不眠症の改善効果を謳って販売されるサプリメントは数多くあります。
これらのサプリメントは本当に効果があるのでしょうか?
不眠症のサプリメントとして販売されている種類ごとに説明してみます。

ハーブ

昔からハーブは気持ちを落ち着かせて、安眠へ誘うと言われてきました。
ハーブによる不眠症改善効果は、交感神経系が高ぶりがちな人には有効かもしれません。
ハーブの持つリラックス効果で、交感神経系の興奮を鎮め、副交感神経系の働きを活性化させることで、強力すぎない自然で緩やかな不眠症改善効果が見込めます。

不眠改善効果が期待出来るハーブの種類

カモミール、ラベンダー、リンデン、バレリアン、パッションフラワー、ベルガモット、セント・ジョーンズ・ワート
使用例)
ハーブティー、アロマオイル、入浴剤、石鹸、化粧水など。

トリプトファンのサプリメント

トリプトファンはセロトニンやメラトニンの前駆体であり、サプリメントとして摂取することでメラトニンの増加によって、不眠症の改善を期待するものです。
トリプトファンからメラトニンが生成される過程で、セロトニンが生成されるため、トリプトファンのサプリメントは、うつ病の改善効果を謳っているものも多くあります。
ダイエットや偏食などで、栄養素としてのトリプトファンが不足している場合は、サプリメントで補うことで、セロトニンやメラトニンを増やす効果が多少あるかもしれません。
ただし、通常の食生活では、トリプトファンが不足することはまずありません。

セロトニンのサプリメント

セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンを生成するのに必要な物質です。
しかし、経口摂取したセロトニンは血液脳関門(BBB)を通過することは出来ません。
また、経口摂取の場合、ほとんどが腸内で分解されてしまうため、『セロトニン入り』を謳ったサプリメントは不眠症の改善にはほとんど効果が無いと考えてよいでしょう。
この他にも、『セロトニンを増やす』という効果を謳ったサプリメントがあります。

これらのサプリは、トリプトファンや5HTPなど、セロトニンの前駆体や原料が含まれたサプリメントです。
しかし、恐らく不眠症を改善する効果は期待出来ないと思われます。
(プラセボ効果はあるかもしれません)

メラトニンのサプリメント

メラトニンは、体内で睡眠ホルモンとして分泌される物質です。
国内ではメラトニンは薬機法により、医薬品としてのみ処方されます。
アメリカではサプリメントとして販売されているため、個人輸入の形で入手することが可能です。
メラトニンは血液脳関門も通過することが出来る物質であるため、経口摂取することで催眠作用が期待出来ます。
ただし、メラトニンは国内では睡眠薬として処方される場合もある強力なホルモンですので、安易な使用は控えたほうが良いでしょう。

GABAのサプリメント

GABA(γ-アミノ酪酸)のサプリメントはストレス解消効果などで人気のサプリメントです。
GABAは食品に含まれている物質なので、「GABA入り」を謳った発芽玄米やチョコレートなども広く販売されています。
脳内での神経伝達物質としてのGABAは精神の安定化、交感神経系の鎮静作用などがあります。
しかし、経口摂取されたGABAは血液脳関門(BBB)を通過しませんので、サプリメントなどで摂取しても、不眠症の改善効果は薄いものと思われます。
ただし、GABAには血圧の降下作用があることが認められておりますので、血圧が高めの人には効果があるかと思います。

グリシンのサプリメント

グリシンはアミノ酸の一種で、体内では神経伝達物質としても働きます。
グリシンのサプリメントは睡眠の質を改善することを謳って販売されていることがありますが、経口摂取の場合、血液脳関門(BBB)を通過するかどうか、よく分かっていませんが、グリシンのサプリメント製造の先駆けでもある味の素株式会社の製品は効果を実感した使用者が9割を超えているそうです。
(プラセボも含むでしょうが)


サプリメント自体を否定するつもりは全くありませんし、筆者自身もいくつかのサプリメントを愛用しています。
しかし、本来、不眠症は病気ですので、効果の保証されない健康補助食品に頼るよりも、医師へ相談することが正しいと考えています。

ただ、不眠症を改善するために、様々な方法を試す中の「一つの手段」としては、アリだと思います。

★サプリメントについての考え方は、『サプリメント』に記載しています。