『【新事実】幸せホルモン「セロトニン」は腸から出てることが判明! カレーを食べるとドバドバ出るらしい(笑)』という記事が少し前にあったのですが、パッと記事を見たインパクトから、そのまま「カレーと食べるとセロトニンが増える」と解釈する人が続出しそうですが、本当なんでしょうか?ネタ元の記事の文章を引用して考えてみたいと思います。(※2014年1月21日執筆)

カレーを食べるとセロトニンが腸から出る?

カレーを食べるとセロトニンが腸から出るというのは本当か、ネタ元の記事を引用しつつ考えてみたいと思います。

以下引用―
腸からセロトニン分泌指令を出すのに最適な食品は『カレー』であることも判明した。スパイスが多く含まれ、たんぱく質、脂質、炭水化物がバランスよく摂取できるカレーは、腸を温める効果がバツグンなので「カレー食ったし幸せだわ(笑)」「セロトニン分泌しよっと(笑)」という状態となり、腸がセロトニンをドバドバ出すよう脳に指令を送るのだ。
引用元:【新事実】幸せホルモン「セロトニン」は腸から出てることが判明! カレーを食べるとドバドバ出るらしい(笑) | ロケットニュース24

腸内のセロトニンは腸のぜん動運動に関与

ネタ元の記事には上記のように書かれていますが、人体内のセロトニンの90%(記事では95%)が腸内に存在するということは以前から周知の事実として、腸内に存在するセロトニンの働きは、[腸内のセロトニンとIBS]で触れている通り、腸のぜん動運動による、消化作用や免疫機能などで、腸内のセロトニンには感情面への直接の影響は無いとされるのが一般的ではないかと思います。

「腸は第二の脳」とも言われていますので、カレーに含まれるスパイスのような刺激物を食べることで腸が温まり、腸から脳へセロトニンを出せと指令が出るかもしれませんが、指令が出たとしても、脳内のセロトニン自体が充分に存在しなければ意味がありません。
意味がわかりにくいかもしれませんが、社長が働けと命令しても、働く社員がいなければ意味が無い、みたいなものです。(余計わからなry)

またセロトニンは脳内で感情などをコントロールする神経伝達物質として働いています。
『幸せ』を『感じる』のは脳であり、腸では無いため、仮にカレーを食べて腸内のセロトニンが増えるとしても幸せとは感じないと思われます。
それどころか、腸内のセロトニンの分泌過多になると、ぜん動運動に異常が出て、下痢便秘になる恐れがあるのではないでしょうか。
(筆者は辛いものを食べると、よく「お腹がピーピー(OPP)」します)

尚、筆者もカレーは大好物で、カレーを非難する意図は全くございません。
カレーはバランスの良い食事ですので、セロトニンの原料となるトリプトファンと言う必須アミノ酸も含まれているでしょう。

結論としては、
■「カレーを食べてセロトニンが出る」というのは嘘ではない
→栄養バランスが良くて、セロトニンの材料であるトリプトファンも含まれているから
■カレーを食べれば大抵の人は幸せを感じる
→美味しいから
■腸内のセロトニンが増え過ぎると
→OPPしたり、IBS(過敏性腸症候群)のように、良いことばかりではないかも?
■筆者が香辛料たっぷりのカレーを食べると
→OPPしやすくなる

薬に頼るより健康的に増やしましょう。

余談ですが、脳内のセロトニンも自然な方法で増やそうとする分には問題ありませんが、濃縮されたサプリメントや抗うつ剤などで脳内のセロトニン濃度が高くなりすぎると、セロトニン症候群という症状が発生することがありますのでご注意下さい。

普段の生活や食事などを見直すなどして、健康的に脳内のセロトニンを増やしたい方は、「セロトニンを増やす方法」を是非ご覧ください。

…そもそもネタ元記事では、「カレーを食べるとセロトニン分泌指令が出る」と書いているだけで、セロトニンが増えるとは書いていないので、ミスリードも多々あるかもしれません。
参照元である、『長生きしたけりゃ、腸は冷やすな―老い、がん予防に効く! 温める腸健康法 |著者:松生 恒夫』を今度一度読んでみようと思います。