規則な生活に陥りがちですが、そのような生活環境では体内時計が乱れてしまうため、理想の睡眠時間を見つけるためには、できるだけ規則正しい生活を心がける事が必要です。具体的には、朝・晩の起床・就寝時間を出来る限り固定する事、同時に食事の時間もできるだけ固定すること、特に起床時間を固定することをお勧めします。
※起床時に体内時計がリセットされるため

睡眠が足りていないと感じる原因

『朝が起きるのが辛い』
『日中ボーっとして眠たい』

こうした症状を感じるのは、『睡眠時間が短い』せいではなく、『睡眠の質』に問題があるせいかもしれません。寝付きが悪い、眠りが浅いなど睡眠の質が悪いと、睡眠効率が下がり、何時間眠っても、次の日に寝不足のような症状が現れやすくなります。

朝の目覚め方に問題があるかも
夜の睡眠の質の良し悪しは、実はその日の朝の目覚め方に大きく左右されます。

朝目覚めるとき、太陽の光を浴びていますか? 太陽光を浴びると、以下のような効果を得られます。

  • 脳内に『セロトニン』が分泌され、スッキリ目覚めることが出来て、日中も眠たくなりにくい。
  • 体内時計』がリセットされて、生活リズムが安定しやすい。
  • 睡眠ホルモン『メラトニン』が分泌されやすくなり、夜の寝付きや睡眠の質が良くなる。

★次のページでは『5.年齢・年代別の必要睡眠時間の目安』をご紹介します。

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